シーン4② 再会 ― ミナとの邂逅
桜の木の下。
逆再生の風が止まり、時間がわずかに凪いだ。
その静寂の中で、かすかな嗚咽が聞こえた。
リリアが振り向くと、古びたベンチの影――
そこに、一人の少女が膝を抱えて座っていた。
淡い桃色の髪。
震える肩。
そして、涙に濡れた瞳。
「ミナ……」
思わず呼んだ名前が、風に揺れた。
少女はびくりと顔を上げる。
その瞳の奥に、リリアは“過去の自分”を見た。
恋に怯え、選ぶことを恐れた、あの日の自分。
ミナ:「また……終わっちゃうの?」
ミナ:「誰かを選んでも、壊れるだけなの?」
声は震えていた。
その響きが、痛いほど懐かしい。
リリアの胸の奥で、何かが静かにほどけていく。
彼女はそっと膝をつき、ミナと同じ目の高さに視線を合わせた。
微笑もうとする――けれど、唇は少し震えている。
リリア:「いいえ、違う。」
リリア:「今度は――赦すの。」
その言葉は、祈りにも似ていた。
リリアの掌から、淡い光がこぼれ落ちる。
それはまるで、春の光が形を持ったような優しい輝き。
ミナは戸惑いながらも、その光に触れた。
指先がふれると、胸の奥の痛みが少しずつ溶けていく。
ミナ(小さく):「……あたたかい……」
リリアは静かに頷いた。
リリア:「愛は、壊すものじゃない。
でも――壊したことを赦すことは、できる。」
ミナの頬を伝う涙が、光に変わり、空へと昇っていく。
その瞬間、桜の花びらが一斉に舞い上がった。
逆再生していた時の流れが、再び“前へ”と動き出す。
風が、春の匂いを運んだ。
リリアの微笑みは、どこか母のように優しかった。




