第四十五話 「ランク上げ」
「——す、すごい…」
あのドラゴンのブレスをランクの低い技で止めた…!
更には魔法の射出速度も桁外れに速い、、ドラゴンの羽が一瞬にして消された…。
「(咆哮)」
「ベニマイ…!」
あの技は、初めて見る…。
まるで、あの結界内で使った魔法のような…。
「グルルル……」
「倒せました…ドラゴン…!」
「す、すごかったよ、エリス、、」
「私、一応七賢法ですから…」
そうして帰った俺とエリスだったが。
「え、えぇ、これは…ドラゴン、ですよね…?」
「は、はい…倒しました…」
この人たちって、最近冒険者になったばかりの人だったはず、、なのにいきなりドラゴンを倒してくるなんて…。
とてつもないルーキーだわ…!
「い、依頼は達成しましたので、こちらは報酬です」
「それと、このドラゴンの討伐報酬は後日お渡ししますので、それまで待っていてくれると幸いです」
「わ、わかりました…!」
やれやれ、七賢法さんはやっぱり規格外だな。
俺もいつか、なれるといいな。
——翌日——
さぁてと、起きるか。
今日はエリス曰く、ランクが上がりやすい日なんだとか…。
あれか?! ゲームでいう所の、休日クエストや、経験値クエストなるものか?!
とくればやることはただ一つ!!
「今日1日、依頼をこなしてこなして、こなしまくるぞ〜〜!!」
そう言うことで、今日は一段と気合を入れていこう。
今ある一番経験値、、報酬が多くもらえる依頼は、、。
S、A、A、A、B、B、、。
全部高難易度の依頼じゃねぇか!!?
なんで、どうしてランクの低い依頼がないんだ!!?
「あ、これなんてどうでしょうか?」
「あ、」
なになに〜? スネイクを6体倒す…Cランクの依頼か。
「よし、受けよう!」
今はとりあえず依頼を受けまくってこなしまくろう…!
「ふん! よいしょー!」
「シァァ……ゥ」
よーしこれで6体倒せたぞ。
群れで行動していて助かったな。
「よし、すぐ帰ってまた依頼をこなそう!」
「は、はい…!」
そういて俺とエリスは、今日だけでいくつもの依頼を受け、こなした。
受付の人も1日に何回も来る人なんて滅多にいないせいか、かなり動揺していた。
町でも結構噂されてきたようで、周りの人が何かとヒソヒソと話している所をしょっちゅう見る。
別に何か変なことをしているわけではないからいいのだが。
そんなこんなで、日が傾き、夜が始まる頃。
「はぁ〜疲れた〜」
「そ、そうですね、今日はかなり動きましたし、魔力も減りましたからね…」
「本当、エリスの転移魔法がなきゃここまでの数の依頼はこなせなかったよ」
「ありがとう、エリス」
おぉ、リヒト様に褒められました。
素直に嬉しいですね…。
「あ、ありがとうございます…」
「へへ、さ〜てと、お待ちかねの報酬タイムだ!」
「これが今日1日の依頼達成報酬の合計額」
「それでこっちは昨日エリスが倒したドラゴンの討伐報酬額」
「「う〜ん、なんか…」」
なんか、今日1日の頑張りが無駄になっちゃいそう…。
すごい良くない、良くないんだけど、、稼げる方法を見つけちゃったかもしれない…。
「「ドラゴンの方が報酬が多い…」」
なんてこった。
* * *
「例の件は?」
「あぁ、アイツか、今こっちへ向かっているらしい」
「それで、地下の奴は?」
「それはもう大変良好さ」
「強さもそうだが、何よりアイツは賢い」
「一級魔法使いであるアンタとタメ張れるぞ?」
「うーん、そんなにか」
「あぁ、期待以上だ」
「もう一人、今向かっている奴はかなり優秀な暗殺者でな」
「この世界の殺しの常識をぶち壊した、奇天烈なやつさ」
「まぁ、その名すら隠し通してるから、有名ではないし、情報も少ないがな、、」
「やつとは昔のしがらみがある、きっといい結果を残してくれるさ」
「それは、期待、大だな」
「そうだ、最近張り詰めてるだろ、久々に」
「美味いもんでも食べに行こうか」
「それはいいな、最近はあまり外食ができていないんだ、奢りだぞ?」
「仕方ない、好きなだけ食べるといい」
「よーし、言ったな?」
「——遠慮はするんだぞ…?」
* * *
「ドラゴン、すごいな」
「は、はい…」
今日あれだけ頑張ったのに、その報酬額がドラゴン1体よりも少ないなんて…。
ドラゴンってそんなに報酬がいいなんて、ドラゴンばっか倒してた方がいいのかも…。
でもでも! そもそもドラゴン自体そこまで数が多いわけじゃないし、あの時たまたま親ドラゴンが子どもの所に来ていたってだけで…。
10、いいや、20手前ぐらいの数は依頼達成した、なのにドラゴンの方が多いのか…!?
「と、とりあえず、寝ましょうか、リヒト様」
「う、うん、とりあえず、水に流そっか」
「は、はい…」
今日のことは、水に流そう…。
流されたら、だけど、、。
そういや、今日かなりの数の依頼を達成したし、ランクが上がりやすい日だったしで、ランク上がってるんじゃ?
明日確認しに行こう…。
急いでたから受付の話ちゃんと聞いてなかったし、多分明日、ランクが上がってれば一番にカードの更新がされる、、だろう、な——。
——翌日——
「あのー」
「は、はい」
「昨日、私は止めました、[ランクが上がりましたので、カードの更新のため少し待っていてください]と」
「は、はい…」
「それなのに聞く耳を持たずに新しい依頼をこなしにすぐに出ていってしまう」
「私は仕事があるのにあなたたち2人の責任で昨日夜遅くまで残業していたんですよ? この意味がわかりますか?」
「残業ですよ、残、業!!」
「は…はいぃ…」
「はぁ、とりあえず、これが新しいカードです」
「改めて、冒険者ランクC昇格、おめでとうございます」
「おぉ…!」
Cか、CってことはAランクまでの依頼ができるようになった。
リヒト様の成長に繋がりそう、、Aランクくらいのモンスターならいい感じにやり合えそう!
エリス、何か不適な笑みを浮かべてる…。
ま、まぁとりあえず、ランクが上がったことを素直に喜ぼう。
「それでは、行ってらっしゃいませ…」
「今日もまた、依頼だね」
「そうですね、今日も頑張りましょう…!」
「うん!」
「「せーの…、おーー!」」
また今日も、依頼をこなす日が始まった。
エリスとの、人間界に来て始まった俺の新しい生活。
身分を隠し、位も高くないが、されて俺は…。
俺は、そんな毎日が今は、とても楽しいんだ。
「ところで、今日のモンスターはどこにいるの?」
「はい…! 遠く離れた湿地帯にいるそうです!」
「行こう行こう!」
「はい、では掴まってください」
「うん!」
またいつものように、エリスの転移魔法で目的地まで行く。
いつもと変わらない日常が、とても楽しく、素敵なものだと感じさせられる。
この世界がそうである以上、俺もそう思いたい…!




