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純潔のミレニアム  作者: K.K.
エピソード5ー剣聖様の受難ー
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困惑のミレニアムー

了解しました。オセの口調とミリィへの敬語関係、修正して整えます。



「純潔のミリィ様!少女を助けて魔獣討伐!」


そんな見出しの号外が、テーブルの上に置かれていた。


紙面には、森での出来事が誇張された見出しと、大げさな挿絵まで添えられている。


そのテーブルの下。


床には、正座したまま小さく縮こまるミリィの姿があった。


肩はすくみ、視線は落ち、今にも消えてしまいそうに震えている。


「……ごめんなさい……」


か細い声が、部屋の静けさに落ちた。


その前に立つ二人。


腕を組み、無言で見下ろすオセ。


扇子で口元を隠しながら、静かに目だけを向けるアナ。


沈黙が、しばらく続く。


先に口を開いたのはオセだった。


「……で?」


ミリィの肩がびくりと跳ねる。


オセは号外を軽く指で叩きながら、淡々と続けた。


「助けようと思って、派手に記事になるようなことしたんすか」


ミリィはさらに小さくなる。


「……ちがいます……」


その言葉に、アナが扇子をゆっくりと下ろした。


視線は柔らかいまま、しかし逃げ場はない。


「ミリィ」


穏やかな声が落ちる。


「説明、していただけますか?」


ミリィは床に額がつきそうなほど、うつむく。


「えっと……その……困ってて……」


言葉が途中でほどける。


オセは変わらず淡々と見下ろしたまま、息を吐く。


アナは静かに目を細める。


「……困っていた、で済む内容ではなさそうですわね」


部屋の空気が、さらに静かに沈んでいった。


オセの声が少しだけ荒くなる。


「大体、早朝に抜け出すとか、ありえねぇっすよ!」


続けてアナも、扇子をぱたんと閉じてため息をついた。


「本当に、予定も詰まっていたのに急にいなくなって、私がどれだけ大変だったか……」


ミリィはしゅんと肩を落とし、小さく縮こまる。


「はい……反省してます……」


しばらく、空気が重く沈む。


だが――


「……とは言え」


オセがぽつりと呟く。


「……とは言え」


アナも同じように言葉を重ねる。


二人は一瞬だけ視線を合わせたあと、ふっと表情を緩めた。


そして、同時に笑う。


オセが大きくガッツポーズをとり、


「おかげでミリィ様の評判、爆上がりっすよ!」


アナも扇子の向こうで目を細める。


「本当に、子供たちの人気まで手に入れるなんて……おそろしい子」


重かった空気が一気に崩れる。


ミリィはゆっくりと顔を上げる。


涙目のまま、ぽつりと呟いた。


「……へ?」


オセが軽く肩をすくめながら、明るい声で続ける。


「いやーさすがミリィ様!今や街中だけじゃなく、学校でも注目の的らしいっすよ!」


アナも扇子を軽く揺らしながら頷いた。


「今、子供たちの間では剣聖ごっこが流行っているらしいですわ」


その言葉に、ミリィは涙目のまま首を傾げる。


「……怒って、ない?」


オセは即答した。


「当たり前ですよ!むしろ褒めてあげます!」


その瞬間、ミリィの表情がぱっと明るくなる。


アナは静かに目を細めた。


「貴女は今や、大人から子供まで、この街のアイドルです。でかしましたね」


「そ……それほどでもぉ……えへへ」


ミリィは頬を赤くして、照れくさそうに笑った。


その様子を見て、オセがにやりと口角を上げる。


「とは言え、今度抜け出したらエッグい水着で街中1周してもらいますからね?」


「……え?」


ミリィの笑顔が固まる。


アナも扇子を軽く口元に当てながら、さらりと続けた。


「そうですわね……それはそれでまた人気も上がりそうですし……やりましょう」


「え……?ええーっ?」


さっきまでの安心はどこかへ消え、ミリィの声だけが部屋に響いた。


アナが軽く扇子を閉じ、空気を切り替えるように言った。


「冗談はさておき……」


ミリィはまた小さく肩を震わせる。


さっきの“水着発言”がまだ頭に残っているのか、涙目のまま固まっていた。


アナはそんな様子を見て、少しだけ柔らかい声になる。


「あまり一人で外を歩かないでね」


オセもうんうんと頷いた。


「ミリィ様、今や大人気の有名人なんすから、もっと気をつけてもらわないと」


アナは視線を少し外へ向けながら続ける。


「まぁ、貴女の強さなら護衛は必要ないでしょうけど」


その言葉に、オセがすかさず口を挟む。


「いやいや、ミリィ様強いけどチョロインだから、誘われたらほいほい着いて行っちまうんだもん」


ミリィの目がぱちくりと瞬く。


「チ、チョロ……イン……?」


聞き慣れない単語を、ゆっくりと口の中で転がす。


アナは扇子で口元を隠しながら、小さく息を吐いた。


「あぁ、それは心配ね」


オセは腕を組みながら、少しだけ真面目な声を混ぜる。


「普段は俺がついてるから安心だけど……やっぱなぁ」


アナも扇子を軽く顎に当て、考えるように目を細めた。


「そうなると……やはり護衛も必要かしら」


ミリィは不安そうに二人を見上げる。


「……護衛?」


オセは軽く肩をすくめた。


「オーディションかなぁ」


アナは即座に頷く。


「オーディションでしょうね」


「……あ、あの、もう一人で出歩かない、から……」


ミリィは慌てて小さく手を振る。


オセが片眉を上げる。


「あん?」


アナも静かに視線を向ける。


「何か言いまして?」


ミリィは一瞬でしゅんと萎れてしまう。


「なんでも……ないです」


オセはため息混じりに肩を回した。


「とりあえずオーディションやってくれよ」


アナはすでに予定を組み始めるような口調で言う。


「そうと決まれば明日にでも」


ミリィだけが、状況を完全に飲み込めないまま小さく座り込む。


かくして――


剣聖の護衛オーディション開催が、あっさりと決まった。

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