第五話 「家族会議」
「ふむふむ、それで私にご相談を?」
「どの魔法にしたらいいかな?」
「私はリヒト様がこれだ! と思ったやつにしたらいいと思うのですけどね」
それで決め切れないから相談しに来たんだわ。
「でも……生成魔法って結構な魔法らしいですよ?」
「扱うのは簡単ですけど、物を完璧にイメージしないとうまく作れないらしくて、生成魔法が扱える人は起業したら儲かるくらい、一瞬でものを作れるのことは需要があるらしいです」
なるほど、たしかにものを作れるって、剣とか盾とか防具も一瞬で作れてしまうのか…。
それはたしかに需要があるな…。
あと、もしや修理なんかもできるんじゃないのか?
「でも生成魔法のデメリットは扱うって言うことがものすごく難しいんですよね〜」
「だから私は生成魔法もいいと思ったんですけど、やっぱりここは、回復魔法だったり〜、探知魔法だったり〜」
よし、決めた!
「あ、あれ、もうお話はいいのですか?」
「はい、やりたいことを決めたので、失礼します」
明日、エリスに言って教えてもらおう!
燃えてきたぁ〜!
「リヒト様、行ってしまいました…」
何にしたのでしょう?
私、気になります!!
明日いつものようにリヒト様の授業しているお姿を遠くから観察しよーっと!
* * *
「皆、集まったな?」
「はい、父上」
「それで、どんな用件でみんなを集めたんですか? 父さん」
「お待たせいたしました…」
「来たな」
リヒト様のご兄弟が全員いらっしゃるとは…。
それにしてもなんで私は兄弟全員がいる会議に呼ばれたんだ?
私は早く部屋で、リヒト様の姿に寄せた作ったお人形とお話してリラックスしたいのに…。
「私をお呼びしたのは、どのようなご用件でしょうか? グラナト様」
グラナト様、リヒト様のお父様にして大魔族の中でもかなりのエリートの魔族…。
グラナト様はとてもお優しいお方だ。
グラナト様に救われた従者の方は非常に多いと聞く、私もその一人だし。
「用件は、リヒトのことについてだ」
「聞かせてくれないか? 最近のリヒトのことを」
リヒト様のことを?
そんなの、私に聞かずとも誰かしらから聞けるのに…なんで私が…。
「父様、もしやリヒトの最近のことを聞くためだけに、フランさんを呼んだわけではないでしょう?」
「………そうだ」
なんとまぁそんな理由で…!
「こんな夜遅く、しかもどうしてリヒト以外の全員を集めたんですか?」
「俺はもう眠いから早く寝たいんだがな……」
「すみませんね、父上が御足労をおかけて」
「いえいえ…! そんなことは」
この人はたしか、リヒト様の兄の兄、次男のラムド様、次男にして属性魔法の適性数は兄弟で一番多く水以外の全ての属性魔法に適性がある。
属性魔法の適性は言わば[才能]。
属性魔法に適性があればその属性の魔法を最大限強化できる。
だから適性のあるものが複数あればそれだけ手数も増えて強くもなる。
リヒト様の属性魔法の適性が分かるのはあと5歳になった時、まだ先は長い…早く時間が経って欲しいです…。
「眠いからもう部屋に戻っていいですか? リヒトの事は自分から聞きに行くので…」
この方はリヒト様の兄で三男のマヒト様。
マヒト様は、精神魔法と回復系統の魔法に精通していて、聞けば[歩く回復薬]という二つ名まであるらしいですね。
自分で店を立ち上げて、お医者様をやってらっしゃるようですね。
私も大怪我した時マヒト様に直してもらったことが一回だけあるけど、あれは凄かったですね。
* * *
「どんな怪我ですか? だいぶ出血されてたようですけど」
「はい、モンスターとの戦いで数箇所斬られました…今もちょ〜〜痛いです…」
「わかりました、では…」
そう言った瞬間、不意に瞬きをしてしまった。
その一瞬、本当にその一瞬しかなかったのに。
「終わりましたよ、お疲れ様でした」
「あ、あれ? 痛くない…全部治ってる…」
瞬きをしたあの一瞬で全部治癒したって言うの?
冗談でしょ…やばすぎないかこのお方は…。
* * *
瞬きした瞬間直ってたんだもん!
あれは本当に驚きましたね…。
「父様、マヒトのこともありますし、早く聞いておきましょう、私も用事があるので早く戻りたいのです」
「あぁすまんな、全員半強制的にここに来るよう言ったからな」
このお方はリヒト様の姉の姉、長女のラナカッテ様だ。
このお方は本当に美意識が高い!
ラナカッテ様が開発している化粧水は、世の女性のほとんどが愛用しているくらい、ものすごい代物で、使った女性にとっては崇め、尊敬すべきお方!
当然だけど私ももちろん愛用していますね、あのドロドロとしないかつ、すぐに肌に溶け込むから時短にもなる!
それでいてかなりお強いらしいし、もうほんと、パーフェクトじゃないですかね。
「フランよ、リヒトの事だが、最近何か目新しい事はあったか?」
「えぇとですね、、あっ!」
「一つと〜〜っても良いことがありました」
「それはなんだ」
リヒト様の直近であったすごいこと…!
それはまさに、家庭教師からの教えのおかげで成った。
「リヒト様は、全属性の基礎魔法を習得し、扱えるようになりました!!」
「「………!!」」
一斉にフランの方へ向く一同、揃いも揃ってみんな驚いた顔をしている。もちろん専属メイド全員も同じく。
「なに…?!」
「リヒトはもう…」
「全属性の基礎魔法を…?!」
「まじか…すげぇ…」
いやいや待て待て、リヒトはまだ3歳だぞ?
私なんて3歳の頃はまだテクテク歩いて3歩歩くたびにこけていたくらいだぞ?
リヒトは話す能力や言葉を習うことも長けていた。
それについでもう基礎魔法を、それに全属性だって?
やべぇ、すげげだなリヒトのやつ、次会った時何か欲しいもの買ってやるか。
それにしても眠い……早く部屋に戻りたい…。
「なんと、3歳にしてもう全属性の基礎魔法を、」
「はい」
「やはり家庭教師を雇ったのは正解だったな」
「な、父上、家庭教師を雇っていたんですか?」
「いったい誰を…! 教えるなら、私たち兄弟がいるのに…!」
「誰なんですかそれは…! 俺だって、俺だってリヒトに魔法を教えたかったのに…!」
今リヒト様に魔法を教えている人は、私が選んでグラト様に推薦した。
まぁ選んだと言っても。一択みたいなものだったけど。
「リヒトの家庭教師をやってもらっている人は…」
「———だ」
ふ、ふふふ…。
あ、あの人か…。
あの人、なのかよい…。
「……それならしたかないですね…」
「えぇ、まさかあの方だなんてね…」
「我も家庭教師として招くのに苦労したわ…」
皆さんが揃いも揃って納得したのには理由がある。
私が推薦した人物とは…。




