第十五話 「市場で再会」
そんなこんなで属性適正試験が終わった。
結果は測定不能。
まぁ、全部等しく均等な結果だったからどれが一番適正かなんて、誰も判断できない。
たくさん魔法を使ったし、ほんの少しだけ疲れちゃった。
朝早く起きたし、ちょっとどこかで休憩でもしたいな。
「ねぇフラン、少しどこかで休まない?」
「はい…? 屋敷に戻って、じぶんの部屋で休めば…」
——っは!
つまりそう言うことですね?
そういうことなんですよね?!
リヒト様はつまり、私と! 一緒に!
二人きりで! お休みになられたいと!
そこまでいうなら仕方ないですね〜えへへ。
まぁそこまで言わなくとも〜いつでもリヒト様とは二人きりでお茶でもしたいといいますか〜。
「あ、もちろんリーブも一緒ね?」
「あ、ありがとうございます」
——っな!?
「トホホのホ…」
わかりやすく落ち込んでるな〜。
馬車から降りて、いざ休息の旅へ!
「ところで、どのお店にするか、決まってますか? リヒト様」
「いんや、決まってないよ」
「そんなぁ、、決まってないんですかぁ〜?」
「まぁまぁ、良さそうなお店があれば、そこに入りましょう」
「いえ! ここは、あえて貴族なんですからお高いところへ行きましょう! その方が安全ですし…」
「何があえてですか! 王道じゃないですか!」
まぁ、急に言ったことだからしょうがないとは言え、少しはここのことを知っておけばよかったな。
土地勘がないから、大きい道を行かなきゃ迷子になってしまう。
かと言って大きな道を歩くとちょっとした騒ぎになってしまう。
どうしたものか…。
「あ! あそこなんてどうでしょう? リヒト様!」
「あそこは…」
「たしか、一番美味しいカフェと聞いております」
「行きましょう! 美味しいスイーツなんか、絶対あります!」
カフェか、たしかにちょっとした休息にはピッタしだ!
「すいませ〜ん、三名ですが、お席は空いておりますか?」
「はい、ちょうど2階のテラス席がちょうど空いております、案内いたします」
「ちょうどテラス席が空いていて、よかったです〜」
「リーブ、どう? こっからの景色は」
「とてもいいです! 植物も置かれていて、少し幻想的です」
「それはよかった」
ここは超有名なカフェ!
実は屋敷の方でも時々ケーキが出されるが、その大半がこのカフェから作られて、持ってこられていると聞いた!
つまりは俺の大好きな偶にしか食べられないあのケーキも!
ここでは常に食べられるということ!
「ご注文、お伺いいたします」
「私はホットココアとパウンドケーキを一つずつ」
「僕はショートケーキを一つ」
「——っ! 僕も同じのを!」
「かしこまりました。 では少々、お時間をいただきます」
楽しみ〜!
はぁ、、はぁ、、はぁ…。
まさかこんな白昼に、領主様の末っ子、リヒト様が来られるとはっ…!
お忍びでここへ…?
——っは、まさかっ?!
ここへ市場調査をしに?!
私どもの働きを評価しているのだとすれば、いつも以上に気合を入れて接客をせねば。
最悪、首が飛びかねん。
「お、お待たせいたしました。 こちら、ホットココアとパウンドケーキ、そしてショートケーキお二つでございます」
「「おぉ〜!!」」
「で、ではごゆっくりどうぞ」
「「いただきま〜す!」」
よ、よし!
やりきったぞ!
正直手が震えまくっていたが、零さず噛まずにやり遂げた…! はず…。
後が怖い…首が飛んでいなければいいのだが…。
「美味しいね〜」
「はい…はい…!」
「むふ〜あったかいです〜」
そうして、なんやかんやで1時間ほどカフェに滞在した。
屋敷に出されるだけあって、思ったより値段は張った。
「あ〜美味しかった〜」
「また期待ですね〜」
「そうですね!」
「——痛てっ…お前どこまで歩いてんだ!!」
「あぁごめんなさい!」
「って、お前、あの時のお坊ちゃんじゃねぇか」
「え?」
「てことは横にいるのはまさか、リーブ、お前か」
「………あ」
あの時のお坊ちゃん?
まさか、リーブの父親?!
「まさかお前がこんなになるほどとは…」
「運に恵まれたな」
「お前、いくら金持ってんだ?」
「え、えぇと…」
「答えろ!!」
「…………」
「やめろ!」
怖がってるだろ!
正直俺も怖いけど…。
「あぁ? なんだお坊ちゃん、こいつにいくらあげてんだ?」
「僕は知らない、母様が管理しているんだ」
「そっか、おいリーブ! お前いくらもらってんだ?」
「もらってるなら親である俺に少しは仕送りするとか、そういう考えには至らなかったのか?」
——なっ?!
どこまで図太いんだこの男は!
「い、嫌だ…」
「あぁ? それが父親に対する態度かよ!」
「やめろ!」
「あぁ? やめなお坊ちゃん、痛い目あうぜ?」
もう2度と!
リーブには辛い思いはさせないんだ!
それに…。
「リーブの所有権は今は僕にある!」
「親だろうがなんだろうと、それを許可するかしないかは僕に権限がある」
「あぁそう、じゃあいいさ、どうせお前を売った金で毎日遊べてるしよ」
「いいやつに買われたな、せいぜい俺に迷惑をかけないよう生きな」
「あ、待て!」
行ってしまった…。
リーブは恐怖なのか、他に膝をついたまま怯えちゃってる…。
「リーブ、少し脇で休憩しよっか」
「………はい」
今はとにかく、休むことが大切だ!
「はぁ、、はぁ、、」
ずっと怯えてる…。
手足がひどく震えてる。
手で頭を押さえて丸まる。
これって完全に守りの体勢になってるよね?
「リーブ、言いたくなかったら言わなくていいんだけどさ」
「あの父親から何をされたのか、話してくれない?」
「………あ」
「あの、、お父さんは、昔はあぁじゃなかったんです…」
「変わってしまったのは、、きっと僕のせいなのかもしれません…」




