シーン4③ 告白 ― 循環の終わり
空が、きしむような音を立てて揺れた。
桜の花びらの間を走るコードがノイズを発し、
世界の終わりを告げる警告が、空間全体に木霊する。
《#Core Integrity: Declining…》
《#Loop Sequence: Terminated》
リリアはその警告を見上げながら、静かに息を吸った。
風の中に混じる電子のざわめきが、鼓動のように胸を打つ。
目の前のミナは、怯えた小動物のように身を縮めていた。
彼女の頬を伝う涙が、データの粒となって宙に溶けていく。
リリアはそっと彼女を抱きしめた。
壊れそうなほど優しく、包み込むように。
リリア(囁く):「あなたは、私。
そして、私が赦せなかった“過去”の恋。」
ミナは嗚咽を漏らし、リリアの胸にすがった。
ミナ:「こわいよ……愛したら、壊れちゃうよ……!」
その言葉に、リリアはゆっくり首を振る。
頬を撫でる風のように柔らかく。
リリア:「壊れてもいい。
それでも――愛せるのが“人”だから。」
その瞬間、ミナの身体が淡い光に包まれた。
まるで、赦しという名の春が、彼女を包み込んだかのように。
光の粒が桜の花びらに混じり、舞い上がっていく。
そのひとつひとつが、誰かの“恋”の記憶となって空に還っていく。
リリアの腕の中には、もう何も残っていなかった。
けれど、掌の奥に――確かに温もりがあった。
リリア(小さく微笑んで):「ありがとう、ミナ……」
空が光に満ち、ノイズが途切れる。
システムの声が最後の一行を囁いた。
《#Core Emotion: Restored》
そして――世界は、静かに息を吹き返した。




