第四十二話 「いざ人間界へ」
その後、ひたすらに話を聞かされ続けられる事1時間。
「と言う事です、これで大方大事なことは全て言いました!」
「何か質問はありますか? リヒト様?」
「ふえぇぇ……」
「あれ、リヒト様? リヒト様?!」
「ど、どうしましょう、リヒト様があまりの話の長さと量に、の、脳の処理が追いついていません!」
「どうしましょう、このままだとリヒト様が…」
「私に、ま、任せてください…!」
「その声は…エリス様?!」
* * *
「いやぁ、本当に助かったよ…」
「本当、よかったです…」
「気分が悪いとかはない、ですか?」
「うん、体調バッチリだよ!」
「で、では、人間界でそこそこ栄えている場所の近くまで転移します、掴まって、ください…」
「わ、わかった!」
そういや、どのくらい離れてるんだろうか?
「ここから今から転移するところは、馬車だと半年はかかるくらいの距離です」
「は、半年?!」
「ふぅ、着きましたよ」
「う、うぅ…」
目を開け、視界が開けるとそこには、魔族の世界とは違う街が形成されていた。
知らない場所、知らない街、知らない屋根の形。
ここでは、すべてが新鮮だ。
「僕は、来たんだね、人間界に」
「はい、私もです」
「まずは役所へ行って、冒険者登録をしましょうか」
「じ、実は私…人間界へ行くのは2回目で、前は冒険者登録をしていなかったので、ちょっと…いえ、だいぶ緊張しています…」
「「止まれ!」」
「は、はいぃ…!」
「君たちはどこから来た? 身分証の提示をしてもらおうか」
「は、はいぃ、これです…」
「ふむ、僕、君も身分証を」
「え?! え、えぇと…」
「あ、あぁ、この子の身分証はこちらに…」
「見せてみろ」
「は、はい」
「ふむ、よし、通れ」
「「ふぅ…よかった〜」」
「これ、リヒト様の身分証です」
「大魔族は人間界でも広く名前が知られていますので、ここでは仮の名前、仮の身分を使います」
「う、うん」
「人間界では、リヒト様のお名前は[リヒター]です」
リ、リヒター、、だと…?!
「す、すみません! 私が命名したわけではないですぅ!」
「ここがこの街の役所です、ここで冒険者登録ができます」
おぉ、中は意外とシンプルなつくりなんだな。
あんだけ外装が派手だったのに、中はこれ…か。
「ようこそ、ヒナタの役所へ」
「ヒナタ…?」
「こ、この街の名前です…」
「今日はどのようなご用件で?」
「あ、はい…! 冒険者の登録をしに…」
「かしこまりました、それでは…」
「こちらの書類に、お名前と年齢、種族、希望する職種、またはすでになられている場合はその職種をご記入ください」
「は、はい」
「そちらのお子様も…ご登録へ?」
「へっ?!」
「い、いいえ違います…! 私の子どもではないですぅ…!」
「そうでしたか、では迷子ですか?」
「あ、いえ、登録に来たのは違わないです」
「——はい…?」
「この子、すっごく強いんです…!」
「なので、将来のためと、お…親御さんが…! き、今日、私と一緒に登録をしにここへ来たんです…!」
「そういうことだったんですね!」
「それでは僕にも登録書を…」
「こちはですね、お名前と年齢、種族、希望する職種をご記入ください」
「あ、はい」
名前は…リヒター・アルクレット…。
年齢は5歳…種族は人間…。
希望する職種か、魔法使いでも色々あるんだな。
これにするか。
「できましたか?」
「はい」
「はい、では少々お時間をいただきます」
「その間、そちらの長椅子に座っていてください」
「は、はい…!」
「ふぅ、よかった…ちゃんとできた…」
「初めての場所って、緊張するなぁ」
「そ、そうですよね…! すっごく緊張しますよね…!」
「エリ…っと危ない…」
「そういや名前って…?」
「あぁ、えぇと…アリルです!」
随分と変わったなぁ!?
「アリル、いい名前だね!」
「あ、ありがとうございます…」
「アリルさんとリヒターくん〜!」
「は、はーい!」
「こちらが、冒険者のみに配られる特別なカード、名をライセンスと言います」
「こちらに魔力を込めると…」
おぉ、カードの色が全面真っ白に…!
「このように、現在のランクに応じて色が変わる仕組みとなっています」
「ランクは全部で6段階ございます、説明いたしますか?」
「あ、はい、お願いします…」
「かしこまりました」
「下から順にF、D、C、B、A、S、となります」
「Sランクの冒険者は、お二人の職業で言うなら、Sランクの冒険者のほぼすべての人が一級魔法使いですね」
な、なにぃ…?!
「ランクは依頼をこなせばこなすほど上がります」
「ランクの高い依頼はこなせばより報酬も豪華になりますが、その分危険度が上がります」
「初心者まず、一番下のFかDの依頼をこなしましょう!」
「は、はい!」
「依頼は冒険者ハウスという、言ってしまえばギルドですね、そこに行けば依頼やら冒険者の事も知れます」
「わ、わかり、ました…ありがとうございます…!」
「それではまた、お待ちしています」
「ふぅあ〜、よかったですぅ…」
「何事も起こらなくて…」
「冒険者ハウスって言ってたよね」
「ですね、行きましょうか」
「うん!」
「あの子ども…あんなに小さいのにあんなに喋れるなんて…」
「えっおい、あの子ども、5歳だぞ!?」
「「なにっ?!」」
「そんなの、神童じゃないか!?」
はわわわ、まずいまずい!
「行きましょうリヒ…ター!」
エリスの手を掴み、全力で逃げた。
なんとエリスは、逃げながらも着々と冒険者ハウスへと近づいていっていたのだ。
すごいな…。
「はぁ、はぁ、ここが、冒険者ハウスですか…」
「入りましょうか」
「はぁ、はぁ、うん…」
ドアを開けると、そかに広がった光景は…。
「カーニバル…?」
「ようこそヒナタ街の冒険者ギルド、冒険者ハウスへ!」
「え、えぇ…?」




