2-2-5 世界のノイズ化(異変の予兆)
廊下の風が止んだ。
まるで、世界が息をするのを忘れたみたいに。
リリアが顔を上げると――
窓の外の空が、音を立ててひび割れた。
夕陽が割れたガラス片のように止まり、
鳥の群れは空の一点で凍りついている。
遠くの校舎が、ポリゴン状に崩れてゆく。
現実の断面が、まるでゲームの内部データみたいに露出していた。
リリア(心中):「……私の干渉が、世界を……壊してる?」
廊下にノイズ音が走る。
ジジジ……と、誰かの心臓の鼓動みたいな電子音。
光が点滅し、視界が白と黒の粒で満たされていく。
空間の端に、赤いウィンドウが重なった。
《#System.Warning:構造体の不安定化を検出》
《#LoopCycle_破損リスク = 上昇》
リリアは息を詰める。
目の前のユウの輪郭が、ノイズに包まれて揺らいでいた。
ユウ:「リ……リリア、なにが――」
彼の手が、粒子になって崩れ始める。
そして――最後の瞬間、彼の唇が微かに動いた。
ユウ:「……リリアーナ……」
その名を聞いた瞬間、
リリアの心臓が、強く跳ねた。
だが、返す言葉を口にする前に――
世界が、弾けた。
視界を真っ白な光が呑み込み、
音も、風も、存在も、すべてがリセットされていく。
――そして、無音。
◆エンディング演出
完全な静寂の中、黒い画面に赤い文字が一行ずつ浮かぶ。
> 《Fragment_Detected : AMARIE_CORE_03》
> 《干渉記録:幼なじみルート 異常発生》
> 《ループ残時間:64h》
最後の行が点滅し、ゆっくりとフェードアウト。
BGMは流れず、ただ“微かな鼓動”のような低音が響く。
――第2話、終。




