第五十話 「秘められた世界」
「これ、神話の時代の魔導書じゃない?」
「え、まじで!? 本物!?」
「うん、だってほら、この名前って…」
クラウド、、ヘッターソン…。
「これは神話時代の伝説の魔法使い、クラウドの魔導書で間違いないんじゃない?!」
「そ、それって、お祭り騒ぎどころのじゃないだろ?!」
「なんでちょっと楽しそうなの…」
「と、とにかく! こんな歴史的書物があるなんて…」
「あ、あのこの卵は?」
「ど、どうする? 持ち帰る?」
「えぇ…どうやって?」
「アイテムボックスあるから、入れてくよ」
アイテムボックスあったんだぁ。
こうして、巨大スライムを倒した一同は、階段を下って次の階層へ向かった。
——だが、階段を下った先に広がった光景は、今までとは全く違った。
ここは…ダンジョンの…。
ダンジョンの階層…?
今までとは雰囲気が全く違う…!
一気に世界が広がったってことなのか…?
青い空に草木が生い茂り、森や川もある…。
本当にダンジョンなのか疑いたくなるけど、ここはちゃんとダンジョンの中。
——なんだよな…?
「す、すごい、、」
「ダンジョンに、こんなものがあったなんて…」
「気を緩んじゃダメだ! 何が起こるかわからない以上、常に警戒は怠らないこと!」
「あぁ、わ、わかってる」
「リヒターも、気を緩めないでね!」
「うん、わかった!」
いままで通路のみの迷宮で敵が来るのは前後だけだったが、今度は完全なフィールド、、どこから敵が来るのかわからない以上、常に周囲に気を配らなくては…。
周りにたくさんモンスターがいるな…この空間内でモンスター同士の食物連鎖が存在しているのか。
でも、特に強そうなモンスターはいないな…。
どのモンスターも、さっきまでの階層にいたモンスターよりも弱そうに見える。
でも多分、いや確実に、どのモンスターもあのドラゴンやスライムよりも強いんだろうな。
「これだけ広いと、ボス部屋を探すのも大変だね〜」
「というか、これだけの空間、平原にあればポツンとボス部屋がある感じなんだろうけど、森の中と亜kだと探すのに骨が折れそうだね」
「「うんうん」」
一行はボス部屋発見を目標に、まずは崖下に広がるひらけた草原を散策した。
魔法を使って無傷で飛び降り、水平線に広がる草原地帯を歩き始める。
遠くには大きなモンスターが小さなモンスターを捕食していたり、ポツンと歩きの木陰で休んでいるモンスター、水辺で給水をしているモンスターなど、地上でのモンスターとは変わらない行動をいていた。
ここのモンスターも、やっぱり同じなのか…?
どこまでも先へと広がる草原、途中モンスターに絡まれながらも探索を続ける一行だが、ふと先頭にいたライムの足が止まった。
「もう、、限界だぁ!」
「もうどのくらい歩いたぁ?」
「探せどあるけど見えるのは一面緑っ!」
「構造物すら一つも見つからないなんてぇ!」
「そろそろ疲れてきたし、休憩しよー?」
「うん、それがいい! そうしよう!」
と、言うことで近くに大きな木があったのでその下で休憩することになった。
木陰は涼しくて休憩にはもってこいだった。
「そろそろなにかしら進展があってもいいと思うんだけどなぁ…」
「ダンジョンの深いところって、こんな世界が広がってたんだね」
「想像もつかなかったよねー」
「流石に疲れたし、もう少し歩いてなにも見つからなかったら、帰る?」
「ここに来るだけでも十分すぎるくらいの成果でてるし、ありかもね」
「でも、せっかくならボスとか倒したいけど…」
「あのねリヒター、見つからないんだよ」
「そりゃ見つけたら倒すよ? リヒターが、でもね、いくら探しても見つからないんだよ」
「——もうちょっと探したら帰ろう、か」
「うん! それがいい!」
あまりの圧で言いまくられた…。
「さーてと、一呼吸ついたし、最後の探索も頑張ろう!」
「「えい、えい、おー!」」
——が、なにも見つからず、帰ることにした。
「ふえぇ〜、、結局何もなかったね〜」
「このまま来た道を戻るだけだけど、、かなり歩いたから戻るだけでも時間かかるね」
「魔法使って飛んじゃう?」
「でも、そうしたら周りにいるモンスターに気づかれるよ!」
「そっかそっか、じゃあ魔法はなしだ、できるだけ早めに歩こう」
「「うんうん!」」
その後、何事もなく地上へ戻って来れた。
「おぉ〜!! 地上だ〜!!」
「あたし達、生還したんだ! しかもしかも〜!」
「「今までの記録よりももっと深いところに! あたし達が一番最初に踏み入れ、生還した!」」
「こんな名誉なことないよ〜、いや〜本当パーティーに入れてよかったよ〜」
「こっちも、ダンジョンに連れてってくれてありがとう」
「このことを話したら多分王都へ行くよね」
「そりゃそうでしょ〜、新たな伝説が刻まれるんだもん!」
王都? 確かこの世界で一番の権力者がいるところだよな。
こっちで言う、魔王城の城下町か。
「リヒターは大丈夫?」
「あー、、相談してもいいかな?」
「うんうん、じっくり相談してきな!」
「じゃあまた、あたし達はダンジョンの報告をしなきゃいけないからさ」
「うん、またね〜!」
「って感じなんだけど、、行ってもいいかな?」
「だ、ダメ! 絶対ダメですぅ!!」
「王都なんて、、バレたら絶対捕まって最悪二度と戻れないんですよ?!」
「リヒト様、行くの、やめましょう」
「でも、王都へ行けば確実に勇者パーティーがいるらしいよ」
「どうやら住んでるらしい」
す、住んでる…。
たしかにそこへ行けば有力な情報は掴めるし、、最悪そこでパーティーを壊滅することもまぁ、できそう…。
「わ、わかりました」
「私も行きましょう…!」




