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第三十六話 「二級魔法使い」


 多分この結界、攻撃魔法をぶつけても効果はなさそうだ。

 なら解析…このパターンは…。


 ダメか、教えてもらったパターンじゃ無理そうだ。

 ならばこれで…!



「——解」



 リヒトがそう言った瞬間、目に見えない結界は、視覚化され、途端にガラスが割れる様に破壊された。

 その光景を見た2級魔法使い、レルネンは、深く感動し、同時にリヒトの底知れぬ力に震えることとなった。


 素晴らしい…魅せてくれたな少年…!


 だが、まだ試験は終わっていない。

 ここからが本番なのさ…。


「中は…暗いな」


「グオォォォオ!!」


 げ、なんだアイツは…?!

 見るからにバケモンじゃねえか!


 アイツはランクの高いモンスター、あれを倒せば実力も十分にある。

 さぁ、どう戦うか、少年…!


「ビカリ!」


 おぉ…!? このモンスターが光に弱いことは知っていたのか?!


 攻撃はさせない!


「レヴォルテ!」


 あのレヴォルテをいとも容易く…!


「グォォオ…ガクッ…」


 案外あっさり倒れたな。


「素晴らしい! 実に素晴らしい!」

「合格です」


「その年で二級魔法使いは史上初ですよーきっと」

「はいどうぞ、二級魔法使いになった者が受け取れるバッジです」

「おぉ…!」


 銀色のバッジだ…。


「それでは、少年の家の前まで送りましょう」

「え?」

「それでは…」


「え? え?」

「少年、君がアークストン家の末っ子だと言うことは、最初から分かっていましたよ」

「え? え? え?」

「それではまたいつか」


 行ってしまった…。

 急に家の前にワープした…。

 しかも、身元がバレていたとは…。


 ま、まぁ、とりあえず屋敷に戻ろう。




 * * *




「例の件、進捗は?」

「まだダメだ」

「あぁそう…ちっとも進んでねぇな」

「仕方ないだろう、アイツが帰らないことにはどうしようも——」


「すまない、帰ったぞ」

「——遅いぞ、早く進捗を」


「いやはや素晴らしかった、実にな」

「あのガキか?」

「あの少年はただのガキではない、そう、あれは…」


「魔族の歴史を変えかねない存在だ」


「歴史を変えかねない、ねぇ」

「そんな力、があったと言うのか?」

「あったさ、、ふぅ…」

「やはり、変装は疲れるな」


「変装をする必要はあるのか?」

「あるさ、表の世界では名が知れている、だから素性を隠さないとまともに活動ができないさ」


「ふっ、確かにな」

「一級魔法使いさんは、どこ行っても有名か」

「それで、進捗は?」


「——順調だ」

「あの少年は、早い段階で発芽する」

「そんじゃ、災いの種は潰すに限るな」


「早まるな、もう少し作戦を練って——」

「いいからいいから、」

「俺がやる、半分は殺しとくかは、あとは勝手にやれ」


「はぁ、仕方ねぇな…ちゃんとやれよ?」


「あぁもちろん…」

「ちゃんと殺るさ…」


「それに…決着をつけたいやつが、いるんだ」

「そいつもやっていいか?」

「——それは誰だ…?」


「——アークストン家の長女だ」


「いいだろう…後始末は任せろ」


「あぁ、しっかりな」


「あいつ、やっぱり焦ってるな」

「仕方ないだろう、あいつは急がなきゃいけないんだ」


「あいつには、時間がないんだ」




 * * *




「さてと、ここら辺で定例会議はお終いとしよう」

「お疲れ様」


「お疲れ様です!」

「お、お疲れ様、です…」

「お疲れ様です」


「私はこれで失礼するよ」



 ふぅ、行ったか…。


「やっぱあの人いるとなんか、空気が変わる性で生きづれぇよ…!」

「た、たしかに、すごい緊張、します…」


「もう少しだなぁ…」

「《剣賦の賢法》、あんたはあの人に忠実すぎるんだよ、犬か」


「きちんと敬意を払う、それにあの方には今後一生かかっても勝てないであろう相手だ、忠誠を誓うのは必然だろう」


 なんてやつだっ!


「わ、私も帰ります…大事な用事があるので…」

「おう、」



「さてと、二人だけになっちまったが」

「私に何か、話すことでも?」

「いや、ないさ」

「なら私も失礼するぞ」


「ん? 何か大きな物音がしたな」

「敏感すぎだろ、、って…今確かにしたな」

「あぁ、二回目だがな」


「茶化すなや!」


「何か、よからぬ者が侵入したと考えるべきだろう…」

「へぇ、袋の鼠ってわけだ」



「ふぅ…」

「壁破って侵入はできた、後は最短経路で中央部へ行くだけだ」


「さて、何人いるか…」



「すごいスピードでこちらへ来ているぞ」

「あぁ、意外と手強い相手かもな」


 その時、天井が砕け、大きな瓦礫と同時に落ちてくる、人影が一つ。


「何者だっ!!」


「はぁ、二人か…」


「——?!」

「お、お前は…」


「まぁいいか…ふぅ…」


 落ちてきた人物は、かつて七賢法3名を惨殺し、逃亡した七賢法最悪の事件の首謀者にして、かつての七賢法No.3の実力を持つ、現代の己の肉体の限界値を超越した者。


 超越した肉体からは繰り出される殴りや蹴りは、下手な魔法の威力をも凌駕するほどの凄まじい一撃と化す。



「——アルナカ…生きていたのか…」


 

 俺には時間がもう残っていない…。


 死ぬ気で、やるべき事をやるだけだ!!



「脚力…増強…!」


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