第五十三話 「勇者パーティーのお話」
「勇者パーティーは、まず勇者様のアルト様、職業は剣士!」
「次に魔法使いは、ハルバート様! もう本当に強くて素敵でカッコいい!」
「次に僧侶の、フラシス様、優しいけど怒らせたら怖いらしいよ」
「最後に聖者の、フラッツ様、聖者なのに筋肉バカらしい…」
「——と、こんな感じでパーティー紹介は終わったね、じゃあ次は今にあたるまでの勇者様、そして勇者パーティーの軌跡を話そっか」
「勇者パーティーが初めて結成されたの4年前、当時は勇者様とフラシス様の二人だけだったんだ、その後にハルバート様とフラッツ様が加わって今のパーティーになった感じ」
「最初の頃はあたし達と同じくらい弱くて、お金もなかったっていうのが信じられないよね〜」
「「うんうん!」」
「それで、想像もつかないほど厳しいトレーニングをして、どんどん強くなっていって、毎日依頼を何件もこなしていって、有名にもなって行ったんだって」
「勇者パーティーだけど、最初の頃はみんな塩対応だったよ」
「いままで何十、何百と勇者パーティーが結成され、魔王を倒すべく旅に出たけど、、」
「全部返り討ちにされて、酷い時なんか魔王に行き着く前に全滅した勇者パーティーもあったくらい」
「だから最近だと、みんな最初の方は[またか、、]って感じで期待せず、特別扱いも稀に受けてたくらいだったらしいよ」
ほぅほぅ、、そんなことがあったんだ。
この話、、も、もしかしなくとも重要な情報が聞けるのでは…!
「それでもめげずに、アルト様やハルバート様や他のメンバーも、必死になって依頼をこなしたり、街ゆく人達を助けて名の知れるよう頑張ったらしい」
「——それが今の、伝説の勇者パーティーと言われるようになった勇者パーティーの起源だよ」
「伝説の勇者パーティーって、、そう言われるくらい強いってこと?」
「そうそう! なんでも、歴代最強らしいよ、魔王はともかく、四天王は余裕で倒せるとかなんとか」
なに、四天王を?!
——うぅ…その言葉、、聞き捨てならない…。
た、たしかに今の四天王は昔よりは実力は落ちたけど、、人間に簡単にやられるほど弱くはない…!
人間お得意の”過信”ってもの、かな?
「勇者様がくるの、2日後でしょ? 会えるかな? 会えるかなぁ!?」
「あ、落ち着いてぇ、ライムぅ…!」
「あ、会えるかはわかんないね……勇者様のいる所に人が大勢くるからね、、」
「だよね〜、、はぁ…」
「——てか、勇者様よりあたし達はハルバート様でしょ!」
「ハルバート様も生で見たいけど、、やっぱり冒険者イケメンランキングで毎回1位に入る勇者様も、一回は見てみたくない?」
「どんなもんなのか…ってね」
「ま、まぁ、、乙女なら一度は見ておきたい、、けど…」
「ん? 声が小さいぞぉ?」
「もー! わざとでしょ!」
「バレたか、へへっ!」
仲良いなぁ〜。
「っと、そうだそうだ、勇者パーティーってね、すっごい実力だけど、一つ弱点があるらしいんだよね!」
なにっ!?
聞き逃さない…! 勇者パーティーの情報を得るのが人間界に来た理由なんだから…!
じゃ、弱点?! 聞き逃すものかっ!
「勇者パーティーの弱点はね〜」
——ごくり…
「——全員個性が強くて、戦闘以外だとパーティーとしてのまとまりがないことなんだよね」
え、えぇ…?
え、そ、それだけ…? つまんな…。
「そ、それって弱点って言うの?」
「チッチッチ〜、リヒターは甘いね〜」
「伝説の勇者パーティーが、実は個性派パーティーで戦闘以外だとまとまりがないパーティーです!」
「——なんてカッコ悪いし、普通に弱点だと思うけど」
どうやら弱点というのはライム達が勝手に言ってるだけらしい。
調べても弱点はないとはっきりと書かれている、やはりというべきか、歴代最強なんてレッテルがあるくらいだし、弱点なんか世に出したらイメージダウンは避けられない。
配慮して書かれてないのか、本当に最強で弱点なしなのか…。
期待が膨らむね、勇者パーティー!
うぅん…パンチのない弱点…。
でも個性は揃いか、うまいこと行けば大打撃になりうるかも…?
——ん〜やっぱり無理…! 使えない! この情報!
「次は何話そう〜?」
この後、勇者パーティーの話は続いたが、一つとしていい情報は掴めなかった二人。
情報は出れど、使えるものがなく、絶妙に使えない情報ばかりだ。
例えば、勇者様は左利きとか、ハルバート様は青色が好きとか、フラシス様は猫好きとか、どれも役に立たない情報ばかり。
勇者パーティーの話を聞いているのに一向にいい情報が出ないまま時間だけが過ぎて行った。
「ヒヒーン!!」
「皆様、本日はここで馬車を止めます、、明日の早朝までここで野宿をいたしましょう…」
「「はーい!」」
「じゃあそういうことで、さっそく火を起こそっか」
「寝れる所作るね」
や、夜になってしまった…。
ひ、一つもいい情報が手に入らず、、夜が来てしまったなんて…。
あの人、無駄話が多い…! 誰が勇者のプライベートで着る服の話なんか知りたいんですかっ…!
ふぅ、とりあえず気を取り直して…野宿なら、皆さんが寝静まった後に辺りを少し見ましょうかね。
人間界の地理や生物の観察なども、一応しておきたいし。
魔法は他の生き物や自然の力からでも新しい魔法のヒントが得られることがあるから、、見れる時には見ておかないと…!
「リ、リヒト様…」
「な、なに…?」
「私は皆さんが寝静まった後にこの辺りを散策します、もし誰かが起きてしまった場合は私は散歩に行ったと言って誤魔化してください」
「わ、わかった」
その時に俺が起きてる保証はないのだけど…。
「おーいリヒター! 早くこっち来なー!」
「夕食用意できたから、食べるぞー!」
「もうご飯ができてる、早っ!」
「では、いただきましょうか」
「——そうだね」




