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第六十七話 「成長する思い」


 彼はバーンデットを退けた。

 バーンデットの手を避けた、その時点で十分攻撃できる隙はあった。

 でも何もしなかった、そしてバーンデットが逃げたあと、私のことを気にかけて、励ましてくれた。


 そのおかげもあって私は無事に試験に合格でき、晴れて三級魔法使いとなった。

 受かったのが嬉しくて、すぐに自分の順番を待ってるリトに受かったことを報告しようとした。


 ——でも、リトはそこにはいなかった、私が試験を受けてる間にどこかへいってしまった。

 のちに分かった、私が試験を受けている最中に試験、から抜けている。

 お礼も言えないまま、消えてしまった彼…。


 * * *


 私は成長した、今は11歳。

 私は生まれながら背が小さいし、すごく童顔だから少女と勘違いされる。

 今だってそうだ、大人なのに子ども扱いをしてくる人しかいない。


「私だって、、大人なのに…」


 と、とりあえず、私はあの時の事が忘れられずにいた。

 私は今や二級魔法使い、、私の今の夢は…。

 [あの時の彼に会う事]、そして会った時に、あの時のお礼と、、。


 私の思いを伝えるんだ…!


 そのためにも、こんなところでとまるわけには…!

 自立してから2年、たくさんの都市の役所に行ってリトの名前やそれに類似した名前の人物を見る。

 一つずつしっかりと、あの時の記憶と照らし合わせて。


 黒髪に内側には白髪が隠れていて、一部分には赤色の髪がある、これだけでも十分な情報だ。

 そして赤色の瞳、、これだけの情報があればかなり絞れる。


 ——でも、この2年間で訪れた都市は30以上、それなのに似ている人はいた。

 全員にコンタクトをとった、でもリトのピースに当てはまる人は一人もいなかった。


 今回はアークストン家の領土で最大の都市、、。


「ふぅ〜、、」


 よし、入ろう、毎回役所に入るの緊張するんだよなぁ…。



 どれどれ、今回は似ている人いるかな?


「違う、違う、違う、ちが…う」


 どれも違う、、今回はハズレかなぁ…。

 う〜ん…ん、ん…?


「これ、、似てる…すごい似てる…」

「髪型、髪色、瞳の色も同じ…」


「それに、名前が…リヒト…」


 名前も似ている…これはまさかあるのか?

 よし、善は急げ、私の魔法で住所を特定しよう。


 私の魔法、パイラルは、相手の情報の一部分を対価に知りたい情報を得られる魔法。

 今知った名前を対価に、住所の情報を知る事ができる。

 この魔法を使う前に対価として消してしまう情報をあらかじめメモ書きしておかないといけない。


「よし、、アークストン・リヒト、住所はやっぱりか、、」


 名前を見た時から薄々勘付いていた、なにせ領土の名前を一致しているから。

 それにしても、、ものすごい大物のところに行くのか、私は…。


 二級魔法使い、ある程度の地位はある、門前払いはない、、はず…!


「よし、行ってみよう…」



 お、大きい…。

 さすが領主の家…規模が違う…。

 とりあえず門番の人に聞いてみよう。


「す、すみません、少しお話いいでしょうか?」

「誰かね君は」

「あぁすみませんっ! 私は二級魔法使いのエステア・ミルス・サーヤと言います」

「こちらのお宅にリヒトというお方はいらっしゃいますか?」

「「——"様"をつけなさい」」

「す、すみませんっ! リヒト様はいらっしゃいますか?」


「リヒト様に何の用だ」


 そういえばそうだな〜、いままでこんな大貴族の家に行ったことないし。

 私の憧れの人に似ているので会わせてください! なんて言えないし…言ったとて門前払いだろうし…。


「に、、」

「——ん…?」

「庭のお掃除をしにきましたっ!」

「庭の掃除? そんなのは今日入ってないぞ」


 でしょうね…。


「り、臨時ですっ!」

「臨時か、、なら今から問い合わせる、少し待ってなさい」

「は、はい〜」


「中へ行って、このことを伝えてきてくれ」

「わかりました」


 これで通ったら潜入は容易い…。

 容姿が分かってるから後は直接、最悪遠くからでも姿さえ見れればいい…!


「お待たせしました、確認が取れました」

「そうか、ご苦労」

「君、許可が降りたそうだ、今からいう指定の場所の掃除をお願いするよ」

「は、はいっ!」


 ——って言われて来たものの…。

 広い、、無駄に広い…。


 私も一応貴族だから広い屋敷はあるけど、、ここまで庭は広くないよ。

 というかこれ庭じゃないでしょ! 狭い草原だよこんなの!

 まさか屋敷の裏にこんなのがあるなんて…。


「——ふぅ、、さてと…」


 掃除をしつつも、少しずつ屋敷の方へ移動して…。

 裏口からの侵入はできた、あとは隠れてリヒトという男の子を見つけるだけ!




 * * *




「そういえば、さっきあの子、リヒト様に用があるって言ってましたね」

「確かに言ってたな」

「リヒト様、たしか自立をして、遠くの方へ行ったんじゃぁ…」

「そうだな」




 * * *




 よしよし、とりあえず広い廊下に来た。

 廊下は物が少ないから隠れながら行くのは無謀、違うルートにしよう。

 どこにいるんだろう…。


 メイドさんが一斉に動き出した…?

 そろそろ戻ったほうがいいのかも…。


「ルレイズ」


 ——よし完璧!

 ルレイズは指定したものを1秒から最大で1時間までまで戻せる魔法。


 一日に3回しか使えないけど、、色々便利なこの魔法、熟練度によって戻せれる時間の上限値が上がったり、使える回数制限が多くなったりする。

 私はこの魔法が好き、おっちょこちょいな私でもこの魔法があればなかったことにできるし!


 とりあえず、急いで掃除しよう、貴族って何かと厳格だからなぁ…。


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