シーン2:王子アレンの涙
桜の花びらがひとひら、王子の肩に落ちた。
彼はゆっくりと壇上へと歩み出る。
その足取りは、儀式のように静かで、痛々しいほどに優しかった。
アレン:「僕は……信じたかったのに。」
リリアの胸が締めつけられる。
彼の声は、あの日とまったく同じ――けれど、今は“外側”からその痛みが見えてしまう。
アレン:「君が微笑むだけで、世界が輝くと……そう思ってたんだ。」
彼の瞳には、まだ温もりがあった。
その奥に、誰かを想う“本当の恋”が残っていた。
しかしそれすら、この世界では罪とされる。
リリアは何もできなかった。
腕を縛る光の鎖が、まるで時間そのもののように冷たく硬い。
目の前に浮かぶウィンドウが、淡く点滅する。
《選択肢》
①「謝る」
②「逃げる」
③「沈黙する」
けれど、その全てが灰色に沈んでいた。
どの道も選べない。
まるで、結末すら“固定されたシナリオ”の一部であるかのように。
《#Choice_Locked》
《#Judgment_Sequence: Start》
桜の花びらが風に散り、音が消えた。
鐘も止まり、群衆の声も凍りつく。
残ったのは――風の音だけ。
リリア(心中):「……もう、何も選べないのね。」
アレンがゆっくりと顔を上げる。
頬を伝う涙が光に溶けて、空へ消えていった。
アレン:「リリアーナ……どうして、笑ってくれなかったんだ。」
その一言が、すべての世界を貫いた。
桜が静かに逆光の中で散り、リリアの視界が白く弾ける。
そして、彼女の中に微かなノイズが走った。
――“この涙で、世界は再び始まる。”




