勝者
泰矢と佐烈は激しい戦闘を繰り広げていた。
ー打地出の小槌ー
泰矢は楓架から貰ったハンマーを使って地面を叩いた。すると地面から鋭い土の釘が無数に顔を出した。それは佐烈の分身を刺し、佐烈の分身は砂になって消えた。その後には土の釘も崩れ落ちた。佐烈は笑っていた。
「いいなー、面白くなってきたじゃねぇーか!」
ー両面宿儺ー
突如、佐烈の背中にはもう一つの上半身ができた。泰矢は思わず声が漏れた。
「まじか」
「さぁ、続きをやろうかー!」
佐烈は泰矢に向かって来た。泰矢は向かって来た佐烈の腕に触れたが砂となり、佐烈は残っていた。
「な!?」
「残念、ハズレだ!」
佐烈はそう言い泰矢を殴り飛ばし、壁に叩きつけたが泰矢は防御をしていたため致命傷を食らわないですんだ。佐烈は歩いて近づき、話しかけた。
「諦めろ、泰矢。お前じゃ俺様には勝てねぇよ」
泰矢は佐烈に触れようとして手を伸ばしたが、佐烈は急な行動に動揺しながらも後ずさり避けた。泰矢はそのまま床に手をつき、不敵な笑みで佐烈を見た。佐烈は何かに勘付いたが遅く、泰矢は部屋全体の地面を細切れにした。それで態勢を崩した佐烈に泰矢は追い討ちをかけた。
ー打地出の小槌ー
佐烈は土の釘を避けたが、釘から枝分かれした釘に腹を刺されてしまった。その釘はそのまま壁を破り、佐烈は下へと落ちていった。佐烈は落ちる瞬間に言った。
「及第点だが、合格だ。まぁ、聞こえねぇーか」
泰矢は血を垂れ流し、気を失ってしまった。
一方、佐烈はなんとかして無事に着地し、血を垂れ流しながらもゆっくりと森を歩いていた。
「あれれー?おじさん、何してるのー?大丈夫ー?」
急に真横から話しかけられた佐烈は反射的に距離をとった。佐烈は冷や汗をかいた。佐烈は球の上に乗り、杖をついている道化師姿の幼い少女に笑顔で穏やかに言った。
「あぁ、大丈夫だ。お嬢さんはこんなところで何をしているんだい」
「私?私はね、様子を見てきたの!」
「へぇー、そうなんだ。頑張れよ」
佐烈はそのまま歩いて去ろうとするが少女に呼び止められた。
「おじさんどこ行くの?もうちょっとお話ししようよ!」
「すまんが、予定があるんだ」
「大丈夫だよ!おじさん予定には行けないもん!」
その瞬間、少女から殺意を感じ取った佐烈は身構えた。
「どういうことかな」
「私ね、私見た人殺せって言われてるんだ」
「なら見逃してくれないか?そっちから話しかけて来たんだからさ、いいだろ?」
「うーん、けどおじさん…異能者でしょ。私、異能者は殺さないといけないんだ。ごめんね!」
「そっか、残念だ!」
佐烈は分身を出そうとしたが少女がそれよりもはやく杖を剣にして斬りかかってきた。佐烈が斬られると思った瞬間、少女は何かに撃ち抜かれ、何十本もの木に突っ込んだ。佐烈は座り込んだ。少女が吹っ飛んだ方向とは反対方向からローブを被った二人が出てきた。二人は深くフードを被っており顔が見えなかった。
「油断したな、佐烈」
「その声…てめぇかよ。それで…やれたのか」
「あぁ、道化師の腹に一発撃ち込んでやった。多分もう死ん…」
「私死んでないよ」
少女はそう言いながら、土煙の中から出てきた。少女は左腕を肩から右足を膝から失っていた。しかし、撃ち抜かれたであろう腹は治っていた。少女は球の元へ杖をつきながら歩いて行った。少女を怒りながら言った。
「あと私、道化師じゃないから道化師だから!」
さっきまで口を開いていたフードの奴はもう一人に言った。
「おい愛花、佐烈の治癒を頼んだ」
「は、はい」
愛花は佐烈の治癒を始めた。フードの奴は佐烈の前にたって言った。
「それは失礼した、道化師さん。それでまだやるつもりか?」
「私おうち帰る、ばいばい!」
「そうか、ならさっさと帰ってくれ、地獄に!」
フードの奴は道化師に向かって手のひらからビームを出した。それは道化師には避けられてしまった。
「私帰るから撃たないでよ!」
フードの奴は両手をあげて言った。
「分かった、もうやめる」
「おい!ピエロ!」
「ちょ、そんな声出さないでください」
愛花は注意したが、佐烈は声を張り上げて言う。
「俺様はおじさんじゃない、お兄さんだ!よく覚えとけ!」
佐烈は血を吐いてしまった。道化師は疑問に思ったが、笑顔で言った。
「ばいばい、おじさん」
そして煙が立ち込め、煙が晴れると道化師は消えていた。
「あのピエ…」
佐烈は言い終わる前に気を失った。




