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第十話 「新たな家族」


「父様、この度、奴隷を買ったことに関してお許しをいただきたいです」

「正直、買った理由は衝動買いでした」


 なぬ…?!

 衝動買いだと…?


「この子の境遇、この先も辛い思いをしてしまうのかと想像したら、居ても立っても居られなくなってしまい、勢いで買ってしまったというわけです」

「どうか、お許しを…」


 そんな理由が、まぁどんな理由だとしても、リヒトは優しいからな。

 理由が衝動買いだと言っていたが、訳をきちんと聞いていれば衝動買いだとは誰も思わない。


 ちゃんと助けたいと言う思い、この子をこの先酷いことを受けてほしくない、怖い思いをしてほしくないから買ったと言う明確な意思のもとだ。


 父さんはちゃんとわかっているぞ、リヒト。


「買ったことについてはいいが、リヒト」

「もしや、奴隷商会へ行って買ったのか?」


 奴隷商会? あぁ、あの最低な親がリーブを連れて行こうとしていた場所のことか。


「行ってません。 マヒト兄様の仕事場へ行く道中のことです」

「なるほどな」


 よかった、奴隷商会へ足は踏み入れてないようだな。

 本当に良かったぁ〜。


「それならもう何も言うことない」

「もう行ってもいいが…最後にその子の名前だけ聞かせてほしい」

「リーブ、と言います」

「リーブか」


 よく見るとこの子、目に精気がない…。

 かなりやつれているし、さっきっから体も、視線すら動いてなかったぞ…。


 大丈夫なのかあの子…。

 すでに廃人っていうことはないよな?


「では父様、また夕食の時に!」

「あぁ、また夕食でな」


 ふぅ、良かったお咎めなしで。

 さて、これからリーブをお世話していこう!


 まずは服だよな…。

 俺の部屋のクローゼットにたくさん服があるから、色々と似合いそうな服を順番に着せていくか。


 まずこれ、紺色の派手すぎないシャツ!

 髪や瞳の色が青系の色だから合うな!


 でも、、なんか心なしか嬉しそうじゃないような?

 少しずつでもいいから、リーブの気持ちをわかってあげなきゃな。


 次はこれ! 薄灰色をベースとした、タキシードっぽいやつ!

 この色も似合うな〜、てか多分何着ても似合うだろうな。


 んー、、これもなんか違うって、伝えたいような気が…?


「リヒト様〜いますか〜?」

「はい、フラン〜?」

「そうです〜! 今入っても大丈夫ですか〜、じゃあ入りまーす」


 え、まだなんも言ったないんだが——


「お邪魔しまーすリヒト様〜!」


 ぎゃぁぁあ入ってきたぁぁあ!!


「——って…リーブ君じゃないですか」

「あ、はい」

「ニヤリ…もしかしてリーブ君に合う服をお探しで?」

「そ、そうですね、似合いそうな服を順番に着せていってます」


 なるほどなるほどぉ〜。


「ではその役目、私に任せていただいてもよろしいでしょうか!」

「えぇ…?」

「大丈夫です、お任せくださいませ!」


 すっごい自信だな…。

 でもまぁ、どのみち俺一人だけじゃ決めきれなかったし、フランならきっとリーブに似合い最高の服を選んできて着れるはず…!


「じゃあ任せるよ」

「ふふーん! お任せください!」


 そう言ってフランはリーブを連れて颯爽と俺の部屋を出て行った。


 そこから1時間くらい経ったかな?

 俺は部屋で魔導者を一冊読んでいた最中。

 廊下から騒がしいほどの騒音を撒き散らしながらこちらへ足音が近づいてくる。


「リヒト様ー! 決まりましたぁー!!」


 ぎゃぁぁあ今度は会話すらなく入ってきたぁぁあ!!


「——って、えぇ? それって従者の人が来ている服だよね?」

「はい! ここにいるものとして、正装はこの服なので着させました」

「あ、ちゃんと普段着で似合う服も見つけましたよ、こちらです!」


 フランに手渡された服を広げてみた。

 素朴なデザインだけど、気品溢れるいいバランスの服だな…。


「すごくいいですね!」

「ふっふーん!」

「………」


 心なしか、嬉しそうな、そんな感じがリーブから感じる。


「さてと、もうこんな時間ですか、お洋服を選んでいたらすっかり日が沈みかけていますよ」


 げ、本当だ…。

 1時間と少ししか時間は経ってないのにもう日が沈みかけてるよ。


「そろそろお夕飯の時間ですね!」

「お腹空いてきたなぁ」

「ではでは、食卓へ行きましょう!」

「あ、待って!」

「はい、何かありましたか?」


 リーブは、おそらくご飯にもロクにありつかなかったんだろう…。

 こんなに痩せているんだ。


「リーブにも、美味しいご飯を食べさせてやりたいんだ」

「なるほどぉ…でしたら今日は少し多めに食事を持ってきますね」

「ありがとうフラン!」


 リヒト様から感謝されちゃった…!

 今の言葉を録音していなかったのは一生の不覚…!


「行こっか、リーブ」

「………」


 リーブを連れていつも食事をする食卓のある部屋へ行った。


 いつもは家族全員揃って食べるけど、偶に仕事や個人の都合などで一緒に食べれない時もある。

 今日は家族の内の2人、長女のラナカッテ姉様と、長男のクラン兄様だ。


「ん、リヒトよ」

「は、はい」

「リーブも食事に参加するのか?」

「美味しいものを食べてもらおうと思いまして…」


 なるほど、やはりリヒトは優しい子だ…。

 父さん感動、すぎて父さん感嘆…。


「リヒト様、こちら本日のお料理です。 お召し上がりくださいませ」

「わぁ…! ありがとうございます!」


 目の前に出されたのは、見たことない料理だ。

 だが、どことなく天津飯のような見た目の料理だ。


 さて、実食っと…。


「あむ…」


 う、うまい…!

 中には肉がたくさん入っていた…ジューシーであんのような何かが絡み合っていい食感と味になってる!

 これはうまい!


「………」

「あ……リ、リーブ? 食べないの?」


 どうして食べない、警戒してるのか?


「………」


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