第七十九話 「始まりはレクリエーションから」
しばらく時間が経ち、ついにリヒトとリーブはレグラスに入学する日になった。
「今日がついに入学の日…緊張するね」
「はい、緊張します…」
リーブと俺は今日、レグルス学園に入学する。
正式名称、レグルス魔法使い育成学園。
通称、レグルス学園。
在籍数およそ800人、教員数156名。
入学前から適性者のみを入学させ、卒業までに優秀な魔法使いとして育成させるカリキュラムが組まれている。
全日制、教員の手厚い指導と、隙のない授業構成で日々生徒の腕を磨かせる。
イベント行事も充実していて、歴史もある、魔法使いの頂を目指す者達にとても人気な学舎である。
そんなレグルス学園に、今日から途中入学するリヒトとリーブ。
教室は一緒のようで、教壇に立って自己紹介をすることになった。
「では、本日から入学して来たリヒト君です」
「アークストン・リヒトです、よろしくお願いします」
「アークストンって、あのアークストンか?」
「うっそやば! 大貴族じゃん!」
なにやらガヤガヤしてるな。
「次に、もう一人のリーブ君です」
「リーブです、今日からよろしくお願いします」
「二人も来るなんて珍しくない?」
「あぁ、優秀そうだな〜」
「ではお二人は奥の空いている席に座ってください」
「「はい!」」
リーブと隣の席か、ありがたいっちゃありがたい。
自己紹介が終わって席に着いたリヒトとリーブ、席に着くとさっそく。
「それでは、今日は新しく来た人がいるので少しレクリエーションをしましょうか」
「みんなで楽しく、まずは属性じゃんけんをしましょう!」
「「やった〜!」」
「属性じゃんけん?! 嬉しぃ〜!」
「あれ楽しいんだよね! 魔法の扱いも上手くなれるし!」
属性じゃんけん? とは一体なんだ、普通のじゃんけんとはどう違うんだ?
「えーと、リヒト君とリーブ君は属性じゃんけん分かるかな?」
わからないな。
「じゃあ簡単に説明をすると」
「属性じゃんけんは、普通のじゃんけんを属性魔法を使って行う遊びで、使うのは火、水、氷の3属性が基本です」
「属性魔法を弱ーく撃つよう調節して撃つこと、これができなきゃ相手を怪我させてしまったり、ハラハラ感を演出できなかったりと、ゲーム性が損なわれるから注意してほしい」
「あとは火、水、氷の初歩魔法を撃ち合うだけ」
「じゃあお手本として〜、前の席の二人、やってみなさい」
「「は〜い」」
前の席にいた二人が教壇に立ち、向かい合わせになった。
「いくぜ!」
「おう!」
「じゃんけん、ぽい!」
左にいた人はヒュムロを、右にいた人はスノウを撃った。
「あっつ…」
「はい、今ので勝ったのはヒュムロの方です、負けると魔法を喰らいます」
「あいこはもう一度です、この遊びは単なるじゃんけんじゃなく、以下に魔法の威力を調整できるかという訓練にもなります」
「それではまずは隣の席の人とやってみましょう」
「よーし! じゃあ勝負だリーブ!」
「「じゃんけん、ぽい!」」
「えぇと…」
「これは…」
「僕の勝ち、ですね」
「負けちゃったか〜」
リヒトはスノウを、リーブはヒュムロを撃っていた。
「皆さん終わりましたか〜?」
「では、レクリエーションなので席から立って、周りと好きなようにやってみようか」
すると、周りの生徒が一斉に立って、向かったのはリヒトとリーブの二人のところだった。
新しく入った、そして特待生という枠組みで入学してきたため、周りの生徒からしたら気になってしょうがない存在なのである。
「勝負しない? 1回じゃつまんないから、3回勝負でどうかな!」
「ねぇねぇ、リーブ君だっけ? 私とじゃんけん、しない?」
およそ半分の生徒が、リヒトとリーブの周りに集まり、人だかりを形成した。
リヒトとリーブは、戸惑いながらもクラスの人と属性じゃんけんを通して顔馴染みになることができた。
「皆さん、楽しそうでしたね」
「レクリエーション二つ目は魔法めっこをしましょうか」
「魔法めっこ?」
「まじ? あれ苦手なんだよな〜」
これまた知らない遊びが出てきたぞ。
「二人とも、魔法めっこも…知らないかな?」
「——知らない感じだねぇ…」
その後は先生にルールを教えてもらい、またクラスの人たちを遊んだ。
これは結構難しく、やってる途中でコツを掴んだが、リーブは形をうまく作れず負けていた。
魔法めっこは、属性ジャンケンよりもコツが必要で、魔法の扱いの精密性を向上できる訓練にもなった。
単なる遊びにも、実は教育の要素も含まれてて、さすが育成学校! と思った。
「おっ、チャイムがなったので授業はこれで終わり、各自休むように〜」
「「はい!」」
もう休み時間か、遊ぶとやはり一瞬で時間が経つ。
休み時間の間に校内を散策しておいたほうがいいよな…?
で、でもぉ…。
「ねぇねぇ、リヒト君ってどこから来たの?」
「リヒト君って特待生なんでしょ? 魔力量とか、ポテンシャル値とか知りたいな〜」
「もし良かったらさ! 時間ある時に俺と戦わない?」
囲まれて動けない…逃げ場がない…。
リーブも俺と同じように囲まれてるし、熱が冷めるまで動けないな。
こうしてる間にも、フランとかジャスミンさん達は、伝説の魔法の断片に繋がる手がかりを見つけているんだろうか…。
そう思うと歯がゆいなぁ、こうしちゃいられないのに。
* * *
「あそこ、見えるか?」
「はい、今日はあそこの洞穴を調べるぞ」
「だいぶ遠いですね、かなり迂回しないと辿り着けなそう…」
「この山に流れる変な空気のせいで、徒歩での移動に強制されてるんだ」
「本当に厄介、一体何があるんだろうな…この山には」
「ジャスミン副隊長…」
「行くぞ、ここでのんびりしてられない」
「「はい!」」




