第六十九話 「雪山の主」
「ふぅ…それじゃあ本題に入ろう」
「——それ、お酒じゃあ…?」
「パンチの弱い酒なんか酒とは言えない、だからこれは酒じゃない」
とんだ暴論だな…。
「それで、話に映るんだが、儂らは生まれてからずっとこの村にいる」
「昔からこの山は冬の時期はかなりの量、雪が積もるほどだった」
「吹雪だってほぼ毎日吹雪いていた」
「だが、一年中吹雪いていたわけじゃない、冬になったら雪が降るし、春になれば雪は全部溶けていた」
「一年中降り出したのは8年前からだ」
「——8年前?」
「一度山の頂上に行ったんだ、すごい量の魔力が頂上から溢れていたんだ、そこへ行ったら…」
* * *
「お、おい、何かいるぞ…」
「あれは…ドラゴンか?」
「ドラゴンだって…!? バレたら死ぬ…」
「起こさないよう慎重に戻ろう」
「あぁ、そうだな…」
「——お、おい…」
「なんだ、急いで戻らなきゃ…!」
「あ、あそこ、、何かいないか…?」
「えぇ…? どこに」
「ほら、あそこだよ…奥の洞穴の中に…」
「グルルル…」
「やばいぞ、ドラゴンのやつ起きやがった!」
「おい、早く逃げるぞ! おい!」
「あ、あぁ…!」
あれ…まさか…。
* * *
「——それ、本当なんでしょうか?」
「おそらくは、、」
「山の頂上付近にドラゴン、その奥の洞穴に少女が一人…」
「少女の件も大事だが、君たちが困ってるのはこの雪だろう?」
「あのドラゴンを倒せば雪は消えるはずだ、発生源を断てばそのから出るものは消えるからな」
「引き受けてはくれないか? 儂らも少し困っているんだ」
「もちろん、引き受けるよ」
「ありがとう…少年よ」
「だが、気をつけて欲しい、相手はドラゴンだ」
「はい!」
「ドラゴンの場所まで案内しよう」
「ここから山の勾配が大きくなるぞ」
たしかに、、目に見えて急斜になってる…。
そうして、村から頂上へ向かうこと約2時間。
この山にずっと住んでいるからなのか、見分けるのが不可能と思っていた雪に埋もれた落とし穴がどこにあるかが分かると言い。
頂上へ着くまでの間、一回も落ちずに何事もなく着けた。
「着いた、前はこの大岩の向こうにドラゴンがいた」
そーっと…そーっと…。
——なるほど…。
「いました…」
「いたか…倒せそうか?」
「あれってただのドラゴンですか?」
「リヒト様、あれはおそらくフロストドラゴンです」
「フロストドラゴン?」
「フロストドラゴンはランクSの上位種のドラゴンです、フロストドラゴンの下位種はアイスドラゴンですね」
「フロストドラゴンは特殊な波動を持っているらしいです」
フロスト…なんとなくだけど氷属性の特殊能力ってことは、多分近づいたら凍っちゃうとかかな。
「三人は、それぞれどう戦うんだ?」
「えぇーとですね、、僕とフランさんはあのドラゴンに傷一つつけられないです…」
「じゃあどうすれ…まさか…」
「はい、戦うのはリヒト様だけです」
「この少年が…」
さてと、、上位種、Sランクのモンスターと戦うのは初めてだな。
いっちょやるか!
「まずはレヴォルテ!」
「グルルル…」
まじか、レヴォルテでかすり傷程度…。
「グルルル…!」
「僕たちは離れましょう」
「そ、そうだね〜、、本当はリヒト様の戦ってる姿を見たいけど…」
「——少年…」
「えいっ!」
「グオオオオオ!!」
やっぱり、近づくだけで凍るっていうのは合ってるっぽいな。
魔法で体の体温を上げてるから凍らないけど、これじゃあ魔力消費が大きい…!
大技を何発も撃つなら魔力はできるだけ残しておきたい…。
だけど無くせば一瞬で凍るだろうな…短期決戦かっ!
「えいっ!」
「グルルル…グオオオオオ!!」
おっと、危ない危ない…。
こいつ、飛ばないのか? けど、図体が大きいから飛ばなくても十分厄介!
一撃くらっただけでお終いかもな。
「グオオオオオ!!」
「グオオオオ!! グオオオ?」
「グルルル…」
なんだ? なんか急におとなしく…。
「グルル…お主…」
え!? 喋っ…。
「お主、アークストンの者か」
「気配が我が主と同じだ」
「え、えぇと…」
「答えろ、お主はアークストンのどの位だ」
「末っ子です…」
「なぬっ!?」
「そ、そそそ、それは…申し訳ないっ! 許してもらいたい!」
え、きゅ、急に土下座してきたぞこのドラゴン。
「え、ど、どういうことですか?」
「訳を話そう、だが、その前に先ほどの無礼をどうか許してもらえないだろうか…」
「さっきの死闘ですか?」
「死闘…そうか死闘か、、そうだ…」
このドラゴン、まさか本気じゃなかったのか!?
——た、たしかにドラゴンって戦うとき空を飛んで戦うイメージが強いし、空を飛んでないってことは本気じゃなかったのか。
「許します、、なので理由を教えてください、2つ」
「ふ、二つ?」
「一つはあなたが話そうとしていること、もう一つはこの山に全体に魔法をかけている理由です」
「わ、わかりました、ではまず我のお話を聞いてください」
「我はフロストドラゴンのラシャリアだ、この名は主から名付けてもらった」
「ドラゴン族では上位種の存在であるフロストドラゴン、そんな我には主がいる」
「それが大魔族、アークストン・グラナト様だ」




