楓架
「ん、んっ。うーん」
「あ、起きましたか」
女性はうなされながらも目を開けると空は暗く、横に顔を向けると泰矢がご飯を作っていた。女性は泰矢と目を合わせると固まってしまい、泰矢は声をかけた。
「あ、あの大丈夫ですか?」
「ギャアーーーー!!!」
その瞬間に女性は叫び、背後にあった木の影に隠れてしまった。しかしそれでも少しは顔を出しご飯を見ていた。それに気づいた泰矢は微笑み、お皿にご飯をよそって女性が眠っていたところの近くにに置いた。女性はご飯と泰矢を交互にしばらく見ていたが、食欲に耐えきれなかったのか木の影から出てきて座るとご飯を無我夢中で食べ始めた。泰矢もそれを見て黙々とご飯を食べた。そして食べ終わり一服すると、女性の方から泰矢に話しかけてきた。
「あ、あの、美味しかったですご飯。ごちそうさまでした」
「はい、どういたしまして。それであなたのお名前は?」
「自己紹介がまだでしたね」
女性は身なりを整えて言った。
「私は楓架といいます」
「楓架さんですね。私は泰矢といいます」
「よろしくお願いします、泰矢さん。失礼かもしれませんが何かあったのか教えてくれませんか?正直、あなたの手を取った後から記憶がなくてですね」
「いいですよ」
ー数時間前ー
楓架が泰矢の手を取った後に楓架が何かを思い出したのかのような顔をし、泰矢に膝をつきながら抱きついて涙目で言った。
「助けて下さい、お、お願いします」
「え?」
その直後、楓架が飛び出してきた森の中から二メートルは軽くいっている一頭の熊がうなり声をあげながら出てきた。泰矢はそれを見て状況を把握し、熊から目を離さずに楓架を引き離し荷物を渡した。
「ちょっとこれ持ってろ」
「は、はい?」
楓架は困惑しながらも言われるがままに荷物を抱きしめた。泰矢は熊との距離を一瞬で縮め、頭上めがけて右ストレートを叩き込んだ。
「伏せ」
熊は手榴弾の爆破音並みの轟音をたてながら地面に倒れ込んだ。楓架はそれを見て気を失って倒れてしまった。泰矢はそれに気付くと焦り、走って駆け寄った。
「ちょ、お前大丈夫か」
泰矢は楓架の体をゆすったが完全に意識を失っているため返事はなかった。泰矢はあたりを見回し、少しうんざりしながら熊を解体し野宿の準備した。そして熊のスープを煮込んでいると楓架が目覚め、冒頭に戻る。
ー現在ー
「あはは、その節は大変ご迷惑をおかけしました」
「別に大丈夫だ。俺自身も食料が手に入ったからな」
「そ、そうですか。なら良かったです」
「それで楓架、あんたは何をしてたんだ」
「あ、えっーと、その、旅人?そう!私は旅人で世界を放浪してるんですよ!」
「ほんとか、胡散臭いんだが」
「それよりお礼ついでにあなたがこれから行く地の道案内でもしましょうか」
楓架は焦ったのかあからさまに話を変えた。泰矢はその反応を見て何かを隠していることは確信したが追求しないで話を合わせることにした。
「道案内か。確かに助かるな」
「でしょ、でしょ」
「だが、いいのか?あんたの予定もあるだろ」
「それは大丈夫です!私は適当に放浪してる旅人なので!ただそのちょっとお金とか貸してくれないかなって」
「なるほど、あんた一文無しか。まぁ別にそれくらいなら全然いいけどよ」
「マジですか!?」
楓架は身を乗り出した。
「あ、あぁ、正直道があまりわかんなくてそろそろやばいかもなと思ってたから助かるよ」
「じゃあ、じゃあ、契約成立ということでいいんですね」
「あぁ、それで構わないよ」
楓架は目を輝かせてこちらを見ており、泰矢はどことなく構ってほしくて甘えてく小型犬を思い描いていて何となくそこまで悪いやつではなさそうだと感じていた。そして、その晩は楓架と動物を警戒していたため、あまり眠れなくそのまま朝を迎えてしまい泰矢は少し寝不足になってしまった。その後は何事もなく朝食を食べて、佐烈のいる首都:信宙に向かった。
ちなみに楓架は眠っているとき、とある夢を見ていた。
それは薄暗い一本道で化け物から逃げていたが転んでしまい、追い付かれそうになったところに白馬に乗ったハンサムな男の人が剣をふるい助けてくれたが、それは人間に擬態した化け物だった。
そしてそれに驚いた楓架は目を覚ました。
ー終わりー




