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物語(仮)  作者: りくど
第4部
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18/30

3話:焦りは禁物当たり前

※こちらは4部になります。

1〜3部もよかったら読んでみてください

体の『内側だけ』に因子の力を

閉じ込め、巡らせる──『完全循環』。


挑戦し始めて時間は経ったが

依然として鱗粉は赤く光っている。


だが、赤い光はだいぶ無くなっていた。

カリスが言うようにセンスはあるのだろう。


ダストは見透かしたかのように言葉をかけた。


「カナタちゃんにシオンちゃん。

里に行かなきゃって変に焦ってるでしょ?

その証拠に、赤い光がずっと同じ、減ってないわ。

いい?落ち着いて、今に集中するの。」


2人は何も言えなかった。

その通りだったから。


目の前にいる人達は里の住人。

そこに連れていってもらうには

何としても会得しなければならない。


焦ってしまうのも無理はない。


だがここで、シオンの様子が変わる。


「……はぁ…はぁ……げほっ…

た、体力が……持たない…げほ……はぁ…」


「シオン!大丈夫?!」


シオンを見たカリスは

髪の毛を片手で

わしゃわしゃしながら問題点を話した。


「あ〜…そうなんだよなぁ、ただの循環だから

なんともないけどコッチは体力いるんだよねぇ」


「そうね、こればかりは仕方ないわ」


「体力なさすぎでしょ〜…」


ダストはこのままやっても

今は意味がないと

シオンを休ませることにした。


「シオンちゃんは少し休みましょう。

外はしばらくこの有様だし

ゆっくりやってきましょ。大丈夫よっ」


カリスはシオンを見て閃いた。

ダストをゼラの元へ呼び3人で話し合う。


「カナタは平気そうだよね?」


「そうね?さすが動因子ってとこかしら?」


「あっちは体力バカっぽそ〜」


「ちょっとさ、カナタは

あたしに任せてくんない?思いついたの!」


「いいけど、どうするのよ」


「ああ〜…シオンかぁ〜」


「せいかーい!乱暴に見えるけど

動なら絶対これがいいよ!あはは!」


カナタは一旦会得を中止しシオンの隣に座る。

時間にして約5秒ほど外の様子を見て

視線をシオンに戻した時──シオンが消えた。


「…え?あ、あれ?シオン?あれ?」


「おーい!こっちこっちー!」


カナタは声の方を見た。


その目に映ったのは、水で作った短剣を

シオンの首元に当てているカリス。


「先にカナタが完全循環を覚えちゃおうよ!

カナタは動因子でしょ?

ならこうした方が早いと思うよー!」


カナタは徐々に顔と雰囲気が変わっていく。


「カリス…何してるの…」


「え?何って、コレでシオンの首を

斬って殺そうとしてるんだよ?

助けたいんでしょ?助けたくないの?

殺しちゃっていいの?」


「やめて……シオンを離して…!」


「お願いすれば敵は攻撃しないと思ってるの?

見たことないよ!あはは!

そんな敵がどこにいるのさ!

自分で取り返しなよ!ほら!」


短剣は首を切ろうと少しずつその刃を進めていく。


カナタは地面を蹴ろうとした。が…。


「ほらほらー!鱗粉が真っ赤っかだよー?

普通の循環に戻ってるよー?

さっきまであとちょっとだったのにー」


「うるさい!離せー!」


カナタは我慢できず、構わず地面を蹴った。


鱗粉は見事なまでに真っ赤…

だがその手は

もう少しでシオンに届く、助けられる。


──その時だ。


「……おい」


言葉を発したのはゼラ。


ただの一言。2文字。なんでもない言葉。

しかし、その言葉の冷酷さ、重さが異常。


その2文字はカナタを止めた。


「里に行きたいんじゃないの?

お前は目の前のことしか考えられないバカなの?

そこまで頭の深化やばいの?

この雪山で独りでさっさと死ねば?

ホント助けなきゃよかった」


少し前までの気だるさ全開はなくなり

話し方もまったく違う。


ゼラの圧は凄まじく、

3人の中で強いという証明を感じる。


カナタの動きは止まるが変な汗は止まらない。


ゼラは続けた。


「次、同じようにカリスに

向かおうとすればお前は完全循環が出来ても

絶対に連れてかないし雪山に放り出す。

独りで頑張れ。いい?

ていうか、カリス〜…

別の方法なかったわけ〜?」


「んー、これが一番早いよ!

ゼラ姉も『動』なんだからわかるでしょ!」


「もう好きにして〜…疲れたぁ〜」


ゼラは触手ベッドに横になる。


「(赤くせず…シオンの元へ行くにはどうしたらいい…連れて行ってもらえなくなる…)」


カナタは唇を噛み必死に考える。


カリスは相変わらず笑顔で

シオンを殺そうとカナタを煽る。


「さ、仕切り直しだねー!いつでも来なよ!

