第八十二話 「格上の実力」
「グルルルル…」
見た感じあれはウルフだな、多分レッドウルフか、なっ!
「グルァ!?」
マッグタートルよりは硬くないから楽かもな。
時止めちゃえばどんなモンスターもわけないぜ。
「ふぅ、タイムズ解除っと」
「「グルル……」」
もういい加減この流れは飽きてきたな。
「うん?」
一気に下に行くようになってるな、これはあれか!
この先はきっとボスがいるってことだ!
「——っと、さてかなり下に落ちたわけだけど」
「何かいないのか? ——んぐっ?!」
くっ…! この空間、かなり濃いぞっ…!
体が少し痺れる…長い事ここにはいれないな。
早くここから出ないと、、。
「ふぅ、まずはこいつを倒さなきゃな」
「ボスのお出ましか! インフェルノドラゴン!!」
* * *
「——はぁ…」
屋敷に潜入したはいいものの、すっごい退屈…。
掃除ばっかでつまんない。
私が活動できる場所に限りがあるせいで屋敷を十分に探索できない。
聞けば階級が上がれば色んな場所に行けるらしいけど、、そこまでしないといけないのかぁ。
「——はぁ…」
退屈だぁ…早くリヒト様に会いたい…。
「そこ、何手を止めている」
「あ、はいぃ! すみませんっ!」
「新人はもう少し緊張感を持って仕事をしなさい、そうじゃないとすぐミスを出しますよ」
「す、すみません…」
「謝る暇があるなら掃除を、、あ、そこ! 廊下の端に埃がありますよ!」
「は、はいっ!」
「そこ! 柱の隙間!」
「はいぃ!」
「そこ! そこ! そこも!」
「はいぃ〜!!」
もうやだぁ〜!! 帰りたい〜!!
* * *
「ここ、どこだろう…」
「迷子になってしまいましたね…」
「地図とか持ってたり?」
「いえ、持ってないです…」
「僕たち、まずくない? このままだと授業に間に合わない」
「授業が始まるまであと5分です、かなりまずい状況ですが」
「・・・」
「・・・」
「「ま、まずいまずい! やばいやばい!」」
「あぁどうしよう、どうしよう」
「じゅ、授業に間に合わず、このまま帰ることも…!」
「君たち、ここでどうして騒いでいるんだい?」
「「えぇ?」」
* * *
「タイムズ」
さてと…。
「グルル…グァァァ!!」
やっぱりか、我より格上の存在には、どうもタイムズの時止めの影響を受けない、タイムズが強制解除されてしまう。
このせいで我は最強の地位に立てずにいる。
我は魔防軍の中では4番手、魔族順位は16位。
時を止めれる、時間に干渉できる魔法を持つ我でも、魔族全体の強さランキングではトップ10にも入れない。
「タイムチック!」
「グルルァァ!!」
我の魔法が、格上にも通用するならば、我は今どのくらいの地位にいるんだ。
少なくともトップ10には入れてるのだろうか。
もしもトップ10に入れたとしても、トップ3…いや、我はトップ5にも入れないだろう。
あの辺りは異次元の強さだ、勝てる想像が全くつかない。
「クロックダイヤ!」
四天王最強の炎神のバハームド様。
魔王様のお気に入りで無名の少女、シアン様。
七賢法No.2で全知の賢法、エリス様。
七賢法No.1で不滅の賢法、ルナ様
そして魔王様のトップ5は、異次元の強さだ。
トップ10でも七賢法は全員ランクインしている、その後は四天王が続いて魔防軍の隊長が入って我がランクイン。
「くっ…はぁはぁはぁ…」
さすがはインフェルノドラゴン…手強い。
硬さが尋常じゃない、やはりこの巨大な山の性質と環境を変えていたのはこのインフェルノドラゴンの仕業か。
天災級のモンスター、こいつを倒さなければっ!
「ぐおぉぉぉ!!」
全力を出す! ここでこいつを倒さなければっ!!
「ロックタイムっ!」
「一瞬だが脳や臓器の動きを止められれば、隙ができる!」
そこに一撃叩きこむ!!
「クロノスダイヤ!!」
「グルルァァ…!」
効いてる! このまま押し切るぞ。
「グルル、グオォォォォォ!!」
「はっ、来るっ!」
「グオォォォォォ!!」
タイムシールド! 守れ! 自分を!
「グオォォォォォ!!」
くっ…とんでもない攻撃だ…この光線、すごい火力だ。
「グルル…」
治った、だがしかし。
「後ろを見ただけで、とんでもない攻撃だったのが一目見てわかるな、これほどまでとは」
一体どこで穴を開けたんだ。
「クロノスダイヤ!」
「グオォォォォォ!!」
ここが! 最後の場ならば! 全てを、全力を出すまでだぁ!
「うおぉぉぉ!!」
「グオォォォォォ!!」
ゴゴゴゴゴ…。
「——っな、なんだ?!」
急に激しい揺れが…はっ、まず——。
「ぐあっ…! がはっ…」
もろに受けてしまった…どんどん体も痺れてきているというのにっ!
それに今の大きな揺れはなんだったんだ!
インフェルノドラゴンの動きが、止まった?
今の揺れで原因か?
なんにせよ、追撃が来なくてよかった。
「ふぅ…はぁ…」
もう、インフェルノドラゴンに有効そうな手段は全部試した、だがまだ少し傷を負わされた程度、やはり天災級は格が違う。
落ちてきた穴はあそこだな、隙を見て逃げるしかない、幸い足は無事だ。
「グルルルル…」
せいぜい隙を作らなくちゃ、なっ!
「クロノズ! タイムロック!」
よし! これで穴に入れれば!!
* * *
「君たち、もしかして迷っているのかい?」
「は、はい!」
「なるほど、一年生はあまり校舎内を動き回るもんじゃないって、入学先の時に言われているはずなんだけどねぇ」
え、そうなの、俺たちそんなの聞かされてないんだけど。
「まぉいいか、君たちはどこに行くつもりだったんだい? もうすぐ授業が始まるね、場所によってはまだ間に合う可能性があるけど」
「魔法学Ⅰです」
「魔法学Iかぁ〜、走ればギリギリ間に合うかも? ここから突き当たりを右にいって奥に行けば階段がある、一つ下の階に行けばその階のマップがあるから、それを見ればいいよ」
「じゃっ、僕は近くの教室でサークルの活動があるんでね」
「またね〜」
な、なんだったんだ。
「——っあ、いきましょうリヒト様!」
「あ、うん!」




