第二十話 「神から与えられる力」
どこに行った…。
スピードが速すぎて目で追えない…。
「ぐふっ…」
「ハイテラ!」
く、対象を動かなくさせる魔法か。
「ライエン!」
さっきので痺れは聞いていた様子だった。
雷魔法主体で攻める!
「ふぅー…」
体痺れるが、俺の強化された肉体はほとんど問題はない。
「腕力増強…」
「悪いが、大怪我してもらおうか」
「は…?」
一気に距離を詰めたベガプト。
幸いラムドは反応することができ、魔法を使った。
だが、防衛本能が働いてしまい、攻撃魔法で遠くへ飛ばすや、位置を入れ替える魔法などではなく。
バリアを展開する防御魔法を使ってしまった。
強化されたベガプトの拳は、その防御バリアをいとも容易く破壊した。
その拳がラムドに当たり、ラムドは遠く彼方まで吹き飛ばされてしまった。
その威力は家を何軒、大木を何本か突き抜けてしまうほどであった。
ベガプトの強化された一撃をまともに受けたラムドは、侵攻なダメージを負い、動けなくなってしまった。
「結局、俺に勝てる奴はいないのか?」
「その言葉、強者感が出てていいね」
何者だ?
「やぁ、男前な面だね〜」
あいつ、喋るまで気配を認知できなかった…。
へ、そうか。
「あんたが真の天才か!!」
「そうだよ〜、私が、天才のラナカッテだよ〜!」
ラナカッテ、アークストン家の長女か。
「さて、あんたはついてこれるかな?」
「ふふ、確かに速いけど、ただ速いだけ」
「私に傷を負わせるなら、貫通攻撃だったり、破壊能力を持った攻撃じゃないとね〜」
「どういうことだ」
感触はあった、別に硬くはねぇ。
無敵化? いや、そんな大層なものは存在しねぇだろ。
てことは…。
「ダメージを軽減する膜がある感じか」
「ん〜惜しい! 80点!」
なんか、イラつくな。
「答えはねぇ、ある特定の条件下ではダメージが無効になるんだ」
——っ、まじか。
「無敵になるなんざ、そんな大層な魔法なんかないだろ」
「うん、だから作ったんだよ」
作ったぁ?
「魔法はね、作るの大変だよ?」
「基礎の魔法式から新たに魔法式を一から作ったり、魔力とその魔法の配合関係、力量の調節、魔法と身体と関係などなど」
「もうとにかくいっぱい考えなきゃいけないの」
「でもね、それでできた時の達成感は凄いんだよね〜」
こいつ、何いってやがる…。
言ってることがさっぱりだぜ。
「まぁ、話を戻すけど、特定の条件を見つけないと君に勝機はないよ」
「——やってみないと、わかんねぇだろ」
「こんなにワクワクしたのはいつぶりだろうか」
最後にここまでワクワクしたのは、たしかヒャコヤ民族の精鋭と戦った時か?
フッフッフッ…いいなぁ、この胸騒ぎ。
あ〜あ、無駄なのになぁ。
「ふぅー…」
両方かけるか、後はあれをつけようか。
「腕力、脚力、乱核、増強…」
雰囲気が変わったね、何をするつもりなのか…。
カウンター用の魔法を忍ばせておこう。
その一瞬、ラナカッテが瞬きをすると、ベガプトはもうラナカッテの目の前まで移動していた。
拳をぶつける姿勢で。
そしてラナカッテに拳が当たった時、ラナカッテの脳裏に一つの信号が来た。
これは、まずっ——。
咄嗟に避けようとしたが、遅かった。
普通なら無敵なため、ダメージは負わないはずだった。
だが、ベガプトの一撃は、ラナカッテを重傷にさせるほどのダメージを負わせた。
な、なんで傷を…。
「知りたいか」
「理由は簡単だ、乱核で乱したんだ」
「なに?」
「乱核は相手の魔法の効果を乱す力がある」
「それであんたの無敵の膜を乱し、効果を薄めた」
だからって、この威力は…。
「それだけじゃねぇ、腕力を増強しさらに威力を上げた」
「脚力も上げて速度による威力上昇も狙った」
魔法の効果を乱し、さらには自身を強化する術もある感じか。
問題は、ない!
「おいおい、戦う気か?」
すでにカウンター用の魔法は使っている。
バレる前に畳み掛ける!
「グラビテ」
重力操作か…!
「ハンプ、ハウジング」
魔法を2つ同時に使ったのか…?!
「耳が…」
鼓膜が逝ったか。
それに加えて、重力のせいでこっから動くのも難しい…。
「アンチルール」
ん? 急に傷を負ったな。
「あらかじめ、とある条件に当てはまると、体の内側がダメージを受ける魔法を使ったからね」
「このまま形勢をひっくり返そうかな!」
あぁ、こりゃやべぇな。
「ボルケニクブラスト!」
ありゃレベル5の火魔法だ。
あんなん食らったら死ぬか、運良く生きても無事なわけがねぇ。
避けたいが、この環境下じゃ避けられん。
「ふ、詰みか…」
俺を超える天才。
しかもなんでこの結末になったかの理由すらわからん相手ときた。
特定の条件か…。
「——わかんねぇよ、天才」
ボルケニクブラストの影響で、辺り一帯は焼け野原。
地面もえぐれ、大穴が空いた。
ふぅ、倒した、かな?
その後、一連の騒動の影響で、城門の修復、城門から屋敷へ行ける大通りの一部修復。
穴埋めなどがベガプト襲来の事件から1ヶ月の歳月を得て全て修復が完了した。
ベガプトは消息不明。
だが身動きが取れない状態でレベル5の魔法を喰らったということから、死亡という形でこの一連は幕を閉じた。
「この件、許してはおけない」
「クラン、ラナカッテ、ついてこい」
「シルビア邸へ行くぞ」
シルビアは、なぜこのようなことをしたんだ…。
突き止めなければ、そして…。
損害賠償、我の家族に怪我をさせた罪でたんまり請求しないとな。
あの男、ラナカッテがやってしまったのは心残りだ…。
私の手であの男を、もう一度戦って今度こそ…ってしたかったが…。
ベガプト…使っていたのは魔法か?
名前がどの身体強化魔法にも属さなかった…。
もしかして、天啓の可能性も…?
天啓ならその人以外は、たとえコピーしても扱えない。
神から授かった、与えられた唯一無二の魔法。
天啓説が正しいのなら、あの人に聞いてみよう。
「お父様、少し時間をいただいてもいいでしょうか」
「確認したいことがあります」
「あぁ、わかった」
魔法のことならあの人に聞こう、魔法のスペシャリストに…!




