第三十三話 「七賢法、集合」
「俺より、一個下の奴がいるだろ、そいつはどうした?」
「エーテルさんは、相性が悪い」
「だから一個上のあんたを倒しに来たんだ」
まぁたしかに、未来を見れる魔法を持ってるエーテルさんとは、相性悪いかもな。
なら。
お互い。
いっちょやるかぁ!
「お二人共、静粛に」
「あぁ?」
——?!
「今ここにはあの方が来ている、戦うなら他所でやるがいい」
「あんたはたしか…」
「序列3位の…」
「《剣賦の賢法》です」
「あの方がここにいるのか?」
「はい、もうすぐここへいらします」
「なので戦うなら他所で」
——っち…。
だがあの方がここにいるなら戦うのは禁忌に触れる…。
こいつにも絶対勝てない…。
仕方ない、一旦身を引いて後日また来るか。
「またな」
「今度はより、相応しいところで戦おう」
なんだったんだあいつ…。
「——あの方が、来ましたよ」
ドアが開く…!
俺でさえ、あの方を見るのは初めてだ…!
ゲナウのやつ、惜しいことをしたな。
* * *
「リヒト様」
「はい」
「魔法使いの資格に、ご興味は?」
「魔法使いの資格…?」
「はい」
「魔法使いの資格…と、いうよりは強さの基準となる等級がありまして」
「下から順に、5級、4級、3級、2級、1級の5段階あります」
「一般的に真ん中の3級は、一人前の魔法使い! という感じです」
なるほど…。
「それで、その話をどうして僕に?」
「じ、実は頼まれてまして…」
「頼まれてる?」
「は、はい、グラナトさんから…」
正直、さん付けなんてしてたらグラナトさんに怒られそう…。
多分、立場が圧倒的上なのにさん付けしてるとかよくない! って感じで、グラナトさん怒るんだろうなぁ…。
え、父様が?
「三級魔法使いになるための試験を受けさせてほしい、と…昨日直接言われまして…」
「は、はい」
「なので、今からでも試験会場に行きましょう」
「三級魔法使い試験は1週間に一度、ちょうど今日やっていますよ」
「ここから一番近い試験会場までワープします、掴まってください」
「は、はい」
ワープする魔法なんて、どうやったら使えるんだ…?
めっちゃ欲しい…。
「着きました、ここが試験会場です」
あ、、忘れてた…。
まぁでも、こっちの方が大事か…。
「三級魔法使いの試験を受けに来た方ですね?」
「はい」
「5級、または4級の資格などは持っていますか?」
「え? い、いえ」
「では無資格での挑戦と、分かりました」
そうか、何事も一番レベルの低い級からやるのは普通のこと。
むしろ、いきなり一人前の試験を最初に受ける方がおかしいか。
「こちらの紙に書いてある番号が受験番号です」
「奥に進んでもらって、待機室があります」
「番号が呼ばれるまでそこでお待ちください」
「は、はい!」
「それと、注意事項はしっかりとお読みください、破ると厳重な処罰が下されます」
「は、はい…」
えーと俺の番号は…。
「0110ですか、」
「それでは私は、観客席で観戦してます…!」
「が、頑張ってください…!」
「うん!」
まぁ、今のリヒト様なら絶対に合格できるんだけど…。
この奥の、開けた場所に。
ここか。
数百…いや、50人そこらか。
ほとんどの人が、きちんとしたローブを身につけているな。
俺もローブを身につけて、魔法使い間出したいな。
——てか、今更だけど、なんで魔族は魔法を使うことが普通なのに魔法使いの資格なんかあるんだ?
* * *
「魔法使いの資格…と、いうよりは強さの基準となる等級がありまして」
「一般的に真ん中の3級は、一人前の魔法使い! という感じです」
* * *
あぁ、そういや強さの基準となるって言ってたっけ。
だから存在するのか。
おそらく、資格云々の話は人間側の方。
魔族側は単純に強さの基準、目安になるから存在するだけ。
ローブを身につけてる人は、多分見た目がいいからとか、[魔法]に執着している人が身に付けたくて身につけているだろうな。
さてと、俺も椅子に座るか。
番号が呼ばれるまで暇だな…。
さて、何をするか。
「ん〜、、」
それにしても、老若男女問わずいるな。
「おい、いい加減にしろよ!」
ん? 喧嘩か?
「お前俺の手下のくせに生意気な態度とんな!」
「え、えぇでも…」
「でもじゃねぇよ! お前、誰の前にいるかわかってんのか!」
「今お前の前にいるのは、シグルス家の末っ子、バーンデッド様だぞ!」
シグルス家? なんか聞いたことがあるようなないようなあるような…。
たしかアークストン家からかなり離れた荒野地帯が領地の…。
「お前は俺の言うことを黙って聞いてればいいんだよ」
「で、でもぉ…」
「うるせぇ! これ以上バーンデッド様に口答えするならこうだぞ!」
「きゃっ…!」
あいつ…!
「おいおい、軽く押しただけなのに転ぶとか、弱すぎだろ!」
「う、うぅ…」
「おいおい、まさかこのくらいのことで泣くのか?」
「バーンデッド様、こいつどうします?」
「まぁいい、そろそろ俺は呼ばれる頃だ、こいつはそのままにしろ」
「もう飽きた」
「「はい!」」
「だってよ、バーンデッド様に捨てられて、残念だったな〜」
「あばよ!」
「「はっはっはっはっはぁ!」」
とんでもねぇ奴らだな…。
膝、擦りむいてるな。
「君、大丈夫?」
「う…うぅ…」
「——ヒール…」
「う…うぅ…うぇ…?」
「これで痛くないよ」
ヒールで治癒、習っただけで実際回復魔法は使ったことないけど、成功してよかった。
「うぅ…あ、ありがとう…」
「おなた、おなまえは?」
「わたしのなまえは、サーヤっていうの…」




