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第二十四話 竜は死して何を思う(前編)

 暫く普通に(?)冒険させてから乗り物やロボットを出す予定。


――宿屋兼食堂 精霊の腰かけ亭――



 冒険者資格の免停処分が言い渡されてから一ヶ月が立ち、やっと冒険者資格が回復したイオリ。

 早速、オフィーリアとオーレックに会いに二人が定宿にしている精霊の腰掛け亭に行ってみた。

 そこで近くに居た店員らしき茶髪で猫獣人の少女に二人の事を訪ねてみた。


「すんませ~ん。 こっちにオフィーリアとオーレックって言う冒険者は居ますか?」


「今、ちょっと商人さんの護衛の仕事で出かけてていませんよ。 もしかして、君、イオリって言うんじゃないの?」


「そうっす! 二人共、いつ頃帰ってくるっすか?」


「予定通りなら明日には帰って来るわ。 だからそれまで待っててって二人から伝言を預かっているわよ」


イオリは食堂のバー・カウンター・コーナの棚に並んでいるお酒をじっと見つめながら店員の話しを聞いている。


「そうっすか。 わかったっす! それと次いでに無職透明でべた付かない高純度のアルコールってあるっすか?」


「あるけど……その若さで飲み過ぎると体を直ぐに壊すわよー」


「ち、違うっす! おいら鍛冶仕事で金属の洗浄や錆止めなんかに使うのにそう言うアルコール類が必要なんす!!」


「あら、そうなの? で、どれ位必要?」


「一瓶あれば有難いんすけど……」


「ちょっとまってて今持ってくるわ」


 そう言って店の奥に入って行った女性店員。

 暫くすると戻って来た。


「ハイ、これ。 中身確かめてみる?」


「もちろん!」


 イオリは少し指先にお酒を垂らして匂いと粘り気を確かめる。

 匂いは酒独特のそれもキツイ匂いがして純度は合格。

 次に不純物が混じってないか酒が付いた指を擦り付けて粘土を調べる。

 指に付いた酒は直ぐに気化し、乾燥した後の指のベタ付きが一切ない。

 合格である。


「これでいいっす! 幾らっすか?」


「味は不味いけど作るのに手間が掛かるから高いわよ~。 銀貨五枚もするの」


「はい、銀貨五枚っす」


 躊躇なくお金を支払うイオリ。


「……即金で払うとは思わなかったわ」


「処でこれ、いつも店に置いてるっすか?」


「いいえ。 これは取り寄せ品よ。 必要なら注文して貰わないといけないの。 しかも注文しても来るのに一月以上は余裕で掛かるわよ」


「わかったす! じゃあ、必要になる前に注文しに来るっす!」


「毎度あり! 二人が帰って来たら君が来た事伝えておくわ。 あ! そうそう、アタシはシルキーって言うの! よろしくね!」


「よろしくっす! それじゃあ、また」


 シルキーに別れを告げて、イオリは酒瓶を担いでそのまま宿屋を後にした。




――ヴェデル店――



 イオリは今、ヴェデル店の工房で三つの魔道具を作製していた。

 一つは暗くても遠くを見渡せる双眼鏡。

 もう一つは鉱物の種類と場所を特定する為の機能を一つにした判定探知機。

 そして最後の一つがリピータもしくは連弩と呼ばれるボウガンを改良したものだ。


 その部品の一部が錆び易くて先程のアルコールを保存液として購入したのである。

 錆止めの無属性珠紋術『保護膜(コーティング)』もあるには有るが、後で微調整が必要になった場合、一度変形させると保護膜の効果が失われるのでもう一度かけ直すには二度手間に成ってしまう。 その手間を省くための措置だ。


「思わぬ所でいいものを見つけたっす! お陰で今日、明日中には完成しそうっすね!」


 イオリは黙々と深夜まで作業に集中した。


 翌朝、オフィーリアとアーレックがヴェデル店に訪ねて来た。


「イオリ、私達を訪ねて来たってシルキーから聞いたわよ。 もしかして素材集めの件?」


「そうっす! 冒険者資格の免停が明けたんで皮関係の素材を集めるのに狩りに行きたいんすよ。 次いでに幾つか試したい道具類もあるんで、それの試用もかねてっすけど」


「へえ~、どんなの?」


 アーレックはイオリの作った物に興味を惹かれて尋ねる。


「これっす!」


 イオリは双眼鏡一つ、鉱物判定探知機一つ、そして改良型連弩『レインボウ』を二丁を取り出して説明する。

 その説明を聞いたアーレックが苦笑する。


「イオリは本当に凄いものを作るなあ。 特にこの鉱物判定探知機があれば鉱脈を発見し放題だよ」


「それもちゃんと動作すればだし、適当に書物の情報を記録させたものだから精度は保証出来ないっすよ。 それにこれは非売品すから」


「そうなの? なんで?」


 オフィーリアが疑問に思い尋ねる。 それに対するイオリの答えは、


「確かに便利っすけど、特定の価値ある鉱物、金や銀、宝石や魔石に魔導金属の独占が可能に成るっす。 それじゃあ、経済が混乱するし、何よりその鉱石を取るのにあちこち掘り返して自然破壊に繋がるっす。 これは飽く迄もおいら個人で素材探しを効率的に行う為に作った道具っすよ!」


「あ~、なるほど。 確かにそうだね。 もし、これが大量に出回れば市場は確実に混乱するね」


 アーレックは納得顔で頷く。


「それより素材集めの計画っす。 オイラとしては革素材が欲しいんで動物や魔物関係の皮を出来るだけ多く手に入れたいんす」


「う~ん、そうなるとベルン村近くの森の中間位まで足を伸ばさなきゃならないわね」


「だね。 ただ、そうなると皮が邪魔になって身動きが取れなくなるから、面倒だけど拠点にするベルン村迄一々戻らなくちゃならないね」


「おいら、マジック・バックの強化板、異次元倉庫を持ってるから荷物の制限は気にしなくていいっす!」


 その言葉を聞いた途端、オフィーリアはイオリの手を掴んで握り締める。


「イオリ! 私達のパーティに入らない! 今なら美人でナイスバディな私と一緒に冒険出来るわよ!!」


 などと言ってくる。

 イオリは目をキラキラさせているオフィーリアから視線を外し、顔の筋肉を引き攣らせながらアーレックに目を合わせる。


「えーと……」


 アーレックに視線で助けを求めるイオリ。

 アーレックはオフィーリアの反応に微苦笑しながらイオリに答える。


「異次元倉庫はギガントスの砦でしか作れないからとても貴重なんだよ。 今現在所持してるのは組織では国やギルド、個人ではイオリ以外で王族や勇者位しか居ないんじゃないかな? だから、イオリが居たら冒険に必要な物資やその過程で手に入れたアイテム類の量や重さを気にせず済むからね。 僕としてもイオリにパーティに入ってもらえるととても助かるかよ」


 アーレックの言葉に何度も頷くオフィーリア。

 イオリとしても冒険で仲間が居てくれた方が助かるのだが、問題が一つある。


「おいら、本職はヴェデル店専属の職人だから暇な時なら一緒に冒険に付いて行けるけど……仕事がある場合は無理っす。 それでも良ければパーティに入っても構わないっすよ」

 

「それで構わないわ! ね! いいでしょ、アーレック!!」


「僕もその条件で構わないよ」


「と、言う訳で決まりね! 早速、冒険者ギルドに申請しておくわ!!」


「処でパーティ名はなんて言うんすか?」


 オフィーリアは胸を張り、自慢気な顔をして自分達のパーティ名をイオリに告げる。


「パーティ名は『ティターニア』よ!」


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