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8話-6a
…偶然、ポケットの中に財布があった
…偶然、財布の中には銀行のカードがあった
俺は飛び出していた
玄関に向かって
「!!
琥烏君!」
後ろで声がした
けど、俺は振り向かず
靴の踵を踏み潰して履く
「待って!兄さん!」
後ろで声が聞こえる
でも、俺は扉に手を延ばす
「「琥烏ッ!!」」
後ろで声が聞こえた
でも、俺は遮るように扉を閉めた
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!!
こんな場所に…居たくない!!
もう…嫌だ!!
信じてた…はず…だったのに…
理解はしてくれないかも知れない
でも…俺の夢を遮るような事はしないって…思ってたのに…!!
そんな身勝手な理由で……俺を…俺を束縛するなら…
俺だって身勝手な理由で…この場所から…消えてやる!!
もう…何も信じられない…
信じる事なんて…出来ない…!!)
ただ、力の限り走った
見知った風景から逃れるように
やがて、見知らぬ場所で立ち止まった
『……もう…いらないよ…
絆なんて…
解るだろ?二人共…これが俺とお前らの違いだ
だから…俺は…違う道を行くよ…行けるところまで…自分の…力で…』




