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第十八話 「黒衣の使者」


「そうして僕は、リヒト様に一緒の忠誠を誓うようになりました」

「この話は、今に至るまでの僕の過去の物語です」


「………」

「うぅ…苦労していたんですね……涙がぁ…」

「本当、よく頑張ったよ」

「あ、ありがとうございます」


 リーブには、もう絶対に! 二度と辛い思いはさせない。




 * * *




「グラナト様!」

「なんだ?」

「突然、隣の領土から使者がやってきました!」

「使者?」


 隣ということは、シルビア家か…。


「何人だ?」

「ひ、一人です…」

「なに?」


「ふっ、楽しみだなぁ」

「一体どんな天才がいるのやら」


 しかし、入るのにまさか特定の資格がいるとは…。

 一度戻って資格を取ってる間に数年経ってしまった。


 この気持ちは戦いにて発散するとしよう。


「大臣を連れてけ、内容が分かり次第、私に随時報告するように」

「はい!」


 一体、シルビア家は急に何のようだ?

 しかも使者を複数人ではなく一人で向かわせるなど…。




 * * *




「さて、帰ろっか」

「ですね! 馬車を手配しますので、もう少しだけここにいませんか?」

「わかった」


 しかし、ここのケーキはやっぱり美味しかった。

 またこよっと!


「リヒト様、馬車の手配が完了しました」

「帰りましょう」

「は〜い」


 屋敷に帰ったら何しよう…。

 午後は毎日暇なんだよなぁ…。

 せっかくだし、近接戦闘とか挑戦してみようかな?




 * * *




「「何者だ!!」」


「私は隣の領地から来ました、使者でございます」

「隣ってことは…」

「あぁ、シルビア家だな…」


 普通使者なら複数人で来るはず…。

 なんか怪しいな、少しカマかけてみるか。


「何の用でいらしたんですか?」


「私は、シルビア様からの命で、ここの名だたる天才たちと交流を深めるよう…そう言う次第でまいりました」


「名だたる天才達って…」

「あぁ、クラン様やラナカッテ様のことだろう…」


 内容はしっかりとしているが、やはり複数人ではなくたった一人でここへ来たことが一番引っかかる。


「どうしてお一人で来られたんですか?」

「それはだね」


 一応警戒体制をとるべきか?


「一人の方が、動きやすいんだ」

「——避けろっ!」

「あがっ…」


 襲撃者だ!

 早く連絡を…!


「あがっ…!」


 城門は二兵のみ、このでかい門の奥に大勢いるのか?

 まぁいいさ、俺に取ってはこんな門、ただの門だ。

 何も問題はなし!


「む? お待ちください大臣!」

「なんだ?」

「城門から、敵襲の連絡が来ました…」

「なに…?!」


 その瞬間、高さ10m、厚さ1.5mの大きな鉄製の城門が、たった一撃。

 拳をぶつけたたった一回だけで城門は破壊された。

 煙が消えかけていた時、大臣の目には一人の男が見えた。

 黒色のローブを羽織った男が一人。


「あれが使者か?」

「おそらくは…」

「何者かは知らんが、あとでシルビア家に始末書を送らなければな」


 あの男、よくよく見たら隙がないな…。

 何をどうやったらあの城門を破壊できるのか知りたいが、話はできる人なのか?


「あ〜、少し待たないか?」

「君はなぜ、城門を破壊してここへ来た?」

「答えは簡単だ」

「天才と戦いたいからだ」


「天才と戦いたい…か、戦わずにこのまま帰るっていう手はないのか?」

「ないな」


 くっそ、このまま引いてくれたら面倒なことにならずに済んだのに…!

 こいつ、本当に何者だ?

 目的は天才と戦いたい、か。


「城門にいた鎧を着た二人はどうした? まさか殺したのか?」

「まさか、ちょっと気絶されてるだけだよ」

「殺しをしちゃえば、一生逃げ回る人生の始まりだ」

「俺は逃げる役じゃなく、追いかける役に回りたい」


 これは、無理だな。

 戦う、しかないか。


「下がっていろ、まずは様子を見る…」

「俺はな、最初の一撃だけで相手の——」

「エンテイ!」


 おぉ…! 炎が竜巻みたいに渦を巻いている!

 さすが大臣様だ…。


 これは結構高威力な魔法だ。

 並大抵のやつなら大怪我、そうじゃなかったとしても少しは傷は負っているはず。


「炎か…」


「あぐっ…」


 大臣が一撃で?!

 しかも、何で速さだ…!

 目で追えなかった。


「今の一撃はなかなか良かったが、所詮はレベル3だ」

「その程度の威力じゃ、傷なんてつかねぇよ」

「大丈夫だ、こいつは気絶させただけだ、時期に目を覚ます」


 なんだこいつは…。

 一体何者なんだ?

 大臣を一撃で倒すなんてこの領地でもかなり少ないのに…!


「あぐっ…」

「あがっ…!」

「ぐっ…」


 どいつも大したことない。

 早く天才に会いたい。


 俺はいつでも、強者を求めている。


「先へ行くか、一般人は俺に危害を加えようとすれば、気絶させよう」


「大変です! 大臣が例の使者に倒されました!」

「なぬ?」

「大臣の側近からの情報によると、例の使者は天才と戦いたいと理由で乗り込んできたらしいです」

「天才と戦いたい?」

「はい、現在屋敷の方へ向かっています」


 戦いたい…戦闘狂か?

 何をとち狂ってここへ来たんだ…。


「城門を破壊し、数名に被害が出ている、戦闘部隊を派遣しろ!」

「その使者を無力化するんだ!」

「了解いたしました!」


「お〜でかい屋敷だなぁ」

「そして、目線の先には大勢の鎧兵か」

「杖を持ってるのは魔法兵か?」


 早く天才を連れてこい。

 あんな弱っちいやつなんか相手してもなんも楽しかねぇ…。


 もう手っ取り早く奥の屋敷に行っちまおうかなぁ。


「ふぅー…」

「脚力増強…」


 先に屋敷で待ってるぜ、兵隊さんよ。


「なっ、急にいなくなったぞ?!」

「あ、いたぞ!」

「ものすごい速度で屋敷へと向かっている!」

「それはまずいぞ!」


「クラン様、現在例の使者が屋敷へ高速で向かっているらしいです」

「わかった、引き受けよう」

「この国のため、家族のため、家のために」

「私が止める!」




 * * *




 そろそろ屋敷に着くかな?

 屋敷に帰ったら、近接戦闘用の魔法習得に向け、魔導書でも読むか。

 魔法は遠距離だけじゃないらしいからな、魔法を極めるならとことんだ!


「——っ、馬車を止めてください!」

「リヒト様、これは…」


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