第七話 「設計図」
この子は何を…って、えぇ?!
この子、頭の中で物体じゃなくて設計図を…?!
どんどん設計図ができていって…。
できたと思ったら一瞬で四角い箱が出来上がった…。
この子、想像力がすごいある…。
「イメージできたら、手先に魔力を集中してください」
「はい…」
「そうしたら最後に詠唱です」
「はい…!」
「クリエイティブ!」
光って、さぁどうなる!
できるか? できるのかぁ?!
光は収まり、リヒトの目の前には直径30cmほどの大きさの正方形の物体が地面に置かれてあった。
「こ、これって…」
「成功です。 習得できまし…た…」
「本当ですか?!」
「ただし…! 生成魔法は、習得は、簡単ですが、扱いは難しい、です」
フランもそんなことを言っていた気が…。
「生成魔法は、作るものの価値が高いほど、生成するのが難しくなります」
「作るものが希少だったり、宝物の内部構造が、複雑だったり」
「そう言った時に、イメージの精度も、消費する魔力量も大きくなります」
「簡単なものだったら、イメージの精度が低くても生成できるんですか?」
「生成はされますが、品質だったりが、その場合は落ちます」
なるほど、つまりは隅々までしっかりとイメージしていればどれもこれも良いというわけだな。
ふふふ、実は俺は前世でそういう系の職についていたからな!
想像力と設計力だけはあるんだ!
つまりこの魔法は俺にとっては天職ならぬ、天法!
「もっと複雑なものを試しにイメージしてみてください」
「はい…」
次は何がいいかな、もっと複雑って言ってたし…。
ここは思い切って小さい剣とかイメージしてみようかな…?
よし、頭の中に大きな設計図をまずはイメージしよう。
まず最初に、剣の形だな。
短剣だから刀身は短めに、その分は先を鋭くするか。
そして鍔を、その次に持ち手のグリップだな。
あとは、持っているときに落ちにくくなるように、一番下にポンメルという柄頭をつけよう。
あとは細かい装飾を、っと…。
「クリエイティブ!」
さぁ、どうだ?
完璧にイメージしたはずだ…!
光は収まり、リヒトの目の前には、先ほど生成した正方形の物体の上に鉄製の短剣が生成されていた。
「え、、嘘…」
「やった! できました!」
「す、すごい、です…」
「この代物の剣を生成できるなんて、さ、才能の塊です…」
そうか? そうなのか?
照れてしまうなぁ〜。
「おそらくは、生成魔法は扱えるでしょう」
「本当にすごい、です…!」
「ありがとうございます!」
この子、本当に才能がありますね…。
今までやってきた魔法を全て、たったの一回で習得、扱えるようになるなんて…。
生成魔法って…私でも短剣なんか作るのに相当な時間をかけたのに…!
* * *
「クリエイティブ!」
これもダメ…。
「クリエイティブ!」
これもダメ…!
「クリエイティブ!」
これもダメ!
「はぁ、何度やってもどこかしらに不具合ができる…」
生成魔法、頭の中で描いたイメージを魔力を通して実物として生成することができる魔法。
魔法の存在価値としてはかなりなものだけど、扱う難易度が高いことで、あまりみんなこの魔法には触れていない。
私も、扱えるようになりたいから、可愛いぬいぐるみなんかをイメージしているけれど…。
「クリエイティブ!」
まったくダメダメ、思い描く理想のぬいぐるみじゃない。
必ず、どこかしらバランスが悪かったり、中の綿が出てしまっているもののある。
頭の中でのイメージが完全じゃないのか?
どこか見落としているはずなのに、、。
* * *
そこから数週間経って、やっと理想のぬいぐるみを作れたんだっけ。
コツは掴めたけど、それでも、まだかなり扱うのは難しい魔法の一つになるほど。
やっぱりこの子は将来、すごい子になるね…。
これは多分じゃない、絶対にだ…!
「そろそろ休憩、し、しましょう…」
「は、はい」
「お〜い、フラン〜」
はっ!
リヒト様が私を呼んでいる!
「はい!」
わぁお、すっごい速さでこっちに来てる…。
な?か心なしか怖くなってきたな…。
「どうされましたか、リヒト様?」
「休憩だって言われたから、一緒に休憩しよ」
「——?!」
リヒト様が、私と一緒に休憩を…!?
なんて幸せこの上ない…。
「何をしましょう〜」
「いえ、その前に何かお茶や菓子などを…」
「持ってきますので、少々お待ちください!!」
あぁ、行ってしまった…。
これまたすごい速度で走っていったな…。
「た、楽しそうですね、あの人は」
「そうでしょうか?」
「は、はい」
「あの顔は、忠誠心よりも上の何か、別の感情があの動きの原動力となっている気がします」
別の何か、忠誠心よりももっと上の存在か…。
「なるほど…」
* * *
「ふんふんふふ〜ん♪」
「ご機嫌ですね、マヒト様」
「そしゃそうでしょうよ!」
「なんてったって、明日はリヒトが僕の仕事場に来るんだから! ワクワクしちゃうって!」
マヒト様、本当にリヒト様のことが好きですね。
かく言う私もリヒト様のことは可愛がりたいくらいですが…。
フランが専属になってしまったからにはむやみやたらにリヒト様に近づくことができなくなってしまった…。
あの人は見かけによらずな人ですからね…。
できれば私含め、全員がフランとは敵対関係にはなりたくないでしょうね…。