赤く反応させずに来れるかな!でも、

あんまり遅いと斬っちゃうよ?首」


カナタはゼラの言葉もあり

下手に動かない。


自分の立っている位置。

カリスまでの距離。

どれだけ速く行けばシオンを助けられるか。


過去のドロップとの戦闘で1つ

似たような場面があったことがあった。


コンビニで戦った時の『爆速急降下』だ。

アレも位置、距離、救出の結果

地面以外で『蹴る』ということをやってのけた。


それは『体の外』でやったこと。

それを『体の中』でやってみる。


カナタは試すことにした。


「これしかない…やるしかない……

深化なんか別にいい…

……私はシオンと行きたい…」


「お?何か思いついたのかな?」


カナタは構えた。

その目は『撲殺したあの時』の目だが

色はあった。


カナタの構えは空中でやったことを

そのままやろうとしている

羽のコートを翼に変え、大きく広げ

脚はやや前後に少し開き、程よく曲げた。


そして、一回の羽ばたきと

同時に強く地面を蹴った。


それは赤く光ってない見事な完全循環からの

爆速急降下だった。


爆発的速度で音もその場に置いていった。


痛みは手首に走っていた。

当然、気になどしていない。


「うるさぁ〜…」


「すごいわね、カナタちゃん」


「おぉ……!!」


カリスはその速さに驚き

2人はそれぞれに思い


ダストとゼラは

カナタの翼についてコソコソ話す。


「カナタちゃん…カラスなのに

翼がないから深化がまだと思ったけど

そうゆう事ね」


「あの翼は別だね〜…ふぁ〜…

私の触手は深化だけど、ダストは一緒〜」


「そうね、普段は服としてだけど

飛ぶ時は羽にするから一緒ね」


会話の隣では、その速さのまま

カリスを蹴っ飛ばしていた。


カリスは洞穴の壁に飛ばされるが

ビクともしていない様子。


「あはは!できたじゃん!赤くない!

あと凄い速さでびっくり!」


「シオン!大丈夫?!」


「す、すごいね…げほ……相変わらずカナタは……」


カナタはあんなに美味しいと言って食べた

ポリポリ人参のことを忘れ、

手首の青黒い肌が少しだけ深化した。


だがよく見ないと分からないレベル。

消滅幅を抑えた結果それで済んだ。


「次はシオンだね、でもホント…

なんか……んー……循環だね?」


「え、そうなの?げほ…

私も負けられないね……!」


「できたわね」


「できて当たり前〜」


動因子同士の動因子なりのやり方で

カリスは先にカナタに完全循環を会得させた。



─しばらくして


「シオンちゃんはそろそろいけそうね?」


「よし…今度こそ……!」


「じゃあ、再挑戦よ、頑張ってね

カナタちゃんに負けてられないわよ!」


シオンの周りに鱗粉が漂う。

先程同様、赤くならないように完全循環を試みる。


しかし…やはりあと少しのところまでしかいかない。


そしてまた、体力が空っぽになる。


「シオンちゃん、また変な焦りが出てる。

その焦りを感じちゃうのはわかるけど、

それが余計に体力を持っていってるの。分かる?」


「だ……はぁ…はぁ…だけど……!」


「でも、体力がほぼない今は逆にチャンスじゃない?

空っぽの体にシオンちゃんなりに

リズムを作って定着させるの。

あっちが動因子なりのやり方なら

こっちも静因子なりのやり方でやらないとねっ」


「……はぁ…はぁ…り、リズム…?」


「(言葉は覚えてても、意味を深化で消されてるのね)

さっき色々雑談してる時に言ってたけど

耳がいいのよね?

じゃあ、音を分けて聞かないで

『全部』聞き入れてみたらどうかしら」


「音を……はぁ…全部……それなら…!」


ダストは女子会中の会話をヒントとして

シオンに伝えシオンは言われたように

聞こえる音を区別せず

全てを受け入れるようにした。


すると程なくして、不思議な感覚が訪れた。

今までできなかったのが嘘のよう。


やがて……赤い光は出なくなった。


シオンも静因子同士の

静因子なりのやり方で完全循環を会得した。


「や、やった…!…はぁ…はぁ…出来た…」


「やったね!シオン!」


カナタも一緒に喜んだ。


しかしこの時、シオンもまた深化した。

会得のためとはいえ、その一瞬は

限界以上を出したからだ。


右の頬に痛みが走り、1本の髭が生えた。

代償として消えた記憶は

『スーパーにいた理由』という記憶。


2人が体の変化に気づくのは少しあと。


──焦りは気づきを遅らせる。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

この作品は勢いに任せて、テンポも

意識して書かせていただいてます。


ブクマ等はお任せします。

ゆるい気持ちで

楽しんでもらえたらそれで!


海よりプールのがよくないですか


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