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第三十二話 「魔法実戦」


「よろしくお願いします!」


「は、はい、よろひくお願いします…!」



 なぜ、俺とエリスが対面で睨み合っているかと言うと…。


 * * *


「あの、リヒト様」

「最近のリヒト様は、魔法を研究していますよね」

「うん、そうだね」


「それでしたら、わ、私と一戦、手合わせ願えますか?」


「——え?」


 * * *


 なぜかいきなり勝負を挑まれた、七賢宝最強格の人に…!


「で、では審判さん、よろしくお願いします」

「はい! 今回審判を務めますエリス様の側近のストレリチアと申します」


「ルール説明です、ルールは相手を瀕死、または魔力切れにさせた方の勝ちです」

「使用する魔法に制限はありません! 思う存分戦いましょう!」


 あ〜、だからこんな開けた山の中まで来たのか。


 エリスの手を握り、ワープしたと思ったら何もない開けた山の中にワープしたからな、最初は何だと思ったがこの為だったのか。


「それでは両者、準備を!」


「リヒト様、本気で来てくださいね!」

「はい、文字どうり、全力で!」


「それではいきましょう、よーい…」

「始め!」


 いくぞ! できるだけ最初から大技で!


 突っ込んで来そうですね、リヒト様。

 では一呼吸置いて…。


「すぅ〜…」


 距離を詰めながら、高威力の魔法を…!


「レヴォルテ!」


 無数の高密度の光線を出す魔法だ。

 この魔法でできた隙を、この魔法で突く…!


「実は今回、とあるものを見せるために申し込んだんです…」


「術式展開…[淀ミナイ世界]…」



 ——な、なんだこれ…!?

 周りの景色が、変わっていく…!


「これは魔法によって作られた世界、魔法の極地へ辿り着いた者だけが扱える究極の大技です」

「この極地にいる人は、現時点で3人だけ」

「私と、魔王様、そして七賢法No1のあの人だけ…」


「これは結界魔法を強化し、結界内だけ自身の思うがままの世界を作り出すことができます」

「そして、この結界内では使用者の力は大幅に上がり、魔法だけでなく使用者も強くなる」


「私の世界は、そんな効果です」


 せ、世界…?

 よくわからないが、相手の世界というならそこから出ればいいだけの話…!


「あ、壊すのは難しいですよ」

「世界の効果は人によって異なりますが、総じて結界の強度は高いです」

「並大抵の魔法じゃ壊せません」


 そ、そんな…。


「ですが、もしかしたらリヒト様ならできるかもしれませんね」

「まぁ、今回は私も本気なので、その方法は完全に封じさせていただきます」


 色が変わった…?


「結界を強化しました」

「これでリヒト様はこの世界で戦わなければいけなくなりました」


 くそっ…!

 この結界を発動する時になぜかレヴォルテが消された…。


 それに本当にこの結界内の効果は使用者の強化だけなのか?

 完全に相手の土俵だから警戒しないと…。

 何がくるかまったくわからないからな…。


「ではいきますね」


 杖をこちらに向けた…! 来る…!


「ヒュムロ」


 ヒュムロ? そんなの…!


「アクロア!」


 水には火、同じ最下級魔法なら絶対に防げる!



 ——はずだったのに…。


 なぜ、なぜ俺は防げなかった…?


「くっ…!」


 そうか、相手は七賢宝の最強格、本気なら魔法様に匹敵するほどの実力者…!


 最下級の初歩の初歩の魔法でも、ランク3か4の魔法と同じくらいの威力を出せるのか…。


「凄いですね、まさかヒュムロでここまで実力差を思い知らされるとは」

「私は一応、七賢法ですから…」


「次は連続でいきますよ」

「ちゃんと対策しないと、これで終わりますから」


「ヒュムロ」


 さて、どうするか…。

 避けようにも、本来ヒュムロにはない追尾性能も付け加えられてるという。


 避けることに心血を注げば、エリスに攻撃なんてできるわけがない。

 ならばどうするか…。


「レヴォルテ、出力最大!」


 全部まとめて、吹き飛ばす!

 結局強いのは、ゴリ押しだぁー!


「壱乃舞、[花園(かえん)]」


 エリスが使ったのは魔法であって魔法じゃない。


 この結界そのものに存在する天啓。

 結界には元々ある効果と、後付けされて付与される効果のに種類がある。


 エリスの結界は、元々ある効果として効果ではなく、魔法が付与されている。


 その魔法は、回数制限こそあれど、強力な魔法のため、逃げ道が塞がってる状況では脅威となる。


 本来、結界に魔法が付与される事はない。

 だがエリスには魔法の才があり、魔法の研究を生涯費やした。

 それ故に不可能を可能にした。


「なにっ?!」


 レヴォルテが、一瞬で消えた…?

 それに、いつのまにか足元が全部花畑になっている…。


 なんだ、どういうつもりなんだ?


「二乃舞、[枝垂舞(しだれまい)]」


 花びらが全部舞い上がって…。

 なるほど…。


 花びら一つ一つが鋭利なものになっている。

 それに小さい、数が多い。

 厄介極まりない、それに遠くへ逃げることもできない。


 この量を捌き切るのはおそらく不可能…。


「これって、詰んでません?」

「そうですね〜、この量は流石に捌けませんか…?」

「多分無理ですね、一つ一つがさっきのヒュムロと同じくらいの威力がある気がしますもん」


「当たりです…!」


 本当にすごい…。

 ちょっと戦っただけで分かった。

 やっぱり本気を出していない…。


 領域解除…。


 あっ…!

 崩壊していく。


「ここまでにします」

「やっぱり強いなぁ…いざ戦ってみて思い知らされたよ」

「い、一応私、七賢法ですから…!」




 * * *




「よぉ、キシラスさんよぉ」


「おぉ、誰かと思えば!」


「久方ぶりだな、ゲナウ」


「ヘッヘッヘ、まぁな」

「最後に会ったのは20年、30年…」

「50年ぶりだ」

「もうそんな経つのか…」


「最後に話したのは、あんたの七賢法就任式以来だな」

「はっはっは、そうだな、あの時は何もかもが新鮮だったよ」


「それで…何しに来た? 序列を上げにきたか?」

「はっはっは! そういうこった!」


「勝負と行こうか、序列をかけてな」


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