第六十六話 「広大な森の中」
広大な森、視界に映る景色は一向に変わらない、何時間、何十時間も同じ景色を見ていると精神はおかしくなっていってしまうもの。
「リヒト様〜、もう限界です…」
「あとどのくらい歩けばこの森抜け出せるんですかぁ〜」
「地図と比較すると多分あと2日…」
「二日…ですか…」
「しかたないですよフランさん、馬車などの移動手段はない、空を飛んで移動しようにも飛べる魔法はリヒト様しか持っていないため必然的に徒歩での移動しかできないのです」
「徒歩の移動は時間がかかりますからね、、」
徒歩よりも早いものに体がなれると感覚は麻痺していくものだ、徒歩程度の移動速度だと物足りない、遅いと感じてしまう。
でも、、徒歩でもいいと俺は思っている、なぜなら。
「この旅はゆっくり、進めていくもの、だから少しずつ目的地に向かっていこ?」
「——そ、そうですね…少し焦っていました」
「でも、少し休憩はしませんか? 正直頭がやばいです」
まぁ、これだけ同じ景色を1日半もずっと見ているんだ、俺だって正直頭がバグりつつある…。
「あと二日、、耐え切れるように脳に言い聞かせとかないと…」
「モンスターとも会わず、何も起きないままは確かに堪えますね」
「精神がぁぁ…」
その後、各々好きなことをして時間を潰していった。
リヒトは生成魔法の練習、リーブは武器の手入れ、そしてフランは。
ぐふ、ぐふふ、、。
ふふ〜ん、やっぱりリヒト様の秘蔵フォルダを見てると癒されますね〜。
絶対にリヒト様にはバレてはいけませんからね。
今は魔法の練習で目を瞑っている、チャンス!
今は堂々と、はっきりと見れるっ!
「ふふ、えへへ、、」
「——ん、うぅ…フランさん…」
「ぐふ、、あっ…」
リーブにバレてしまった、武器の手入れをしているからバレないと思ったのに…!
なんでこのタイミングで顔を上げる!
「持っていていたんですか…」
「リヒト様には、内緒ですよっ!」
「——では、、僕にも見せてください」
「ふふ、お主も悪よの〜」
「フランさんほどでは〜」
「「ぐふ、ぐへへ、、」」
うるさい、、何をそんなに盛り上がっているんだ…。
こうして休憩の時間は終わり、再び歩み出した三人。
* * *
「はぁ、、最近暇だなぁ」
「そうだな」
「今、新芽ちゃんは?」
「トピアの森にいる」
「トピアか…付近には誰もいないしなぁ」
あの時、、地下に眠らせてる、、正確には監禁していたラディを解放して新芽ちゃんの所へ向かわせた。
あいつはちゃんと殺るやつ、行く前に瀕死程度まで弱らせるよう指示したんだが…。
蓋を開ければ普通に殺そうとしてた、やっぱりあいつはダメだ。
「ラディ、そういやどこ行ったんだ?」
「あぁ、あいつか、知らんな」
「あの快楽殺人鬼、早いうちにとっ捕まえとかないとな」
「あいつは平気で殺るしなぁ、、命令もろくに聞かない」
「だから出したくなかったんだけどなぁ…まぁ仕方ないさ」
過ぎたことにいちいち愚痴を言ってもキリがない。
今はとりあえず、戦力確保が優先だ。
「あの求人、成果はどうだ?」
「え、求人?」
「あぁ求人、あの時のポスターだよ」
「え、あれ本気だったのか!? 普通に燃やしたぞ」
まじかぁ…。
露骨に落ち込んでるな、あぁめんどくさい…。
なんでこいつが隊長なんだか、実力はあれどリーダーシップ性がない。
俺が副隊長で色々と助言をしてるが、、。
そろそろその座、明け渡してもいいんじゃないかな…。
「ローレン、この座が欲しいのか」
「——っ…! そ、そうだな」
まさか、思考を読んだのか!?
「そうだな、、俺がなんで隊長の座にいるか、知ってるか?」
「——知らないな…」
「自覚はしてる、俺にリーダーシップはない、頭もローレンほど賢くはない」
「ならなぜ俺が隊長か、それはな、、」
闇の世界じゃ大抵の場合がこれだ。
「——ぐふっ…」
あぁ、そういやそうだったな、俺とお前の間にある、圧倒的な差が…。
「実力だ、この世、闇側ならそれが顕著に出る」
「実力のあるものが上の座に立てる」
「強いものが上に立ち、下のものを従わせる、それが自然の理よ」
「わかったらその殺気を消せ」
はっ、勝てないな…。
* * *
「リヒト様、地図だともう少し歩けばこの森を抜け出せそうです!」
「おっ、本当——」
「本当ですかっ!!」
食いつきがすごいな…。
「はい、この先に大きな崖があって、そこで森は終わっているようです」
「崖…ってことは!?」
「迂回する必要がありますが、心配はいらないでしょう」
「——え…?」
* * *
うぅ…ここが…。
「うぅ〜緊張するぅ…」
私の名前はエステア・ミルス・サーヤ、エステア家領土の貴族家系の次女。
私は今、とある人を探している。
それは私の初恋の人でもあり、憧れの人でもある。
彼と出会ったのは三級魔法使い試験の時…。
* * *
あの時、シグルス家の末っ子、シグルス・バーンデットとその取り巻きにいじめられていた。
いじめられていた理由は私の持つ魔姫石を狙っていたこと。
今でもはっきりと覚えている。
あの時、怯えてばかりだった私。
そして才能という言葉を過信していた親に連れられて強制的に試験を受けさせられていた。
当時、あがり症だった私は緊張ではっきりと喋れなかった。
魔石を目当てに私よりも位の高い貴族からいじめられていた時、私の前に立ってくれたのは、リトという一人の男の子だった。




