第七十七話 「躍進」
—さらに1時間後—
おっ、ようやく終わったのか。
「リ、リヒト様ぁ…」
「おぉ、、かなり時間かかった様だけど、全部質問だったの?」
「——はい…もう本当に洗いざらい聞かされました…」
「疲れました、すみませんが肩を貸してもらえないでしょうか?」
「全然良いよ、ほら」
緊張してたらいつもより余計に疲れるしなぁ、しかも2時間も…。
でもこれで、俺とリーブの二人とも合格なら! 目標に一歩近づける!
頼む〜、受かっててくれ〜!
—翌日—
「——っと、言うことで今から緊急でリーブに魔法を教えたいと思います!」
「お願いします!」
「さてと、まずリーブはどこまで魔法が扱えるの? あと、どの属性が得意とか、苦手とか色々」
どうして俺がこんなことをしているのかと言うと…。
* * *
あれは昨日の夜、魔防軍第六部隊本庁に戻り、仮眠室で寝る前の出来事。
「すみませんリヒト様、少しお話を聞いてもらえないでしょうか…」
「ん、どうしたの?」
「実は…あの時、僕は現在の魔力量やポテンシャルの値などを見て、少し浮かれました」
「期待が持てる、ジュバターアさんにそう言われた時、僕は嬉しかったんです」
「才能なんてないと思っていましたので…ですがその後、リヒト様の結果を見た瞬間に僕はハッとしました」
そう、あの時。
僕とあなたは、どうしようもないくらいの差があった、それが目の前で実証されたんだ。
——でも…。
「ですがそれは悲しいことではありません」
「僕はすごいと思いました! リヒト様はやっぱりすごい方だと、リヒト様はやはり何にも引けを取らないすごいお方なんだと!」
「そこでリヒト様! 一つお願いがあるんですが…」
* * *
それで、リーブから強くなりたい、魔法を教えて欲しいってお願いされたから、今に至ると言う訳だ。
「得意な属性は風です! ——っといっても、風属性以外の属性魔法はやった試しがなくて…苦手とかはわからないです」
「なるほど、じゃあ風属性を鍛えよっか!」
「はい!」
と言うことで始まった、リヒトの風属性魔法強化講習、リヒトは知っている限りの知識と、風属性の魔法を扱うにあたっての注意点やうまく扱えるコツなどをリーブに付きっきりで教えた。
すると、講習をしている最中に手紙が届いた。
試験結果の通知だ。
手紙の内容を読むと、合格の文字があった。
リヒトとリーブ、二人とも合格だった。
「「やったー!!」」
「合格したね! リーブ!」
「合格しましたね! リヒト様!」
無事に合格できたことで、二人は喜びに浸る。
直前までやっていたことを忘れて、屋敷の庭で嬉し涙を流してお互いを抱きしめていた。
その様子を普通の人が見たら、微笑ましいなどの感想が出るが、二人を遠くで見ていたとある人は、普通の人とは違った感性を持っている。
「——へへっ…」
仕事を抜け出して、たびたびリヒトの姿を影から見ている。 ノルンと言うメイドだ。
実はノルンはフランに負けを取らないほどの盲目的な愛情をリヒトに抱いている。
そしてそれはノルンの裏の顔、誰であってもリヒトであっても決して見せないノルンの裏側。
頭が良いためサボりがバレたことはたった数回だけ、毎度何かしらの理由を自分で作ってその度に説教を逃れている。
「また良い写真撮れた〜! これはかなりレアものかも♪」
ウキウキで仕事に戻っていくノルン。
その傍らで、リヒトとリーブはまだお互い喜び合い、歓笑していた。
かれこれ5分も時間が経っていたが、それほど合格したのが嬉しかったのだろう。
ここで一歩、真実に近づいた。
レグラスに入学し、断片を見つける。
* * *
着々と準備が整っていく毒虫。
ハチは任務を終えて根城に戻ったが、建物内には誰もいなかった。
あれ〜誰もいない? いつもサシガメだけはいるのに、今は留守してるのか。
まぁいいか、ここに書類を置いて家に帰るか。
「——ん…」
私、何やってるんだろう…。
* * *
ここで、場所はとある貴族の屋敷内に変わる。
断片を見つける、この目的のために動くリヒト陣営がもう一人。
「それでは今から面接を始めます、あなたがフラン・フィスティアさんで間違い無いですね?」
「——はい!」




