シーン5:ループ発動
教室に、悲鳴のような声が響いた。
リリア:「やめて……! そんな運命、望んでない!」
机を叩く音が、世界の終わりを告げる合図のように反響する。
蛍光灯が一斉に点滅し、黒板のチョーク文字がノイズの線に変わった。
床に落ちた涙が、まるでトリガーを引くように――光を放つ。
《#Emotion_Overflow=True》
《#Loop_Trigger=Forced》
白い光が視界を包み、
教室の壁が、窓が、天井が――粒子化して溶けていく。
逆再生された桜の花びらが空気に吸い込まれ、
音がひとつ、またひとつ、消えていった。
そして、残響。
ユウ(声):「……次の世界では……笑って。」
その声は、遠い夢の中のように柔らかかった。
けれど次の瞬間には、もうどこにも存在しなかった。
《System Restart: Phase_3 Initiated》
《Memory_Sector: Yu → Null》
再起動音。
電子の脈動が鼓動のように低く鳴り、画面が白に満たされる。
世界が“初期化”されるたびに、何かが少しずつ削られていく。
名前も、思い出も、ぬくもりも。
それでも――リリアの瞳には確かに、彼の笑顔の残光が映っていた。
リリア(心中):「忘れない。どんなループでも、あなたを思い出す。」
白い光が完全に視界を覆い、彼女の姿は消える。
ただひとつ、机の上に涙の跡だけが残った。
BGM:「風の記録 - Glitched Memory mix」
儚いピアノの旋律に、電子ノイズが混ざる。
ユウのテーマが断片的に流れ、途中でピッチが歪む。
音の崩壊が、彼の存在の“消失”そのものを描き出していく。
最後にピアノの一音がノイズに溶け、静寂。




