第六十八話 「真夏の雪山」
この山は、異常だ…。
「な、なんで真夏なのにこんな吹雪が…」
なんだこの山は、一瞬にして吹雪がきたぞ…。
来た道! 崖から跨いだ先は雪が積もってない…。
「リヒト様、どうやらここは、山全体に魔法がかかっているようです」
「——魔法…?」
「はい、完全な雪山、一年中山の全部が雪に覆われている山…」
「こんな真夏の季節に雪がある時点でおかしいのに、その上吹雪です、これは魔法以外あり得ません」
「おそらくは山の主、、です…」
「どうしますか? 迂回していくか、この雪山を通って最短ルートを通りますか?」
どうするか…。
正直、この程度の寒さなら魔法を使えばどうにかなる。
でも二人は…。
「魔法で二人を温かくしたよ、これなら」
「おぉ、、あったかいです〜」
「——ありがとうございますリヒト様、では行きましょう」
どうしてこうなったのか…それは少し前に遡る。
* * *
「リヒト様、後少しで森を抜けます!」
「やっとだぁ…」
「抜けましたね」
「うん」
「あの崖を越えたら次は目の前の山を越える必要があります」
「ずいぶんと木の少ない山だね〜」
「珍しいかもです」
そうして、崖をリヒトの魔法で飛び越えた。
向こう岸に足をつけた途端、瞬間的に視界の色が木々の緑や地面の茶色から、全てが一面真っ白な銀世界になった。
* * *
「地図だと雪山の印である白色の印がないので油断してましたね」
「その場に踏み入れないと発動しないとうことでしょう」
「とりあえず歩こう、、このままじゃ足の身動きが取れなくなるよぉ」
「そうだね、進もう…」
厄介この上ないな。
この山全体に魔法をかけているんだとしたら、、。
猛者中の猛者、、だね…。
「近くに村があるようです、、寄っておいたほうが良いかもです」
「それはどうして?」
「この山にしかいないモンスターがいるかもしれないので、もてる情報は持っておいたほうが良いんです」
リーブ…すごいな、賢い。
「ここからどのくらい離れてるの〜?」
「意外とすぐみたいです、夕暮れまでには着けそうです」
夕暮れ、、いま昼前だぞ…? すぐじゃない…。
木が少ないからか歩きやすいな、雪が積もってるから草とか木枝とかの障害物もないから歩きやすい。
でも、、たしか雪の中の山って…。
「——危ないっ!!」
「え…?」
危なかった…そうだ、山には小さな穴がいくつもある…。
「気をつけて! 落とし穴がいくつもあるよ!」
「は、はい!」
といっても、分厚く雪で蓋されてるから本当に分からないんだよな。
穴に落ちた瞬間魔法で上へ上がるしかないか…。
「おっと…いきなり穴がありましたね」
しかも、こっちでは穴の下にモンスターがいることもあるのか…。
見た目的にアリジゴクだな…やり口もまんまだ。
「見た目は小さいですけど、あの鎌は痛そうですね…」
「想像以上に危険な所ですね…」
「そうだ! 熱で雪を溶かせばいいんじゃないですか?」
たしかにそうか、足場は若干悪くなるが、落とし穴は避けれる。
「ヒュムロ」
「あ、あれ…溶けない?」
「いいえ、溶けてはいました、すぐに雪が積もったんだと思います」
「でも今吹雪は止んでるよ?」
「——再生…」
溶けたら溶けた分を積もらせる、、言ってしまえば再生能力持ちってことか。
厄介この上ない!
「レベルの高い魔法を使っても無駄だと思う、このまま行くしかない」
「うへぇ〜、まじですか…」
「足元に十分注意しましょう」
一面銀世界の雪山、歩けど歩けど目に映る景色は一向に同じ。
勾配は急ではないし、木の本数も少ないから動きやすいは動きやすい。
でも、、。
「うわぁあ!?」
「——セーフ…」
「ありがとうございます、リヒト様」
落とし穴が多すぎると思う。
山なんて富士山ぐらいしか登ったことないからな…山の道なき道はこんなにも穴が多いのか?
「地図だと、多分この上ですね」
「目の前の、この崖の上に?」
「はい」
「うへぇ〜、これは登れなさそうだよ?」
「でもここは行き止まりです、引き返すしかなさそうですね」
風魔法で飛べなくはないけど…二人は使えないしな、仕方ないか。
「——来た道を引き返そう」
「誰だね、君たちは」
「・・・」
「——なんだ、何か喋らないのか? 君たちはどこから来た?」
——変…態…?
変態、変態だよな?
明らかに変態だろ、こんな雪山の中で上裸? バカじゃねぇの!?
「儂らはこの崖の上にある村の住人だ、君たちは儂らの村に何か用があるのか?」
「——あ、は、はい!」
「ようやく喋ったか、何の用だ?」
「この雪について、知りたくて」
「ふむ、突然だが、報酬を出すからモンスター倒してきて欲しい、っといったら君たちはどうする?」
「リヒト様、失礼します…」
「それはこの雪山の主ですか?」
「——そうだな…君たちはこの話に興味はあるかい?」
「はい」
「そうか、ここじゃなんだ、村の中で話そう、温かい方が君たちも気が楽だろう」
「儂らのように寒さに耐性がある分けじゃなさそうだ、現に君たちは魔法を使っているだろう」
「お〜い、下ろしてくれ〜」
すると、崖の上から太いロープが落ちてきた。
まさかの、この崖が村の入り口の役割を持っていた。
「これを使って上に登るんだ」
きついな、、足をかけれる所が全然ないから単純に腕の力で上に上がらなきゃいけない。
「はぁ、はぁ、、はぁ、、」
な、なんとか登れた…。
「よっと、それじゃ酒場へ行こう、話場としてはもってこいなんだ」
「さ、酒場?」
「安心してくれ、話の場に酒は出さないさ」
「そ、それなら…」
そうして酒場に着くと、飲み物を頼んでくれた。
飲み物が来た瞬間、すぐに飲み始めた。
俺のリーブ、フランの飲み物は何かのドリンクだけど、この人たちが飲んでるものの匂いがどうも覚えのある匂いだ…まさかこの人たち!?




