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童貞が爆発的なエネルギーを持っているのはつまりこういうこと常に行き場のない怒りと悲しみが胸の中に溢れているからなんです


「お邪魔します! 私神村結衣と申しまして祐亜くんにはいつもお世話になってます!!……ってあれ?」




結衣はかちこちの表情とロボットみたいに固い動きでリビングの扉の前まで来ると、ええいままよと言った感じで勢いよく扉を開け、そのままの調子で頭を下げエア家族へのご挨拶を派手に決行されました。




「あのすいません、実は今日……」




鳩がイデオンガンを喰らったみたいな顔をしている結衣は俺の話を聞いて一瞬ほっとしたような表情を浮かべた後、明らかに顔を真っ赤にして、ジブリでよくみかける髪の毛がぶわーなるやつのエフェクトがかかりました。



確かに冷静に考えれば俺はウッキウキでドッキドキだったけどこの状況はやばいっす!!

女の子からしても怖いに違いありません。恋の奴隷、ガブリエルの眷属である思春期男子と一夜を二人っきりで過ごすなんてそれはもうなんといいますか、やばいよねって話だよね! 話が違うよねっていうあれですよね!! 全裸で深夜のサバンナに飛び込むような、食べて下さいって言わんばかりの……食べていいのんか?




「流石に二人っきりはまずいっすよね!! 姉貴にやっぱ戻ってきてもらいましょ!! あ、それか亜弥さんたちにも連絡とっていっそのことパジャマパーティーを兼ねちゃうってのはどうですか!?」




結衣がドン引きする前に自分から敵意というか害意というかこれは決して狙ってやったことではなくてましてや緻密で計画的犯行なんかじゃないあなたにいやらしいことをする気はこれっぽちもありません本当なんです信じてください感を出すために、俺は早口でまくし立ててズボンのポケットに入れていたスマホを取り出して電話帳の機能を呼び出します。



あぁ、俺のチキン……でも仕方ないじゃない。信頼を失うぐらいだったらどんちゃん騒ぎの方がマシだよねという判断です。

さらば俺の青春。青春の光……俺には先輩の嫁さんを寝取る度胸はなかったよ……。

あふれ出そうな血涙を必死で堪えて、スマホを操作しようする俺の手を抑えて静止させたのはまさかの結衣の手でした。




トクンと心臓が跳ねます。結衣の柔らかくてとても冷たい手……おててがちんちんしてるじゃないですか。



結衣は真横を向いて俺と視線を合わせずにぐぬぬとなんとも気恥ずかしそうな表情をしています。バツが悪いといいますか。




「その今日は……あの……家族には有希の家に泊まるって言ってあって……あの……ごにょごにょ……実はみんなには言ってないから」




「え!! なんだって!!!!(※紅だー!!と同程度のトーンとボリュームで)」




「だ、だからぁ!! みんなには内緒にしてるから連絡されたら気まずいの!!」




俺に負けじと大きい声を出して言い返してきた結衣は顔を真っ赤にして頬を膨らませて、宇宙一可愛い八つ当たりを披露。徳永裕亜、無事即死。

こいつぁー驚きましたぜ……。

これは結衣も……あれなのか!? 邪魔されたくないっていう、俺と似たような気持ちを持ってくれていたあれというやつですか!? 




「と、とととにかくご家族の方がいらっしゃいなら今日は気合入れるてやるよ! 寝かさないんだから!! あ、ハンガー貸して」




人が聞いたら誤解しそうな台詞をまるでRie Kugimiyaのような調子で言ってのけた結衣は上に羽織っていたコートを脱ぎました。

少し薄手の肩口が大きく開いている白いセーター、下に履いているのは黒いホットパンツにストッキング。コートに隠されたシンプルな服装だからこそ際立つ結衣の完璧すぎる官能的ボディライン。

くっそ!もう何回も見ているはずのなのに!なのにどうしてこんなに見つめるたびにべりーべりーせっくすぃー。




ん? そこで俺は彼女のその姿に妙な既視感を覚えたのです。




あ!




おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい……………なんてこった今日の結衣ってば一昨日に見たセクシー女優の剥かれる前と同じ格好してやがる!! まじかよ!! 嘘だろ!! 分かってやってるんですか!!

どうするよ、どうすんのよこの思春期をよぉおおおおおお!!!!




結衣にハンガーを渡して結衣がそれを壁にかけてという彼女の一連の動作の中で結衣の視線が俺から外れた瞬間、その刹那に自分の顔面に強烈なコークスクリューを叩き込むことによって地獄の業火のように湧き上がる罪深き思春期の波動を殺すことに成功しました。痺れるぅ……。




いやしかしムラムラするたびにこの方法でいちいち処理してたら、ぼくってば明日の朝どうなっちゃうの? 自分に殺されるんじゃないの?




