第五十八話 「アークストン家の夏休み」
「「夏だ! 海だ! 休みだ!」」
「1日しか休みはないけどねぇ〜」
「およよよよよ……」
「母上、空気を壊す発言はやめてください」
「あらら、ごめんなさいね〜クラン」
「ここって…」
「そう! 僕たちアークストン家所有のビーチ、クルスビーチさ!」
「南北に細長く、もちろん、海もご覧の通り綺麗さ!」
「すごーい!」
「さぁ、せっかくのビーチに来たことだし!」
「「泳ぐぞっ!」」
「あ、ラムド、目と目があったな」
「兄様、目と目があったらもちろん…」
「「競争だ!」」
「あそこの岩場に先に着いた方が勝ちだ!」
「わかりました!」
「「うぉぉぉお!!」」
元気だなぁ兄様達は。
「ねぇねぇリヒト?」
「はい、なんですか? ラナカッテ姉s……」
——っ?!
エッッッッ!?
やばい、これは流石に男として込み上げてくるものがあるぞ…。
「き、綺麗ですね…似合ってますよ…あはは…」
「でしょ〜? この水着、私の良さを最大限に引き出すべくして作られた水着だし」
「似合ってないわけない! って感じ」
「あは、あはは…」
「クランとラムドの上二人は何バカなことをしてるんだ…まったく」
「だが、」
「ひっ…!」
「アイツら二人とは反対に、マヒト、あんたはせっかくの海だってのになんでそんな重装備なんだ」
「だ、だって日焼けとか嫌だし、、それに海はちょっと…」
「——女子かっ!」
「いや! 理由が女子かて! せっかくの海なんだし、あんたも少しは泳いだりして楽しみな!」
「うぅ…わかったよぉ…」
脱ぐの早っ!? なんだこの装備、一瞬で水着に着替えやがった…。
「みんな元気で何よりだ!」
「そうね〜」
「ほら、リヒトも混ざりな!」
「おーいリヒト〜! 今からゲームやるから一緒にやろうぜ〜!」
「あ、うん!」
「うふふ、いいわねぇこういうの」
「あぁ、そうだな」
「今日一日だけだけど、みんなの休みが取れてこうしてビーチでバカンスができるなんて…」
「あぁ、まったくだ」
「私たちも何かしましょう?」
「あぁ、そうだな」
「それっ!」
「よっと!」
「いっけぇ!」
俺は今、楽しい楽しいゲームを!
——と、言うわけではない。
訂正しよう、今俺は、、。
戦争地に駆り出されている。
「おりゃぁ!」
「あ、そっち行ったぞ!」
「あ、うん! っほ!」
「ナイス! とりゃぁ!!」
今、俗にいうビーチバレー的なことをしているんだが、ルールが少し違う。
一番重要なルールとして、使う球は地面に落ちると爆発する仕様になっている。
その球、爆発させないよう相手に返し、自分の陣地に落とさないようにする。
他にも、同じ人が2回連続で球に触れる事が禁止なのは同じだが、ボールに触れていい回数が4回になっている。
大まかな変更点はそのくらいだな。
「行くぞ、マヒト」
「はい! 兄様!」
「来るぞ、構えろリヒト!」
「はい!」
俺は今、全力でボールが地面に落ちないよう頑張っている!
チーム分けはクラン兄様、マヒト兄様のチーム赤。
ラムド兄様と俺の、チーム青となっている。
「ほっ、」
「おらぁっ!!」
「——しまっ!」
間に合っ…!
ドカーーーン!!
「く、くそぉ…」
ま、負けた…。
「ケホッ…」
「あ、リヒト!」
「ちょ、兄様?! 威力高くないですか?!」
「す、すまない、前にやった時と同じ威力にしてしまった…」
「リヒトは初めてなんですよ?! それにまだ8歳!」
「ラムド様だってかすり傷を負うくらいの威力なのに、、」
「リ、リヒト…」
「と、とりあえず治癒治癒…」
「治癒」
ん、ん…?
あ、あれ、いつの間にか寝てたのか…?
たしか、、ゲームに負けて…爆発で…。
「あぁ、よかった…ありがとう、マヒト」
「いえいえ」
「本当にごめんな、まさか気絶するほどだとは思わず…」
「おい、もっと頭を下げろ」
「ラナカッテ…いつのまに背後に…」
「さぁ、いつだろうな?」
「どうしたんだ?」
「クランがリヒトを爆発で気絶させたー」
「あ、ちょ、おい!」
「やれやれ、ほら、この普通のボールでやりなさい」
「「はーい」」
「あ! あと、お母さん達も参加してい〜い?」
「いくわよ〜! えいっ!」
「きたきた〜! よっ!」
そうして、家族全員での試合が始まった。
先ほどと変わってボールが地面に落ちても爆発しなくなったため、ルールはほぼビーチバレーと変わらなくなった。
チーム分けは、父様、クラン兄様、マヒト兄様のチーム赤。
母様、ラナカッテ姉様、ラムド兄様と俺のチーム青だ。
「こっちだ! 父さんにパスをくれ!」
「いきますっ!」
「きたきたー! 喰らえ! オヤジショーット!」
「くっ…!」
「繋ぐわよー!」
「ほっ!」
「いっけぇ! お姉ちゃんショットぉ!」
「うぉっ…!」
かなり白熱し、勝負は最後の一点を取った方の勝ちまで行った。
「はぁ、はぁ、、それっ!」
「お母さんショット!」
「——っあ、まずい!」
「うぉぉぉお!!」
ザザーーー、、。
「く、くそぉ…」
「ま、負けた…」
結果、勝敗はチーム青の勝利となった。
人数の有利が大きかったのか、それでも最後の最後までずっと点差が離れなかったから、父様や兄様達は流石としか言えない。
「最後のショット、すごい良かったよ母上!」
「そ、そうかしら〜?」
「よーし! まだまだ時間はたっぷりある! 遊び尽くすぞー!」
「「おぉー!!」」
こうして、夜になるまで遊び尽くした。
* * *
砂浜で競走、水中で競走。
砂遊び、水辺の生き物観察など、ありとあらゆる遊びを行った。
時には暑さでやばかった時もあったけど、、。
「リヒト、大丈夫?」
「魔法を使って涼しくすれば、大丈夫だよ…」
従者の人が開いてくれた複数の屋台にて、美味しいご飯を食べたりもした。
「美味しいー!」
「それは大変光栄でございます…」
* * *
そんなこんなで今は夜、夜に海辺ですることといえば…!
そう! バーベキューだ!
美味しい肉、野菜! 雰囲気も最高!
あぁ、家族でこんなこと、したことなかったから、なんか嬉しいな…。




