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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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ボーナスステージ


「そっちの方も実は別口でアーク先生に教わっていたのが後年明らかになるのだけどね。気が合うのは当然だったみたいな」

「ちょっと待てですぞ。アークの事をヤバい位、好きという話なのに別に旦那が居たのですかな?」

「あ、さすがに気づいたか。うん。ヤバい理由がさ……精霊種って精霊部分が死後、体から抜けて精霊化するでしょ? 体の魂と意志がね……はっきり言って病んでるよ? 君が青ざめる話になるけど聞く?」

「ヒ、ヒィ……」


 何か怖い前振りですぞ。

 病んでるのは怖いのですぞ。


「じゃあオブラートと言うか正しく表現するとさ。凶悪すぎる魔王やそういった滅びの概念を勇者が生贄になって命がけで体に封印って事とかも世界によってはあるんだよね。復活した際はその勇者の体を操る形でさ、体を破壊すると本当の姿が世界を破滅に導かんとする奴」

「ん? 確かアークって魔王でもあったとか笑いながら言ってましたぞ?」

「うん。別に悪さとかその頃にはしてない平和に過ごしててまあ二代目が自立するのを見届けていた訳だけど……そんな無垢なアーク先生をよくもまあ汚せたものだよねー。しかもこれは2回目らしいよ。1回目は妖魔の方が合意の上で身体を明け渡して乗り移った結果混ざって記憶喪失の弱体化した挙句、身体の中にしばらく潜伏されたとか……しぶといよね」


 脳裏に優しいお義父さんがニコニコと幼いお姉さんや虎娘の親代わりに育てていた姿がイメージされました。

 やがて大きくなった両者が我慢できずにお義父さんに襲い掛かろうとするシーンで画面が暗転するのですぞ。


「その想像は本人達に殺されるからやめた方が良いと思うけどね」

「俺の考えを読むなですぞ!」

「まあイメージ的には近いけどもっと別のね。ともかく二代目がその身と魂を捧げてアーク先生に刻んだものがあるって事だね。お陰で俺も教わる事になれた訳だけど、あの頃、精霊が見えるようになっていたのはそのお陰だし」


 アークの過去なのですぞ。

 そんなヤンデレの体に封印と言うか閉じ込められていたのですかな?


「恐ろしい話ですぞ」

「俺にも掛かっていた抗えない呪いで死ぬ寸前にやった事だよ。そのまま死ぬよりも想いを伝える一石二鳥だったし、その後にアーク先生、精霊種の問題を明確に理解したんだよね。今ほどの力は持ってなかったのもあってね」


 そんな過去がアークにはあるのですな。


「お義父さんもそうですが、アークも受けなのですな」

「はは……」


 槍の精霊が渇いた笑いをしましたぞ。


「まあ何にしても今回は他とは異なる行動をして貰った訳で、次のループも似たように覚えている限りは別の方法を模索もして欲しいわけだけど……」

「言われなくても一考はしますぞ。そうですな……フェアリーモーフを最初にかけてやるのはどうですかな?」

「その辺りは割と楽に変わった事が出来そうだね」


 お? 槍の精霊も賛成のようですぞ。

 ですが……うーむ、まずはお義父さんに相談するのも手ですな。

 ただ、俺が最初に親し気に聞くと距離を取られてしまいますからな。

 と言う所でウサウニー姿だとお義父さんが優しく微笑みかけてくれるのを思い出しましたぞ。

 そうですぞ。

 機会があったら二日目の夜にお義父さんに尋ねに行きましょう。

 刺激が欲しいかそうじゃないかと。

 お義父さんの返答次第で色々とやるのですぞ。

 考えが巡ってきましたな。


「まあ後はさ……幾ら恨みがあるからと言ってタクトって転生者にああいう事をするのはあんまりよくないよ? カルマ、君の魂的にもね」

「それは引き下がれませんぞ! 奴はフィロリアル様を冒涜したので楽に殺してはやらないのですぞ! フレオンちゃんの件もまだ忘れて無いので赤豚も同罪なのですぞ!」

「わー……ま、この件は君の場合はそこまで深刻じゃないか」

「深刻なのですぞ!」

「そうじゃなくてね……まあいいや」


 と言う所で俺の体が浮き始めましたぞ。


「そろそろ次のループに入るよ」

「もう行くのですかな?」


 もう少し槍の精霊に指摘したいことがあるような気がするのですぞ。

 と、思いながら俺の体がどんどん上に浮かんで行き……ループに入ろうとして意識が遠く――。


 ザシュっと俺の上に突如斬り裂いたような音が響いたのですぞ。

 ヒュン! っといきなり重力が発生したように俺は落下するのですぞ。


「ふぐう!」


 新たなループに飛ぶかと思った直後、急速落下して地面に叩きつけられてしまいました。


「あらま……ランダムに設定して飛ばそうと思ったのに、まさかこれを引くとはね」

「ど、どうしてなのですかな?」

「そこはアレだよ。アーク先生が君が傷つかないようにね……良かったね、あのまま行くと君にとってかなーり辛いループに飛ぶ事になったよ。具体的には最も恐怖するフィーロちゃんの――」

「ヒィイイイイ!?」


 何処へループするのかそれだけで分かりました。

 アークはそれを阻止するための仕掛けを施しておいてくれたのですかな!?


