閑話 森を抜ければ
「ルーイ、なんかあっちの方からユーリの作る『オヤコドン』の匂いがする気がする」
「くんくん……たしかに……『オヤコドン』の匂いがする」
双子は揃って、特定の方向に鼻を向ける。
「あっちの方向からする……」
「するー」
そんな双子に、カレンが眉を顰める。
「こんな森の中で、匂いが分かるのかよ?」
「わかるよー」
「うん、わかるー」
「……マジかよ。あたしには全然分かんねえけどな?」
「カレンの鼻じゃムリ」
「ムリー」
双子は無邪気に言い返す。
「何かムカつく……しかしな……どうせ、どっちの方向に行けばいいか分かんねえし……」
カレンはそう言ってセリカに視線を向ける。
「セリカ。双子が変な事言ってるけど、どうする?」
セリカは銃の清掃作業の手を止めて、カレン達を見つめる。
「リューイ、ルーイ。本当にユーリの料理の匂いがするのか?」
「わかんないけど……たぶん」
「たぶんー」
「何だよ……いい加減だな……」
しかし、カレンは双子の肩を持つ。
「セリカ。ずっと森の中にいる訳にもいかねえだろ? ここは双子の能力に掛けてみないか?」
「カレン……」
「どうせこのままじゃジリ貧なんだ……やるだけやってみないか?」
カレンの真剣な表情に、セリカが大きな溜息を吐く。
「確かにな……双子のおかげで弾薬はほとんど消費していない……バギーもほぼ動かしてないから満タンだしな……」
「……セリカ……」
「おい、リューイ、ルーイ。お前たちに先導を任せるけど、大丈夫か?」
「うん。まかせてー」
「まかせる」
双子は両手を上げて返事をしてくる。
「よし。そうとなればテントを撤収するぞ。リューイとカレンは先行して偵察を。ルーイはあたしと此処で撤収作業だ」
「イエス、マム」
「「はーい」」
こうして、セリカ率いる偵察班が動き出した。
ユーリ達との再会も近い……のか?




