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第二十五話 「生き残りの身柄」


「悪いが時間がない、そろそろ馬車を引いて出発しないと間に合わなくなる」


 こ、、、い、、、つ、、、つ、、、ぇ…。


「行くぞ皆、早めに身柄を押さえよう」

「は、はい」


 思考も遅くなるから通常に戻った時はかなり酔うんだよな…。


「うっ、気持ち悪いぃ…」


 その後、グラナトの魔法ですぐに身柄が全員確保されてその後国から増援が来て全員保護されていった。


「さて、そろそろ増援が国に帰る頃かな」

「私たちももうすぐでシルビア皇国に着きますね」

「はぁ、まじで嫌」

「ラナカッテ、本気で嫌そうだな」

「そりゃそうよ」

「あそこの人たちはみんな頭のネジが外れてるんだもん」


 私は、宗教国家はそこまで悪い印象はないが…。

 シルビア皇国に行ったことのある、ラナカッテがそう言うなら、私も警戒しておくとするか。


「印が見えたぞみんな」

「左の道を4時間進むとシルビア皇国とな…」


 あと4時間もかかるのかよ…!

 どこがもうすぐだよ。


「こっからあと一つ山を越えなきゃいけない、おそらく今日中にはシルビア皇国へはつけるが、ゆっくりと話をしたいからな、少し手前で休んで、翌朝に行くぞ」

「はい!」




 * * *




「領主様、例の件ですが、とても順調です」

「そうか」

「このままいけば、ルデアは我らの手中に収まるでしょう」

「フッフッフッ、いいぞ、とてもいいぞぉ!」


「全てが計画通りだ! こんなにことがうまく進むなんて怖いもんだなぁ!」

「それでは私は持ち場に戻ります」


「いや、まてシャルフィ、少し話をしないか?」

「——話とはなんでしょうか?」


「最近どうも、民の様子が変でな」

「少し抜けかけているんじゃないかと…」


「たしかに、最近は少し生き生きとしてきてますね」


「活力が戻れば、先に問題が生じる可能性が出てきますね」

「無駄に元気がいい人は、殻回って失敗の原因を招く危険性がありますから」


 真面目なもんだ、民の連中は確か前に国民性を集団で高める催事をしたばかり…。

 後にある計画のため、下手に生き生きとした連中は間引くべきか否か…。


「まぁ、町で見かけたら身柄を拘束し、留置所へ引き渡せ、後は暇な時に私が向かう」

「わかりました、そのようにお伝えします」

「もう言っていいぞ」


「はい、失礼します」


 しかし、成長したもんだなシャルフィ。


 前は何もできなかったのに、鍛錬を積んで、努力して、今や私の側近となるに至った。

 我ながら誇らしいよ。


 養子にして良かったのかもしれないな。

 駒も増えて一石二鳥だ。


「フッフッフッ、、」




 * * *




「もうすぐひと山を越えるぞ」

「やっとかぁ、馬車に乗ってるだけなのに疲れたよ」

「だらしないぞ? ラムド、もっと体力を磨かないとな」

「兄さんと姉さんが体力バカなだけだよ〜」

「ここらで止めようか」


「見てみろ、ここの崖から遠くに見えるのがシルビア皇国だ」

「あぁ、あれが」

「なんか、前より発展している気が…」


「ひとまずここで一夜明かすぞ」

「はい!」




 * * *




「はぁ、兄様と姉様と兄様兄様はいつ帰ってくるんだろうか」

「まだかかるんじゃないですか?」

「だってシルビア皇国に行くのに3つの山を越えなきゃいけないらしいですよ?」

「え? そうなの?!」


「失礼します、マヒト様はいらっしゃらないでしょうか?」

「マヒト兄様?」

「はい、少し要件がありまして」


 何かあったのかな?

 マヒト兄様ってことは医療系、酷い怪我をした人がいるのかな?


「マヒト兄様は今出張中でして…」

「なんと…! ではどうするか……」

「あの〜、何があったか、聞かせてもらえませんか?」


 この子は神童のリヒト様。

 頭脳はいいと聞く、だけど果たして任せられる者なのか…。


「で、では話しましょう…」

「伝説の民族、ナユタ民族の生き残りの保護場所についてのお話をしたく、ここは参りました」

「——へ…?」


 ナユタ民族?

 伝説? 生き残りの保護?


「ご、ごめん、ナユタ民族って?」


 なんと…! ナユタ民族を知らないとは…!


 ま、まぁ確かに、かなり昔は誰もが知る民族でしたが、最近は知る人も減少していると聞きますし、しかたのないことですかね…。


「え、えぇとですね、ナユタ民族と言うのはですね」

「昔々、いくつかの民族が集まってできた多勢民族です」


「その人数ゆえの人海戦術を得意とし、幾つもの戦を勝ち抜いてきました」

「中でも選ばれた者しかいない精鋭部隊は無敗だったと聞きます」


「ですが、何十年も前にいきなりナユタ民族は消息を経ってしまい、その後もどこにいるのか、痕跡すら見つかりませんでした」


「ですが先日、ようやくそのナユタ民族の生き残りが見つかったんです!」

「今回はその生き残りの保護、隔離をする場所についてのお話をしに参りました」


 な、なるほど、早口で言われたからちょっと理解に苦しんだが。

 まぁ要するに場所が欲しいわけだ。


 使ってない倉庫とか、地下の牢屋とかあるけど。

 保護って言ってるのに牢屋は可哀想か。


 ——って言っても、使ってない倉庫は今から使うには掃除が大変だ、時間もかかるし。


「何人くらいいるの?」

「えぇと、ざっと80名ほど」

「は、はちじゅう?」


 そんな大勢を入れれるところなんて…。


「この際、ここに住まわせませんか?」

「——なんですと…!?」

「場所がないわけだし、この屋敷広いから使ってない部屋がかなりあるらしいですし」


 なるほどぉ、確かにそれはいい案ですが…。


「グラナト様、それにリヒト様の母上が許可するのでしょうか?」

「それに関しては僕の方から言っておくよ」


「あら、その必要はないわ」

「ら、ららら、ラナビア様?!」

「母上?!」


「リヒト、久しぶりね、1ヶ月ぶりくらい?」

「ようやくここに帰ってきたわ♪」


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