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第一話 「転生後は赤ちゃんから」


 ん? 俺は帰宅途中、トラックにはねられた、よな?


 ん、意識がまだあるのか? でも体が動かない、、。

 話し声がする…救急隊の人かな? でもそれにしては落ち着いているような…。


 目をうっすら開けると、そこは見知らぬ天井、両目を開けるとそこには見知らぬ部屋。


 うぅ、、まさか、生きているのか…? あんなに大怪我だったのに…。


 てっきり死んだと思っていた。


 死んでないのなら、きっとここは病院だろうな。

 助かったのか、俺は…。


 もう一度体を動かそうとした時だった。

 手足は動くのにまるで自分じゃないかのような違和感が働いた。

 手は動く、足も腰も頭も全部動く、なのに自分の体ではないような、どこか不思議な感覚だった。


「ーーー・・ーーー・・ーー」

「ーーお、ー起きーーーきーーる」


 視界の奥、扉から姿を現した謎の男性。

 謎の男性はこちらへ来て俺の容体を確認した?

 後に近くにあった椅子に座り、こちらを見つめてきた。


 するとまた扉が開いた。


 だれ…だ? 女性、ナースさんか?でもナーフ服を着ていない…。


 また扉を開けて人がやってきた。

 今度は女性だ。

 女性もまたこちらを一度見た後、椅子に座った。

 男性と同じ動きをしている。


「ーーこの子、立派になるかしら?」

「ー大丈夫だよ、なにせ““大魔族”“である僕と君の間に産まれた子なんだから!」

 

 ん……?


 聞き慣れない単語が聞こえた。

 すぐそのことについて問おうとしたがやはり体を動かせず、声も出せないことに気がついた。

 いや、正確には出せてはいるが双方へ届いていないのか。


 もしや、この違和感、そして今の発言、もしかして俺は…。

 ”“赤ん坊になってる!?”“ しかも大魔族の!?

 え、、嘘だろ…どう言うことだ、まさか偶にネットニュースとかで聞く転生…とか言うものなのか!?


 いやいや、流石に違うだろ…。

 でも見た感じこの体は俺じゃない。てことはやっぱりそういうことなのか?


 ええい、どういうことだ…記憶は受け継がれているのか…まんま転生って感じだな。


 自分の容体、そして事の大きさにようやく気がついた。

 いきなりこんな情報を入れたら脳がパンクしてしまうため絶賛混乱状態なのだが、側から見ればそれは、ただ赤ん坊が寝返りをうったり、体を動かしているだけに見えている。


「うふふ、元気がいいわね」

「そうだな、将来の職業は魔王様直属の近衛隊かな?」


 そこからしばらく時間が経って、俺は確信した。

[何も出来ない]と、赤ん坊の姿では前世の動きなんかできるわけがない。

 ましてやこの体は人ではなく魔族の体。


 人とは肉体と神経のつながり、脳の作りや動きまでも全てが人とは違うだろう。


 体を少し動かす程度なら数日あれば多分体が慣れてきてできるようになると思うが、言葉は話せない。

 それどころかなぜか[あ…]や[バブー]すらも話せないのだ。


 俺はこの先どうなってしまうんだ。

 しかもこの世界はどんな世界なんだ、気になるぅ…けどその前にこの体をどうにかしないと…。

 成長しないとダメか、時間が流れるのを指咥えて待たないといけないのか…。


 悔しさで寝返りをひたすらにうつ。

 そんな姿を見た葵の両親は[凄いわね〜]や[将来の職業は魔王様の暗殺部隊かな?]など適当なことを言っている。

 うちの両親は親バカすぎた。




 * * *




 いくつも四季を繰り返し、3年の月日が流れた。

 俺は3歳の誕生日を迎えた。


 俺の家族は大魔族だけあって家は超広いお屋敷、メイドや執事、従者がたくさん。

 兄や姉もいる大家族だった。


「「お誕生日、おめでとう! リヒト!」」


 クラッカーの音と共に盛大にお祝いがされた。

 そしてお誕生日恒例の、[おめでとう]と、[名前を呼ぶ]コールだ。


 俺の名前は残念ながら葵ではない。

 リヒトという。

 名前の由来は明るく強い子になってほしいと言う意味が込められているらしい。

 名前の付け方は人と変わらないと知った。


 そして今、陰で俺は神童と呼ばれているらしい。

 理由は至極単純で、まだ小さいのに言語の習得が恐ろしいほどに早く、魔法を覚えるのも桁違いに早いからだ。

 まぁ、魔法に関しては扱いきれてないけど。


 前魔法に慣れようとして放ったやつが庭の木に命中してメイドさんに怒られたっけ。


 誕生日の日が終わってから2日後、俺は一人コソコソと中庭へ向かっていた。


 俺の趣味は魔法を知り、極めること!

 人間だった頃じゃ魔法なんて空想上のものだったからな〜。

 そういや今更だが、魔族って言っても容姿は人間とあまり変わらないんだな…。


「おっと…」


 人が来る気がした。

 すぐに身を隠すさてやり過ごす。

 3歳だからな、体が小さいため全身を隠すことは決して難しいことではない。

 屈んで丸まればそこらの壺より小さくなれる。


 よし、行ったな?

 右左、もっかい右を確認してと…。


 屋敷内ではメイドやら執事やら人が多くいるため、俺は人がいなく広ーい庭の端で魔法を扱えるように日々練習をしている。

 何度も魔法を放ち、偶に調整をミスり空高くに魔法が打ち上げられることもあるが、いい頃合いになれば屋敷に戻る為、今はまだ誰にもバレてはいない。


 毎日毎日、試せど試せど、一向に最初に皆が覚える魔法を扱えない。

 基本中の基本である初級魔法の[ヒュムロ]は、直径15センチほどの火を球体に変形し飛ばす魔法だ。

 だが俺がやると飛ばすと形が崩れる、球体じゃない歪な形など、問題が複数ある。


 こうやったら消えるし、こうしたら球体にならないし…。

「あぁもう! 難しいぃ!」


「おや…?」


「リ〜ヒ〜ト〜さ〜ま〜!」


 今、俺が両親の次にバレたくない人はそう、‘“両親に近い役職”の人だ。


 振り返ると声でわかっていた。

 バレたくない人にバレたことを…。


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