「他にも君が徹底的に彼を追い詰めたループとか、君や彼にとって良くないループも同様の処理が施されてて構築されてないからその分岐は無いよ。そんな訳で再抽選をするのも良いんだけど……いや……そうだ」


 槍の精霊が何やら考え混んでから閃いたような顔をしました。


「うん。あれを利用すれば……ふふ、面白い事が出来るね。君の世界でも誰かがやった仕掛けの痕跡があるし、うん。面白いし丁度良いからやってみよう。これくらいの幅はあっても良い」

「ブツブツと独り言では分かりませんぞ」

「まあ、君を驚かせようとしてるんだから当然でしょ。そうだなー……この際、勇者召喚ってなんで人間側が行わないといけないかって話もしておこうか。あれはね、元々は任意、俺も好きなタイミングで呼べたんだよ」


 ほう、確かに精霊に意志があるのでしたら好きに呼べた方が召喚された方も良いでしょうな。

 変な場所……お義父さんもその所為で苦労したのですぞ。


「だけど世界が融合する毎にそう言った事が出来なくなっていくんだ。本来別々のモノがくっついてしまう訳だしさ。規格が合わなくなってく感じでね。人間側の召喚で開いた穴を利用して呼べるときに呼ぶ感じになっていくの」

「そうなのですな」


 だから勇者召喚が存在するのですな。

 では最初の聖武器の勇者は精霊にとって必要な時に呼び出して配置出来たと言う事ですぞ。

 ふむ……精霊も好きに呼べないとは面倒なのですな。

 ん? ではこの際聞いて見るのも良さそうですな。


「さっきの話題からふと気になったのですぞ」

「なに?」

「本来は盾の精霊と話が出来たら聞きたい話ですな」

「ああ、君は会うことは無いだろうから俺に聞いた方が良いよ」

「では聞きますぞ。どうしてお義父さんはあんなにも攻撃力が無いのですかな?」


 盾の精霊が決めたビルドなのだろうと思っていたのですが改めて確認ですな。


「ああ、それ? まあ、盾の精霊の所為じゃないよ。実際、過去に盾の精霊に選ばれた勇者は居たけど、攻撃能力も備わっていたからね」


 なんと……お義父さん以外の過去に存在した盾の勇者は攻撃が出来たのですな。


「単純に彼の性質だよ。元々、夢幻に属する彼だからさ」

「無限ですかな? 確かにお義父さんは無限大の慈悲を所持してますが」

「そっちの無限じゃなくて夢と幻の夢幻、アーク先生が嫌いな無限な訳ないでしょ」


 夢幻? 槍の精霊は専門用語を使っている自覚があるのでしょうか。

 よくわかりませんぞ。


「妖魔の彼女の予言にすらなかった、俺が君ではなく彼を選んだとしても攻撃力は相当低めなんだよね。覚えているかな? 昔、盾の聖武器を一時的に奪われて、杖の精霊が力を貸してた時があったでしょ? あの時だって元々の所持者の攻撃力を借りて戦ってたんだ。まあ、相手が不正者だったから多少は攻撃力がプラスされたみたいだけどね」


 どうやら精霊の宿った武器を持つだけで攻撃力にマイナス補正が働くと言う事らしいのですぞ。

 話からしてお義父さんがクズから武器を借りた際の事を話しているのでしょうな。

 なんでも虎男と協力してタクトに地獄を見せたとか。

 さすがお義父さんですな。

 で、盾の聖武器ではお義父さんが所持すると攻撃力を引き出せないと言う事の様ですぞ。


「お前がお義父さんの手に宿ることは出来ないのですかな?」

「俺が何の精霊か分かってるでしょ? 盾も防具として補助的に出来なくは無いからさ。ただー……その場合は君を通してになるし、そのループの場合、君の記憶とかステータスの接続がね。ああ、交換すると君が路頭に迷う挙げ句、良い結果にならないね。彼の状況を君じゃ乗り越えるのは難しいと思うよ?」


 何やら槍の精霊が計算して無理と仰いました。

 くっ……ですぞ。

 それだけお義父さんの状況は厳しかったのでしょう。

 考えて見ればお義父さんほどのサバイバル能力をあの頃の俺は所持してないですぞ。


「なんにしても話はこれくらいにして……君がこれから行く世界は、言うなればボーナスステージみたいな所かな。これまで以上に違う結果になるだろうね」

「ボーナスステージですかな?」

「まあ君にとってのボーナスステージかどうかはわからないけどね? けれど、君の言う通りみんながみんな、後悔を無数に繰り返してきたからこそ辿り着ける場所もあるって事さ。これはその逆かな?」


 そうしてふわっと、俺の体が再度浮かび上がり始めました。


「さて、北村元康、次の世界で君がどんな行動に出るかを見させてもらおうかな」


 槍の精霊は俺を試すかの様な事を言っていますぞ。


「次の世界は……君の事だから大丈夫だとは思ってるけどね。心の命ずるがままやってみると良い。誰かの為に頑張るのが君だろう?」

「勝手に何を抜かしてるのですかなー!」

「ただ、助言を一つ。次に召喚される勇者はどれだけ変えようとしても召喚された場合固定だ。別人は呼ばれない。覚えておくんだよ」


 絶対にまた車軸にしてやりますぞ!

 と、こうして俺は再度ループする事になりました。


奴隷商人編終了です。

次からは夢幻編……シルトヴェルト編アナザーに移行します。

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― 新着の感想 ―
あしながおじさんルートもみてみたかった気がする。尚文が魔王になりそう。今までと根本から違うルートになるだろうから正直めっちゃ気になる
ようやくいつぞやのエイプリルフールでの先行公開版のループですぞー >君の世界でも誰かがやった仕掛けの痕跡があるし これ、もしかして書籍版の要素が一部混じった?フィロリアル誕生に纏わる・・・
遂にループ開始! とはいえわざわざ言うってことはやはり召喚される勇者は固定じゃない時もあるのかな? 槍の精霊がそう設定しただけで
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