第七十六話 「面接試験」
えっ? 不合格?
あれ、なにか俺いけないことでもしたのか!?
「リヒトさん…不合格です…」
リヒト様が、不合格!?
「ちょっと待ってください!? どうして不合格なのかの理由を教えてください!」
「言い難いことなのですが…リヒトさんは強すぎたんです」
「レグラスは魔法使いを育成する所です、なのでポテンシャルやランク制度を作り、技量に合った無理のない育成カリキュラムが組まれています」
「ですがリヒトさんの魔力量や現在の技量だと、我々が教えても大きな成長は見込めないでしょう、なので高い教育費なのを払ってでも学園に通うメリットが低いので、不合格と判断しました」
「これは誇っていいことです、どうか気を下げないで自信を持ってください」
「は、はい…」
どうしよう、つまりは俺はこの学園に潜入して見て回ることができないってことだよな?
リーブ一人でできるのか…てか俺役割なくなっちゃうじゃん!
「申し訳ないですが、リヒトさんは部屋の外で待機していてください」
「いえ、僕も入学させてください! 基準が足りてないわけじゃないのなら、後は僕の意思だけじゃないんですか、なら僕はこの学園に入学したいです!」
「な、なるほど…わかりまし…た、でしたらこのまま次の筆記試験に移ります、リヒトさんもあちらの椅子に座ってください」
リヒトはリーブと隣り合わせになるように座った、二人の前にジュバターアが座る形だ。
「それでは、今お二人に3枚の用紙を配りました」
「内、一枚は答案用紙、残り2枚は問題用紙です」
「試験時間は90分です、なお、試験が始まってから魔力を検知すると色の変わる霧が部屋に充満します」
「これは不正行為対策ですのでおおきになさらず」
「それでは、始めてください」
さて、どんな問題が…。
そこから90分の間、二人は必死に答案用紙に答えを書いた、中には難しくて飛ばした問題、答えを頭の奥から捻り出すのに時間をかけたり、文章記述問題に時間をかけたりと。
そして、運命の90分後、合図とともに筆記試験は終了した、一斉にペンを置くと、ジュバターアが二人の答案用紙を浮かせ、手元に持っていく。
「ふむ、、お二人とも合格です」
「「やったぁ!」」
「それでは最後、一対一での面接です、お二人の後ろに簡易的な個室があります、左の部屋にリーブさん、右の部屋にリヒトさんが入ってください」
「面接官の言うことにはちゃんと聞いてくださいね、それでは健闘を祈ります」
リヒトとリーブは言われた部屋にそれぞれ入り、面接官に一礼し、椅子に座った。
リヒトの面接官はきだるそうにしている中年の男性、リーブの面接官はビシッとしている若い男性だった。
* * *
「それでは面接試験を始めます」
「先に言っておく、この場にて嘘は禁止だ」
「は、はい…」
「私はこの面接を使って、君の嘘を真実に変えてもらおうと思っている」
なんか、怖い人そう…。
面接官の男性は、まとまった書類を机に叩き、部屋に入った時とは変わり、少し威圧的な態度に変わった。
「さて、もう一度言うが、この場にて嘘は禁止だ」
「私は[誠実]を求めている」
「まず、これだけは聞いておきたい、あなたの旧名はなんだ?」
「僕の、旧名…」
あれ…僕の旧名?
旧名って昔の名前ってことだよね?
あれ、僕はなんて呼ばれてたっけ…。
まさか、、僕って…。
思えば僕ってちゃんと名前で呼ばれたことあったっけ?
僕に、リーブ以外の名前が、あるの…?
いつも[お前]としか呼ばれてなかった。
元々は優しかった、、でも、その時になんて呼ばれていたっけ…?
思い出せない、、なんで、どうして…。
そっか、もしかしたら僕って最初から名前なんてなかったのか。
まぁいい、今の僕にはリーブという名前があるんだ、昔の名前なんていらない。
「リーブです、今と変わらないです」
「——そうか」
嘘はついていない、だって本当に名前を思い出せない。
思い出せないってことは存在しないってことで、いいよね…?
——正直驚いた…本来は名前が見れるはずなのに、この子だけは名前が見えない。
黒塗りされている…リーブの名前が今の昔も同じならリーブという名前が出るはず…。
初めて見る現象だ、なんだ、呪いか?
——これ以上詮索はしないでおこう…。
この子の闇は深い、私の思っている以上に。
確認できない以上旧名を今の名前と同じにせざるを得ないか、一応警戒リストに載せておこう。
急にトリガーを踏んで爆発したりする系の呪いだった場合、甚大な被害が起こり得る、少なくとも安全とわかるまでは警戒し続けなきゃな…。
「では次の質問だ、現段階で使える魔法は何かな?」
「魔法ですか…」
「——風属性の魔法なら、少しできます」
「例えばどんな魔法を?」
「レベル1の魔法なら大体はできます」
「なるほど…では、風魔法以外は?」
「ヒュムロなら扱えますが、他の魔法はやったことがないです」
「わかった、じゃあ次の質問だ」
「学園生活を充実させるため、卒業するためには共に戦う人、仲間を作らなきゃいけない」
「つまりは友達作りだな、リーブ君、君はコミュニケーションが拙かったりするか?」
「——大丈夫です」
「わかった、それじゃあ次は——」
リーブ遅いな、、。
質問だけで1時間、、面接といっても1時間もするのは聞いたことないな。
それだけ厳格なのか、まぁレベルの高い学園だしなぁ。
「——少し、周りを歩いて暇を潰すか…」




