2-1-5 ラストカット
夕暮れの風が、桜の花びらをさらっていく。
中庭のベンチの上、リリアはひとり、立ち尽くしていた。
遠くでミナの笑い声が聞こえる。
その隣には、いつものように優しい微笑みを浮かべたカイト。
彼の金色の髪が、夕陽に透けて輝く。
――けれど、その笑顔は。
まるで何度も再生された映像のように、
わずかなループを描いて繰り返されていた。
風、花びら、微笑。
全てが、同じリズムで繰り返す“完璧な演出”。
リリア(モノローグ):
「この世界の“恋”は、全部コピーされた感情。
きれいに整えられて、失敗のない恋。
……でも。」
彼女の視界の奥、
カイトがふとこちらを見たような気がした。
その瞬間、視界に金色の残光が走る。
彼が口を動かす。
聞こえない声――けれど、その形は確かに。
“リリアーナ”。
リリアの胸が痛む。
心臓の奥で、何かが軋むように鳴った。
リリア(モノローグ):
「それでも……あの名前を呼んだ声だけは、
現実みたいに、痛かった。」
風が止む。
最後の花びらが、ゆっくりと地面に落ちる。
ピアノの残響が一音だけ響き――
その音が消えると同時に、世界が暗転する。
《#Next_Event: 幼なじみルート 起動》
《#LoopCycle_Remaining: 71h》