「よし!! 早速祐亜の部屋で!!ってあれ……顔少し腫れてない?」




「いや……大丈夫ずらです」










ご飯にする? お風呂にする? それともMA・N・ZA・I?といった感じでまずは何はともあれいつもの週末のように俺の部屋で漫才の練習です。

姿見の前で自分たちの表情や所作をチェックしながら、ストップウオッチで時間を図りながら、ビデオに撮ってみて映像として自分たちの漫才を客観的にチェックしてあーだのこーだの言ってみたり、この間を。あそこのタメを。ここのフレーズを少し変えてみないか?などなど。

いつかに比べたら俺自身も、そして結衣だって以前よりかなり本気でやってるような気がします。




つい先刻まであれほど狂い咲き小梅太夫状態だった俺のエロスもすっかりなりを潜め、頭はすっかり漫才モードに切り替わりました。




「こっちを一本目にして、それで二本目のネタはこれで決まりだね! 間違いないよ!!」




結衣はもう一次を突破する気満々で、その次にやるネタの話をとても上機嫌で話しています。

髪をまとめて頭の後ろあたりでお団子にしているのが可愛くて、なんだかいてもたってもいられなくなります。



漫才モードに切り替わるのは決してお笑いを一心に愛するモードに入っていて、結衣のことなんか眼中にも入らないとかそういうことではなくて。




「祐亜の考えたこのツッコミのフレーズと流れほんと面白い! 早く披露したいなー!!」




普段の高嶺の花の、みんなが知っているミステリアスで捉えどころのない美人な結衣じゃなくて。




「『物議をかもす』……ぷくく!! おもろーい!! あははは!!」




ネタ帳に向かってうんうん唸りながら眉を八の字にしてる結衣だとか、今みたいに床にぺたんと座りベッドに背を深くかけて体をバタバタさせている無邪気で気の抜けた結衣とか。

多分俺しか知らないんだろうなっていう結衣の姿を見れるこの場所が本当に心地よくて大切で。

そこを守るためなら全力で取り組んだるぜとそういうモードなんです。




もしここが壊れたら、生きている意味の半分なくなっちゃうんだろうなって思います。



居心地よすぎて

だからきっと俺は好き好きいいながらも決定的な行動を起こせないのかもなーって最近考えてます。

結衣の気持ちを優先する、待つっていいながら答えを先延ばしにしてるのは、きっと自分が一番怖いからなのかもですね。

触れられるよりも、愛を囁かれるよりも、信頼されたり笑顔を向けられる方が今の俺には何倍も嬉しいんです。

壊れるぐらいなら今のままでもいいかな。




俺の想いなんて知らずに、それから休憩も挟まずにもう何百、何千回やってきたネタの練習を繰り返し行います。そんなこんなでガムシャラにやって一息つこうかとなって部屋の掛け時計を確認してみたら、針は23時を指していました。

飲まず食わずでこの時間。それを意識したらなんだかお腹が空いてきました。




「お腹減ってません? 飯作りますよ」




俺が立ち上がりながらそう言うと、結衣は途端にキラキラした表情を浮かべました。




「わーい! 祐亜の手作り楽しみ! あ、でもその前にお風呂借りていいかな結構汗かいちゃった……」




無意識なのか意図的なのかわかりませんが、結衣はベッドに腰かけてこちらを上目遣いで見つめながら左手で顔をパタパタと仰ぎ、右手でセータの胸元をパタパタとさせています。





「………」




「ん? 祐亜どしたの?」





「…………お風呂沸かしてきますね」




漫才モードが解けた俺は心を、それ以上に目線を悟られないように能面のような顔で自室を後にしました。そして階段を下りながら、




ぬがぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ムラムラするんじゃぁああああああああああああああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!! わざっとやっとんのかぁああああああああああいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!! 綺麗ごと言ってんじゃねぇええええええ結局信頼されて笑顔を向けられるよりも触って欲しいし愛を囁かれたいんじゃああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!  あぁあああああああああああおっぱい触りてぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!結衣のおっぱいって結構おっきいんだよねぇええええーーーーーーーーーー!!!!屋根より高いぃいいいいいいいいいいいいいいい俺のなぁああああにぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!




結果、お風呂を沸かすまでに俺は自分の顔面と腹に二発ずつ、さらに強烈な捻りを加えたナックルパートを叩き込むことになったのです。

俺、明日の朝には死んでるわ。エンセリオ、マジで。

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