第四話 「初めての魔法実習」
「きょ、今日は、昨日と一昨日お話しした内容を踏まえ、ま、魔法を実際に扱えるようにしてみましょう…! と言う授業です」
「よろしくお願いします!」
「で、ではまず、こちらの杖をお使いください」
エリスから魔法の杖を渡された。
とても高そうで、素材がしっかりしているいい杖だ。
「こんな高価そうなもの、いいんでしょうか?」
「だ、大丈夫です。 これは、私が買ったものではないので」
よく見たら奥にフランがいた、おそらくは彼女がこの杖を持ってきたんだろう。
ん? 2階にも誰かこちらを見ている人が…。
「さ、さぁでは、リヒト様はどの属性の魔法を扱いたいですか?」
どれ、か、やはり王道は火属性なのか?
俺が扱おうとしている魔法も火属性だしな。
でも他の属性を学べるチャンスだしな…。
あ、でも他の属性も一緒に教えて貰えばいいのか。
「ではまず、火属性の魔法を教えてください」
「は、はい、火属性ですね…!」
エリスが俺の前に立ち、杖を前へかかげた。
「攻撃魔法は基本、前へ飛ばすので杖の先端は前向きに、、」
「そして魔力を手先から杖に流すイメージをしてください」
「そして詠唱です。 ヒュムロ」
「このように…なります」
杖の先が光り始めて、小さな火の玉が出てきた。
前方へまっすぐ射出され、もう目では見えないくらい彼方へいってしまった。
なるほど、そうやればよかったのか。
俺もやってみよう…。
杖を前に出し、魔力を手先から杖に流すイメージ…。
「おぉ…? おぉ…!」
よし、光った!
あとは詠唱を…。
「いけ! ヒュムロ!」
火の玉が形成され、射出されたがすぐに消滅した。
「あらま…」
「うってからすぐ…消えてしまいましたね」
「これには、いくつか原因があります」
エリスは、いくつか思い当たる原因を話してくれた。
一つ目は、うつ時に魔力が拡散してうまく飛ばなかったから。
二つ目は、うつ時に意識がうまく杖にいかず、魔法の精度が下がったから。
三つ目は、その属性の適性が低いから。
正直3つ目の可能性はあって欲しくない。
「もう一度、やってみますか?」
「は、はい!」
今度はエリスが直接指導してくれるみたいだ。
「杖は前方に、」
「前方に…」
「妙に魔力を流すイメージを、」
「イメージを…」
「そして詠唱! きちんと集中しましょう…!」
「はい!」
目を瞑ってちゃんと集中しよう…。
頼む…! ちゃんとできててくれ!
「ヒュムロ!」
火の玉がでて、今度はきちんと射出されまっすぐ飛んでいった。
「……!」
「おぉ…!」
「や、やりました!」
やった…! できたぞ! 適性がないなんてことがなくて本当に良かった…!
「きちんとできましたね…!」
「はい! エリスのおかげです!」
「リヒト様〜!」
フランがこちらへウキウキで向かってきている。
この喜びは、やはり誰かにも共有したいしな。
「リヒト様〜!」
「やった、できたよ! フラン!」
「偉いです〜! 流石です〜!」
フランと抱き合い、この大きな達成感と喜びを共に共有した。
そのあと、違う属性の基本魔法も教わった。
水魔法の[アクロア]。
魔法をうつ時に出てくる光の色が赤色から水色に変化したのはびっくりした。
が、これも[ヒュムロ]同様に習得ができた。
更には雷魔法の[グロルガ]も習得できた。
出てくる光の色も黄色に変化した。
雷魔法以外にも、風、氷の基本となる5つ全ての基本魔法を教わり、習得できた。
今日は俺の転生後の人生の中でかなりの躍進を遂げた日だ。
まだ3、4年しか生きてないけど…。
「今日の授業はこれで終わり、ます」
「ありがとうございました」
「あの…あ、明日は、属性魔法のレベル2を教えましょうか? それとも、属性魔法以外の魔法を教えましょうか?」
なんと! レベル2も、属性魔法以外の魔法も教えてくれるのか?!
レベル2も教えてもらいたいが、、ここは…。
「で、では…! 属性魔法以外の魔法を、教えてください!」
「はい…! わかりました…!」
よし! 明日が楽しみだ!
一体どんな魔法を教えてくれるのかな。
「では、また明日お会いしましょう…!」
* * *
「そ、それでは、今日も魔法実習の授業を始め、ます…!」
「よろしくお願いします」
「どの魔法を、知りたいのですか?」
「先に、どんな魔法があるのか教えてくれますか?」
「は、はい!」
「属性魔法以外の魔法は、無数にあります」
たしかに、属性魔法”以外”だしな。
回復魔法やら精神魔法、生成魔法とか、色々と便利な魔法もあるらしい。
他には、可燃性のあるものを即燃やせる魔法とか、朝決まった時間に必ず起きれる魔法とか、聞いただけで、いらないと分かるような魔法もあるらしい。
「どれに、しますか?」
「えぇと…」
何を選べばいいのか、全然決められない!
選択肢がありすぎて一つに決めきれないな…。
回復魔法なんかは戦闘においてはかなり重宝するだろうし、生成魔法なんかは言っちゃえば錬金術みたいなものだろう? 多分…。
でも俺に何かを作れる技量なんてあるのか…?
この短い時間じゃ決められないな…。
「すみません、この短い時間じゃどれかに決めることは難しいです」
「ですので1日だけ時間をくれませんか?」
エリスはニコッと笑い、快く了承してくれた。
そして俺は授業を終えてからと言うもの、寝る時以外の全ての時間でどの魔法を習うか考えた。
勉強の時も。
食事の時も。
お風呂の時も。
「どこか痒いところはないですか? リヒト様」
そして寝る前も。
俺には決められなかった。
もう寝なければいけないのに、多すぎる選択肢を削ろうと思っても削れないほど習いたい魔法が多すぎるのである。
そうだ! 一人で悩んでいて答えが決まらなければ、誰かに相談すれば…!
俺のことをいつも見てるし、きっと何かしたら知恵を貸してくれるだろう。
よし、そうと決まればさっそく相談しに行こうか。




