シーン5:システム再起動
桜吹雪が――止まった。
風も、声も、時間さえも、まるで一時停止したかのように。
広場全体が静止画のように固まり、
その瞬間、花びらがふわりと――逆再生を始める。
散った花びらが空へと吸い込まれ、
咲き誇っていた桜が、一本ずつデータのように分解されていく。
白い粒子となって、世界の隅々へ還っていく。
やがて、視界のすべてが“無”の白に塗りつぶされた。
《#Loop: Next Phase Loading...》
《#Judgment Pattern Saved》
低く震える電子音。
機械の心臓のような鼓動。
そして――再起動音。
“カチ、チチッ――ピィィィン……”
世界が、再び息を吹き返す音。
真っ白な空に、ひとひらだけ「桜の影」が残る。
影は静かに揺れながら、データのノイズのように淡く滲んでいく。
ピアノの旋律が、途切れ途切れに流れた。
音の裏に、電子ノイズが重なる。
まるで壊れたオルゴールが、過去の記憶を探すように――。
そして最後の音が消えた瞬間、画面は暗転。
わずかに遅れて、無機質な文字が浮かぶ。
《System Reboot: Complete》
《Phase_2 — Initialization》
静寂。
次の“恋”が、再び始まろうとしていた。




