計画始動
しばらく経ち、店の開店準備をしているところに三人組のガラの悪そうな男が入ってきた。
「宝来さーん、税金の取り立てに来ましたよー」
京樹は一瞬固まったが支度を泰矢と泉琥に任せ、玄関に向かった。
「ちょっと待ってくださいよ、外浪さん。税金の回収日は来週のはずですよ」
京樹は外浪に近づきながら言ったが、外浪は京樹を突き飛ばした。その勢いで京樹は尻餅をついた。
「うるせぇなー。いいから払えばいいんだよ。それかあんたの娘でもいいんだぜ」
泉琥はそれを聞き後ずさり、男たちは笑った。それを見ていた泰矢は京樹と外浪の間に割り込んだ。
「流石に税金回収屋でもそういうのはダメですよ。」
「何だお前、俺はそこのジジイと話してんだけど」
外浪は右手を上げた。すると手の平から火の玉が出てきた。
「俺は異能持ちだぜ。てめぇが邪魔するなら全部燃やし尽くすぞ」
泰矢は外浪の右手首を掴んだ。
「異能なら俺も持ってるぞ」
「はぁ?何言って…」
外浪の体が細切れになり崩れ落ちた。一同は全員静まり返ったが、泰矢が口を開いた。
「おい、そこの残り二人。今から俺と殺り合うか。」
「「あ、あ、あぁぁぁあぁ」」
二人は恐怖を感じて、死に物狂いで逃げ出した。しかし泰矢は一瞬のうちに追いつき二人の頭を掴んだ。すると、また二人の体は細切れになり崩れ落ちた。
「逃すわけ無いだろ」
泰矢は泉琥達のところに走って戻った。
「京樹さん大丈夫ですか」
泰矢は京樹に肩を貸した。京樹は椅子に座り、一息ついてから言った。
「すまない泰矢、助けてくれてありがとう」
「いえいえ」
泰矢は京樹が自分を見る目が完全に怯え、身体もこわばっていることに気づいて、異能者がどれほど恐れられているかを感じ取った。その時、階段の方向から走ってくる足音が聞こえ、見ると泉琥が救急箱を持ってきていた。
「お父さん大丈夫?怪我してない?救急箱持ってきたよ」
「大丈夫だ。どこも怪我してないよ」
「ほんとに?」
「あぁ」
泉琥はそう言われてもそわそわしていた。その後、落ち着いた泉琥と泰矢は転がった死体を片付け、京樹は店の片付けをした。
「泉琥、大丈夫か?気持ち悪くないか」
「え、何で?」
「これを近距離で見てるから」
「あー、それはね。私がホラー耐性あるからかもね」
「それで変わるものなのか?」
「さぁ、わかんない」
「そっか」
「泰矢はどうなの?」
「俺か、俺は別に大丈夫かな」
「ふーん」
その後は淡々と片付けをし、今日の店は臨時休業することになった。そして夕食を食べ終えた三人は話した。
「すまないね泰矢。こんなことに巻き込んでしまって」
「いえいえ、大丈夫ですよ。京樹さん」
「いや、迷惑をかけたのは事実だしな。話しておく必要があると思ったのだよ。どうしてこうなったのかを」
そして京樹は語り始めた。
「まずあの外浪という男だが、あいつはここを治める最初の異能者の一人である佐烈という男の部下です。そして佐烈は外浪達といった部下達を使い、私たちといった人たちから税をとっているんです。ですが私たちは正直税を取られなくても生活はいっぱいいっぱいで私たちは先月の分の税を滞納してしまい、来週に今月のと一緒に払うはずだったんですけど、それがなぜか今日だった。そして今日の出来事が起きたんですよ」
「それで俺に頼みたいことは何ですか」
「ははっ、流石に分かりますよね。」
京樹は席を立ち土下座をし、泉琥は席を立ち頭を下げた。
「「どうかお願いです。あなたの力でこの世界にいる異能者を一掃して下さい。」」
「どうしてそんな頼みを俺にしたんですか?」
「あなたが信頼できる異能者だからです」
泰矢はしばらく黙り込みあたりを見回した。そこには正直そこまで綺麗ではないが頑張って生きてきたと思われる部屋が広がっていた。さらに泰矢は昨日来ていた客たちのことも思い出した。そして何かを決めた泰矢は口を開いた。
「分かりました。その頼み引き受けましょう。」
「ほんとですか」
「はい、自分もこの生活は辛いですし、あなた方にはお世話になりましたから」
「「あ、ありがとうございます」」
泉琥と京樹は泰矢の手を握った。
ー翌日ー
家の玄関前で泉琥がバックを泰矢に渡して言う。
「ちゃんと数日分の食料は入れといたからね」
「ありがとう、泉琥」
京樹も言う。
「泰矢君。ご武運を」
「はい、いってきます」
そして、泰矢は定食屋の宝船を後にした。そしてそれから二日ほど経った頃、泰矢は目的地に決めた佐烈がいる都へと向かっていた。そんな時、どこからか女性が聞こえてきた。
「誰か、助けて下さーい!」
そして泰矢から見て右側にある草むらの中から銀髪のショートヘアでエメラルドグリーンの瞳を持った女性が飛び出してきて、地面に転んだため、泰矢は手を差しのびた。
「大丈夫ですか」
「あ、ありがとうございます」
女性は泰矢の手をとり顔を見て言った。
「いた」




