不死身の佐烈
昼間を有意義に過ごした泰矢と楓架、そして佐烈の本拠地へと攻め行った
地上からの轟音で下水道が悲鳴を上げて揺れ動いていた。
「やっとですか、もうこんなところに数十分も待たしておいて、覚えといてくださいよ、泰矢さん」
そう言いながら楓架はマンホールを動かした。
そして地上には泰矢の方にもいた男たちが数人いた。男たちは全員、意識がなくなっている操り人形のようで楓架を発見したときも驚くそぶりすら見せなかった。
楓架は青ざめた。
「あれ、今も泰矢さんが音を立て続けた誘導しているのになんでいるの?」
楓架は膝をついており、逃げられる状況ではなかった。そんな絶対絶命の中、楓架が出てきたマンホールから謎の人物が飛び出してきた。そいつは一人で数人の仮面の男たちを制圧した。そして、仮面の男は砂となり消えた。
「はぁー、あなたも少しはお使いになられてわ?」
そう言いながら、そいつは楓架に手を差し伸べた。楓架はそいつの手をとり、立ちながら皮肉そうに言った。
「私も使いたいですが、あの人の指示で使えないんですよ」
「私は対象の目がなければ、よろしいと思いますよ」
「いえ、それではダメなんですよ!いつ、どこに誰の目があるかわかりませんから!」
楓架は何もかもわかっているつもりで、誇らしげに言う。それを聞いたそいつは呆れ、言いかえす言葉すらもでなかった。
「全く、あなたと言う人は…それで、私は何をすればよろしいのですか?」
「あぁ、それは…」
一方その頃、泰矢は壁を細切れにしながら順調に前へと進んでいた。
(ようやく敵の数も減ってきたか、はぁーそろそろ到着してもいいと思うが…)
そう思いながら壁を細切れにすると目の前には五十メートルほどの長い一本道があり、奥には扉があった。泰矢はそれを見つけると安堵したが、すぐに気を引き締めて歩いた。
扉の前に着くと扉を開けようとしたが、奇襲も考えて異能で壁もろとも細切れにした。煙がはれると玉座に足を組んで座っている仮面をつけた男が座っていた。そして男は仮面を投げ捨てた。男は嬉しそうに言った。
「お前、マジかよ!扉いや壁を壊して入ってくるとは思わなかったぞ!」
「あんたは?」
泰矢は静かに怒っていたが、冷静になろうと気持ちを頑張って沈めていた。
「あ?俺様か?俺様は不死身の佐烈様だ!テメェは?」
「お前に名乗る名はない」
「おいおい、こっちは名乗ったん…いや、異能の警戒か。別に俺様はそういう異能じゃねーから名乗っても平気だぜ」
「…まぁ、確かにな。俺は泰矢だ」
「泰矢、泰矢か。よし、覚えたぜ!それで泰矢、俺様になんのようだ」
「わかるだろ」
佐烈は笑みを浮かべ、席を立ち歩き出した。止まると両手を広げ言った。
「このくらいか?」
泰矢と佐烈の距離は十メートルほど離れていた。
「あぁ、それでいい」
「なら、始めようか!」
突如、佐烈の両横から砂が巻き起こり佐烈と同じ顔と体、服装の男が数十人現れた。そいつらは泰矢に迫ってきた。泰矢はそいつらの攻撃を避けながら手のひらを当て、異能で攻撃していた。そいつらもやはり砂になった。倒し終わると泰矢は佐烈を見て言った。
「やっぱり、お前の異能は分身か」
「そうだぜ、俺の異能は…」
佐烈は先ほどより多くの分身を作り出した。
「分身だ!!」
そしてまた、泰矢は防戦一方に追い込まれ佐烈に完全に遊ばれていた。
(くそ!俺の異能と相性が悪いとは思っていたが、ここまで追い込まれんのか)
泰矢は異能だけではなく格闘術を織り交ぜて攻撃していたが一人の分身に足を掴まれもう一体に、壁に叩きつけられてしまった。
(厄介だな、この異能。いや、あいつの戦闘スキルがたけーんだ。分身も攻撃力に優れ耐久がない特攻の分身に耐久があり攻撃力がない盾の分身の組み合わせ方、マジで化け物だなー)
泰矢は息が上がりボロボロになりながらも立ち上がった。
「これしか、ねぇか」
襲ってくる分身を避けながら佐烈にギリギリまで近づき、地面に手を置いた。その動きを見て佐烈は焦った。
「ば、お前、やめろ」
しかし間に合わず、床を細切れにして態勢を崩させた。そして態勢が崩れた佐烈に泰矢は触れようとして手を伸ばしたが、あと少しのところで佐烈が作り出した分身に邪魔をされ触れることができなかった。それと同時に佐烈は泰矢と距離を離した。
「おいおい、壁の次は床かよ。てか俺の城壊すなよ!」
泰矢は体力が限界に近く息がさっきより上がっていた。それを見て佐烈は残念そうに言った。
「もう終わりか」
「終わるわけねぇだろ、まだこれからだ!」
泰矢は声が震えながらも力を振り絞って言った。




