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第六十五話 「虫の居所」


「はぁ〜」


 まったく、ムカデの野郎、無茶な任務を依頼しやがって。

 面倒臭すぎて全方位攻撃で全部殺してしまった。

 全方位攻撃だと建物とか周囲のものも壊してしまうから後片付けが面倒くさくなる。


「——くそっ、これは後でムカデに愚痴を言うか」



「帰ったぞ」


「おかえり、ヒル、随分と気が立ってるじゃない」

「あぁハチか、あぁそうだ今すごく腹が立っている」


 十中八九ムカデだろうなぁ…。


「——っち、虫の居所が悪いぜ、要件が済んだらさっさと帰る、じゃあな!」

「あ、うん、ばいば〜い」


 ヒル、大分機嫌が悪い、これは用心しないと何人かまた殺すわね。


「——っち!」


 あぁ本当むしゃくしゃする、早いこと気持ちを落ち着かせないとな。

 暗殺者は感情を表に出さない、出したら最後、計画に支障が出るからだ。

 だからこそ俺は普段感情を殺してきた、だが、ムカデの…。


 あの野郎の無茶な依頼だけは本当毎度イライラする、こっちだっていろんな任務が入って忙しいのに!

 [俺の依頼を優先しろ、じゃないと壊すぞ]とか言ってくる。

 そんな言われたらやるしかなくなるじゃないか。


「——ふぅ…」


 とりあえず愚痴をこぼして少しは落ち着いた、あとは食べて魔力やらを元通りにするか。



「や、やめっ、、」

「餌はただ捕食者に食べられるのみ」


「捕食」


「——ぁぁ…」


 こいつらは生粋の犯罪者共、大量殺害、強盗、快楽、どうしようもない奴らだ。

 こいつらはとっくのとうに死刑が確立されている。

 だから特別に許可を得て、死刑が確立されている犯罪者共をこの地下室に閉じ込め、俺の餌にする。


「お前は人を大勢殺したのにいざ自分が殺される時はこうやって無様に命乞いか」

「どうせ死刑が確立されているのに、なぜまだ生に執着するのか」


 二人食べて完全回復か…いつもなら一人で完全回復するのにな。



—翌日—


「ようヒル、昨日の依頼ありがとな」

「——ムカデ、、無茶な依頼はやめてくれ」

「若い奴は仕事で成果を出して、上のやつに媚を売っておくもんだぜ〜」

「まぁ、お前は受けた依頼は必ずこなすやつだからな、俺はすごく評価してるぞ」


 だからって実力に合わない無茶な依頼を持ってくるのは違うだろ…。


「俺はあいつとまた遊んでくる」


 はぁ、本当無類の戦闘好きめ、、。


「そうだ、まだきてないが今日は週一の毒無視の集まりがあるっぽいな」

「そこで言え、俺は[欠席する]とな」


 アンタが集まりに参加したことなんて滅多にないだろうが、むしろ最近はムカデがいないていで勧められてる。



「じゃあな」


「——行ったか…」

「——ムカデは相変わらずだね〜」

「ハチか」

「私だけじゃないよ、他にもサシガメ、マダニがきているわ、クモはまだきてないわね」

「——サソリはまだ復帰に時間がかかるのか」

「そうっぽいよ〜」


「みんな集まっているか?」

「マダニ、、クモがまだなのか?」

「クモ? クモはもういるぞ?」


 クモのやつ、まさかずっといたのか…!?

 だけど、たったいまクモを認識できた…すごい成長をしてるな。


「暗殺者たる者、牙を出すまでは常に隠さなくてはならないだろ」

「本当、隠れるのだけはうまいよね〜」

「——否定できないのが辛いな…」

「クモは非戦闘要員だから問題ないだろう、サソリはまだ復帰は難しいため今回は出席しない」

「それで、、ムカデは?」

「——遊びに行ったよ…」

「またか、、」


「それでは週一の毒虫の集まりを開始する」

「各自、何か大きな出来事はあったか?」

「俺は特にない」

「僕もないです」

「私もないよ〜」

「——俺もない」


「全員なしか、、珍しいな」

「では話を変えよう」

「——そろそろ計画の時だ、各々やることは把握しているよな?」

「ムカデ、ヒル、ハチが戦闘」

「俺とクモでサブ役を、サシガメの情報と指示役だ」


「ひとまず伝えたいことは伝えた、集まりは終わりでいいか?」

「この世界にはどこにでも悪と正義がいる、俺達は悪を滅する存在、だが正義でも悪にでもどちらにも傾いてはいけない」

「俺たち毒虫は中立、均衡を維持するんだ」


 俺たちは依頼さえされれば悪にだって正義にだってなる。

 だが最終的にどちらにも俺たちは傾いてはいけない。


 どちらかに傾いた瞬間、どちらかは敵となる。

 生かした方がその後の人生の基盤になる、常に戦場を生きているような者ならなおさらだ。


 俺はそんな人生を選択した、他の子達はどちらかを選択する人生に進んでほしくはないな…。


「俺は行く、魔法の調整があるんだ」

「私もちょっと用事があるから、ばいば〜い」

「僕も帰ります」

「俺も帰る、クモはまだいるのか?」

「あぁ、ここは本拠地だからな、巣として立派にしたいんだ」

「そうか」


 俺の名前はマダニ、毒虫のNo.1の地位にいる。

 俺はムカデやサソリのような戦闘要員ではない、実力はあるが、俺の本領はそこじゃない。

 俺は俺のことを、"サブ"の役割に当てている。


 理由はなぜか、それは俺の扱う魔法が関係している。

 俺の魔法は感染、増殖、俺一人の体内の血液などを毒性のある液体に変えた状態で破裂させれば敵にダメージが与えられる。


 破裂した俺は増殖した俺だから問題はない。

 俺はあまり戦闘は好まない、だから実力があっても決して戦場の最前線には立たない。

 だから俺は""サブの役に落ち着いている。


 そういえば、、今回の計画、悪側にだいぶ偏ってしまうな。

 正義側にかなり反感を買うが、しかたない。

 中立とはそういうものだ、誰かを救えば、誰かは救えない。


 救われなかったものが救われたものに対してとやかく言うのは勝手だ。

 好きにすればいいさ、毒虫とはそう言うものなのだから…。


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