シーン2:転換 ― 選択肢の出現
リリアの視界に、無数の光が弾けた。
やがて、それらは秩序を帯び、四つのホログラムウィンドウとして形を成す。
淡い蒼の線が宙を走り、電子的な音を響かせながら――
“選択肢”が、彼女の前に浮かび上がった。
①アレンを信じる → 処刑
②ユウを庇う → 消滅
③ルカを救う → 自壊
④レオを選ぶ → 崩壊
ひとつひとつの文字列が、脈打つように明滅している。
それはまるで、彼女自身の心拍のようだった。
そして――
各選択肢の背後で、映像が断片的に再生され始める。
アレンが微笑みながら剣を構える。
ユウが涙をこぼし、手を伸ばす。
ルカが理論式を描きながら、静かにリリアを見つめる。
レオが、あのときと同じおどけた笑顔で、手を振る。
だがそのどれもが、歪んでいた。
映像の端がノイズで欠け、笑顔が波形のように乱れ、
言葉の途中で音声が切れる。
「信じてくれ、リリア――」
「僕は……君を、守りたかっ……」
「論理じゃない、これは……」
「どうせ終わるんなら、笑って――」
音が途切れるたび、光が明滅する。
まるで、記憶そのものが壊れかけているようだった。
リリアは震える唇を噛みしめ、呟いた。
リリア(小声):「全部……見覚えがある。全部、私が選んだ……結末。」
指先が、ホログラムの光に触れる。
しかし、温もりはなかった。
代わりに、冷たいデータの脈動だけが彼女の手をすり抜ける。
リリア(独白):「どうして……また、ここに戻ってきたの?」
その問いに答えるように、空間の奥で電子音が鳴り響いた。
まるで神の声のような、機械的で冷徹な音。
《#Judgment Loop : Phase_3 / Active》
《All Routes : Fatal Outcome Confirmed》
選択肢の光が、ゆっくりと赤く染まっていく。
それは“恋の終わり”ではなく、断罪の再演だった。
リリアの瞳に涙の粒が滲む。
しかし、それすらもデータとして空中に散り、
白の虚空に溶けていった。
リリア:「……私の“選択”って……何だったの?」
答えは、どこにもなかった。
ただ、冷たい演算音だけが――
静かに、無情に、世界を更新し続けていた。




