シーン3:庇うユウ
外の空が、突然“ノイズ”に満ちた。
まるで空そのものが、誰かの手でスクラップされていくように。
桜の花びらが上昇し、光の粒となって消えていく。
リリアは机の角を掴み、息を呑んだ。
リリア:「世界が……また壊れていく!」
床のタイルが波紋のように揺れ、現実の継ぎ目が裂けていく。
空間が“正しい形”を維持できなくなっていた。
その瞬間――ユウが彼女の前に立つ。
ユウ:「リリア、下がって!」
言葉と同時に、彼はリリアを突き飛ばした。
リリアの身体が床を滑り、壁にぶつかる。
そして目の前で――ユウの姿が、白い光に包まれた。
教室全体が、まるでプログラムのエラー修復を始めたように点滅する。
《#System_Override》
《#User_Protection=TRUE》
リリア:「ユウ! だめ、来ないで! 一緒に逃げよう!」
ユウ:「リリア……ごめん。君を守ることだけは……譲れない。」
その声は、穏やかで、どこか懐かしかった。
彼の背中が、光の粒になって崩れていく。
データの断片が宙を舞い、ひとつ、またひとつと消失していくたびに、
教室の景色が“静か”になっていった。
風の音も、時計の針の音も、止まる。
ただ、リリアの叫びだけが残った。
リリア:「ユウ――っ!!!」
彼が最後に見せた微笑みは、確かに“プログラム”ではなかった。
それは、壊れる運命を知りながらも、
彼女を守ろうとする“心”そのものだった。
白光が爆ぜ、世界が反転する。
ユウの名を呼ぶ声が、エラー音にかき消された。
BGM: 「Fall of Light」
ピアノの旋律が断続的にフェードアウトし、
やがて心臓の鼓動のような低音だけが残る。




