噂話
遡ること今から三年前。当時中学生だった俺、茉莉菜、そして茉莉香ちゃんの三人はいつも一緒だった。
三人でいることが当たり前、それが日常。そんな日々を送っていた。
やがて俺と茉莉菜が付き合うようになり、自然と三人で過ごす時間が減っていつのまにか俺たちは二人と一人の関係になってしまっていた。
それでも、俺たちは関係をよく保とうと努力していた。
お互いに気を使うこともあったが、三人でいると落ち着いた。
この関係がいつもでも続けばいいと思っていたのに…あの事件が起こるまでは…
その日俺はいつも通りに学校へと登校し、いつも通りに授業を受けていた。
さして変わったこともなく、これといった変わり栄えのしない日だった。
その日の帰り、茉莉菜は委員会で遅くなると聞いて、俺と茉莉香ちゃんは先に二人で帰ることにした。
「にしても、ひさしぶりじゃね?俺ら二人で帰んの」
「そうですね。いつもはお姉ちゃんといますもんね」
一瞬、茉莉香ちゃんの表情に曇りが見えた。
「ごめん、変に気を使わせちゃったか?」
「いいえ。大丈夫ですよ」
「…そうか」
しばらく沈黙が続いた。
沈黙を破って茉莉香ちゃんが口を開いたのはそれから数分後だった。
「あの、琥珀さん」
「ん?」
「あの…これ言うべきかどうかで悩んだんですけど」
「なに?」
「実は、最近、嫌な噂を聞いて…」
「噂?」
「はい…それでその…その噂が、お姉ちゃんが琥珀さん以外の男性ともお付き合いしてるんじゃないかって…」
「…え?」
思わず俺の足の動きが停止する。
言葉の意味を理解するのに数秒を要した。
「あ、いえ!あくまでも噂ですので…そんなに気を悪くなさらないで」
「その情報ソースは?」
「ソース?…あぁ、いえ、私の友達がお姉ちゃんがほかの男性と歩いてるのを見たって聞いて。しかもそれが一人じゃなくて、何人かいて…」
「茉莉菜に限ってそういうことはないんだと思うんだけどな…単なる勘違いなんじゃないの?」
「かも、しれませんね。私も聞いただけなのでなんとも…」
「まっ、本人に聞くのが一番手っ取り早いだろ」
「そうですね」
その後、軽く茉莉香ちゃんと話してから俺は茉莉香ちゃんと別れた。
胸の中にモヤモヤしたものがずっと残ったままだった。
数日後の日曜日、俺は茉莉菜を呼び出した。
いつもの広場で待ち合わせて、いつものようにデートプランを俺が話し始める。
普段ならそうなのだが、今日はその前に少し違う手順を踏むことになる。
「ごめ~ん、待った?」
白いワンピースに身を包んだ茉莉菜がカツカツとヒールの音を響かせながら早足で俺の元へ歩いてくる。
「いや、全然」
「そ。で、今日はどこ行くの?映画?それとも水族館とか?」
「あー、それもありかもな」
「ゲッ!まさかのノープラン?」
「ご名答」
「ひどい~」
「まぁまぁ、そう怒るなよ」
「む~~~」
俺は茉莉菜をなだめながらどこともなく足を運び始めた。
後ろから勝手に動き始めた俺を攻めるような足音をたてながら茉莉菜が追ってくる。
「なぁ、茉莉菜」
「なに?」
「お前さ…俺以外に付き合ってる男とかいたりしねぇよな?」
「はぁ!?何言ってんの?当たり前じゃん!」
「だ、だよな。悪り、変なこと聞いて」
「変な琥珀」
俺の想像していた通りの返事だった。
内心俺はホットしていた。
茉莉菜のことをちゃんと信じてやれなかった自分が少し情けなく思えてしまった。
「で、どこ行くの?」
さっきの質問のせいですこしご機嫌ななめなのか茉莉菜がふくれっ面のまま問いかける。
「う~んと…そうだなぁ…」
俺がまったくのノープランを後悔しつつ行き先を考えていると
「茉莉菜…だよね?…こんなところで何やってるの?そいつ誰?」
後ろからいきなりした声に振り返ると、気味の悪い顔をした、見たこともない男が立っていた。
超超超お久しぶりです!
長らくお休みして本当に申し訳ありません!
リアルのほうでの新しい生活に慣れるのに精一杯でこっちが厳かになってしまいました。
ほんとすいません。
これからも超不定期にはなってしまいますが、今後ともお願いします。




