第三十五話 「七賢法の定例会議」
どうするか…。
彼について行って、いいと思います。
この声はエリス?
は、はい! 私です、今テレパシーを送っています。
彼は本当に2級魔法使いです。
なので彼についていく事は悪い事ではないです。
——わかった、エリスがそこまで言うなら。
私は少し用事があるので、席を外します。
わかったよ。
「行きます…」
「ついて、行きます」
「——わかった、ではついてこい」
「あっそうそう、これあげる」
「あぇ…?」
なんだこのバッジは…?
「それは3級魔法使いになった者だけに貰えるバッジだよ」
「それがあると3級魔法使いとして一眼見て分かる」
「え? でも、僕は…」
「私が君を3級魔法使い以上の実力と判断したんだ、大丈夫だ」
「それに、結構魔法使いの資格は魔族側ではあんまり厳格には定められていないんだ」
「だからこう言ったことも、可能なんだ」
へぇーなるほど。
「ところで、どこへ行くんですか?」
「ここからかなり歩くが、試験にもってこいの場所がある」
「そこまで歩く」
「わ、分かりました」
* * *
「——終了です!」
「はぁ、、はぁ、、はぁ、、」
「受験番号0102番、おめでとうございます」
「後ほど、試験官からバッジが貰えますので、待機室へお戻りください」
や、やった、やった!
ついに、ねんがんのいちにんまえに…!
リトにほうこくしないと! うかったことを!
「リト…! わたし、やったよ!」
「——って、あれ…リト…?」
* * *
「みな、集まったか?」
「い、いえ、まだ3名ほど来ていません」
「誰が来ていないんだ?」
「《全知の賢法》ネフィラ・エリス、《黒雷の賢法》ラプトス・ゲナウ、《未視の賢法》ラナエル・エーテル、計3名がまだ来ていません」
「い、いえ、ちゃんといますよ…」
「はぁ、、はぁ、、」
ま、間に合った、かな…?
「遅いですよ、《全知の賢法》」
「はぁ、はぁ、大事な用事が、あったので、遅れ、ました…」
「そうか、なら仕方ないな」
「ですが…!」
「よい、《剣賦の賢法》」
「《全知の賢法》は序列が2にして《剣賦の賢法》、君の序列は3だ」
「文句があるなら、序列を彼女よりも上げてからにしなさい」
「——はい…」
「それで、残るは《黒雷の賢法》、《未視の賢法》か…」
「ゲナウは…ついさっき帰りました…」
「なに…?」
「な、なので、私の方から伝えておきます…はい…」
「うーん、それならいいか、よし」
「それじゃあ後は《未視の賢法》だけだが——」
「おそらく彼女は、今屋敷で寝ていると思います…」
「うむむ…寝ているのか…」
「彼女は、私の方から言っておきます」
「おぉ、では頼んだぞ、《剣賦の賢法》」
「はい、お任せください」
「では、恒例の七賢法定例会議を始める」
「今回の議題はこれだ」
「人間界と我ら魔族界との実力者因果関係についてだ」
なんか難しいそうな話だなぁ…。
全知さんは話の内容わかると思うが、剣賦の野郎はこんな難しい内容わかるのか?
ふむ、因果関係か、たしかに最近人間界はかなり実力者が増えてきていると聞いているしな。
「最近、人間側の実力者の数が増えているらしい」
「話に聞けば、新しく出来た勇者パーティーの影響らしいが…」
勇者パーティーか、前の勇者パーティーは四天王で朽ちた。
今回の勇者パーティーはどこまで来るのやら…。
「その勇者パーティーがどこまでの実力なのか、知っておきたいですね」
「そうだな、と、言うことで」
まさか…。
「この中の誰かに、人間界へ偵察に行ってもらいたい」
「「——?!!」」
「し、しかし…私らには七賢法としての大事な任務もありますし…」
「そ、そうです…! 私らが偵察へ行き、ち、長期間不在となると流石にま、まずいです…!」
「考え直しませんか…?!」
「うむむ…ではこれで決めようか」
「「サイコロ?!」」
「それいけダイスチャレーンジ!」
頼む、俺よ当たるな…!
人間界へ行くなんてそんな面倒なこと…!
絶対絶対嫌です…!
「この目は…《全知の賢法》、君だ」
そ、そんなぁ…。
「「よっしゃぁあ!!」」
「そんな喜ばないでください…私が余計惨めになります…」
「それでは、よろしく頼むよ、《全知の賢法》」
「うぅ…はい…」
「あ、そうそう、それとね、新しく七賢法に入る人が決まったよ」
さっきの他の温度差が激しいって!
「ここしばらく、七賢法の席が一席空いていましたからね」
「誰が入るんですか?」
「ふふふ、とびきりの新参者さ」
あぁ…私が、人間界へ…。
* * *
「ここだ」
「ここは…教会?」
「ここは会場から少し離れた場所にある教会だ」
「見たら分かる通り、かなりの年月人が立ち入っていないせいで荒れてしまった」
「だが、この教会にはわずかだが結界が残っているんだ」
「結界…?」
「教会は、悪から民を守れる様、結界が施されているんだ」
「結界は、その村や町で一番、決壊魔法の扱いに長けているものが張る決まりなんだ」
「2級魔法使いになるための試験内容は至って単純、この教会の中へ入ることだ」
「入るだけでいいんですか?」
「甘くみるなよ少年? 私が結界を改造し、強度や解読を難しくした、つまりは並大抵の実力じゃ中には入れない様になっている」
「さぁ、やってみるがいいさ」
結界…。
エリスの授業で習ってはいるが、実際に結界に触れるのは初めてだ。
「——痛っ…」
「どう攻略する? 少年?」
結界は、色んな魔法式が組み込まれている。
暗号解読、だが結界は多種多様だ。
毎回初見で、一度使ったやり方が二度も通用するというのは稀らしい。
だが、俺はエリスから色んな解析パターンを教えてもらっている。
もしそのパターンが通用しなくても、俺はこの試験、合格できる…!
「じゃあ、これでいいですかね?」
さぁ…何をする気なんだ…少年…。
魅せてくれ、才能の輝きを…!




