4大丈夫!?レティシアさん!
新キャラ登場です!
朝市の仕事を終え、わたしは今王宮の人のお家行きの馬車に乗っている。
「あの、待ってくださりありがとうございます」
「なんのなんの、元々街の視察があったからね。ところで、名乗りもまだだったね。私はファリス公爵家の長男、ウィリアム・ファリスだ」
…王宮にいたから、相当すごい人なんだろうな、とは思ったけど、本当にどえらい方だったなー。公爵家って、王族の次にすごいんだよね…。
「わたしは、リリ・ハナグルマです。なにとぞよろしくお願いします。ウィリアム様」
花車凛々です、って言いたかったけど、この世界では変わった名前になるからなー。今後もリリ・ハナグルマにしよう。
「敬称はいいよ。それと、リリ嬢だね。いい名前だな」
「こちらこそ」
カタン。ん?もう着いたのね。ギィー、御者さんがドアを開けてくれた。
「どうぞ、レディ」
ウィリアムさんは、馬車から優雅に降りて、優雅に手を出してくれた。これがいわゆるエスコートというやつなんだろう。
「では、お言葉に甘えて」
わたしは、ウィリアムさんの手を取って、馬車から降りた。
「ウィルちゃ〜ん♡」
「げ、母上!その言い方やめろって言ったろ!」
「いいんじゃないのお〜♡」
だれあれ?さっき母上って言ったから、お母さん?若そうだわー。金髪、緑目の超美人だし。
「コホコホ、…う、うぇー!」
「母上!」
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫よっ!」
これはーー!?
「ゆっくり呼吸をして!吸ってー、吐いてー!吸ってー、吐いてー」
「コホッ!スー、ハー。…スー、コホッ、ハー。…ふーありがとう。あなたが例の異世界人ね?」
「はい、リリ・ハナグルマです。あなたはーー」
「ーー先ほどは失礼いたしましたわ。わたくしはウィリアムの母の、レティシア・ファリスと申しますの」
レティシア様は、わたしにきれいなお辞儀をしてくれた。会釈で返した。美しいわ!というか、なんでわたしが異世界人だと知っているんだろう?ウィリアムさんが話したのだろうか?知られたくなかったなー。
それより、レティシア様は大丈夫なのかな?さっきまで激しく咳き込んでたものねー。
「きれいなお名前ですね。レティシア様」
「あらやだー、口が甘いですこと。それと、敬称はいらなくってよ」
「じゃあ、レティシアさん?」
「まあ、それもいいけど、お母様って呼んでみてちょうだい!」
「えーと…お母様?」
「きゃあー!リリさんったら、本当にかわいいわ!」
…一体なんなの?なんかの儀式??
「母上、やめろ!リリさんが固まっているぞ!」
「あら、ごめんなさい。わたくしったら、かわいい子を見ると、ついついやっちゃいますのよ」
「いえ…」
「リリさん、わたくしの娘になってくださらない?」
「母上!」
本当になんなの?
「…コホン、冗談はこのあたりにして、中に入りませんこと?立ち話もなんですし」
わたしたちはメイドに案内され、接待室に入った。公爵邸の中は本当にすごくデカかった。廊下はピカピカだし。さすが公爵邸!
「リリさん、あなたに見苦しいところを見せてしまいましたわ。…そのことについて黙ってくださるかしら?」
「…あの、さっきの症状から思い当たったことがあります。よければ詳しく教えてくださいませんか?口外はしませんので…」
「…はあ、わかったわ。他言無用でお願いね」
レティシアさんは、わたしに彼女の病気のことを教えてくれた。彼女は原因がわからない病気にかかっているらしい。発症したのは半年くらい前、何の前兆もなく、突然発症したと。症状は肌のぶつぶつ、吐き気や下痢など。
わたしの推測はアレルギー。なぜなら、彼女の症状は完全にアレルギー反応そのものだからだ。アレルギーは生まれつきだという印象があるが、実際は違う。大人になってから発症する場合もある。例えば、わたしは22歳にのときに、急にメロンが食べられなくなった。わたしの推測が合っていれば、レティシアさんはアレルギーのはず!
それなら、アレルギーの元を辿るのみ!公爵家なんだし、ダニやホコリじゃないと思う。…食べ物かー!
「…心当たりはあります。よろしければ、症状が現れた日に食べたものをリストにまとめてもらえませんか?」
「わかったわ」
レティシアさんは後ろに待機しているメイドに目をやり、メイドは頷き、静かに部屋から出た。
「それで、何の病気なのかしら?」
「アレルギーという病気みたいなものだと思います。おそらく体に適していない食材を食べたからかと」
「何の食材なの!?」
「わたしにもわかりません。だから今調べてもらっているのです」
「そうなのね…」
しばらく待つと、メイドはリストを持って来た。
…中で共通なのは、それぞれロブスターを食べていること。果物や小麦も共通しているけど、症状が出ていない日も食べてた。でも、ロブスター食べてる日は、いつも症状があった.原因はロブスターだ!
「レティシアさん、原因がわかりました。ロブスターです!」
「?」
「アレルギーとは、本来身体に無害な物質に、免疫機能が過剰反応したことを言います。レティシアさんの身体はロブスターに過剰反応したわけです」
そう、アレルギーは悪いイメージがあるかもだけど、実は身体の免疫機能がちゃんと機能している証明!
「過剰反応したら、レティシアさんのように咳き込みなどの症状が出ます。ちなみに、食べなかったらアレルギーにはならないので、ロブスターは極力避けるようにしましょう!」
「わたくしは…アレルギーだったのね…」
レティシアさんは急に涙を流した。大丈夫なのかな?
「あの、大丈夫ですか?」
「え?…あらやだー、わたくしったら、どうしちゃったのかしら?」
レティシアさんは意外そうな顔で、自分の泣き姿に困惑した。
あっ!わかったわ。レティシアさんは自分の病気の名前さえ知らなかったから,さぞ不安だったのだろう。それで、急にある人から自分の病気の名前について知らされて、治ると言われたら、そりゃ安心して嬉し泣きするわ。
「珍しいな、シアが泣くなんて」
「レイ!?」
だれだ??と思って、パニックってたらーー
「あーすまん、リリ嬢、まだ名乗ってなかったな。私はファリス公爵家の当主、レイヴン・ファリスだ」
「レイヴン様、ごきげんよう。わたしは、リリ・ハナグルマと申します」
さっきのレティシアさんの挨拶に習ってみたけど、どうかな?
…あれ、なんかポカンとしている?変だった?
「…失礼、あまりにきれいな挨拶だったから、つい見惚れてしまった」
「お褒めに授かり、光栄です」
「それで、シアを助けてもらったお礼として何か欲しいものはあるか?」
ウィリアムさんからもう十分お金をもらったのだ。これ以上はさすがにもらえない。
「そんな…もらえませんよ。わたしはただ自分の知っていることを伝えただけです」
「それには十分な価値がある」
「…わかりました。では、わたしの後ろ盾になってくれませんか?」
「それでいいのか?」
レイヴン様は驚いた顔でわたしを見つめ、ため息をついた。
「はあ、もっと求めてくれてもよかったぞ」
「いえ、それだけで十分です」
「そうか…わかった。後ろ盾でいいなら、いくらでもなってやろう」
よっしゃ、公爵家の後ろ盾ゲット!
「ありがとうございます」
「ありがとうなんて…こちらこそありがとう、シアを助けてくれて」
「そうよ、本当にありがとう。助かりましたわ」
「ありがとう、リリ嬢」
まさかただ知識を伝えただけなのに、こんなにも感謝されるなんて…。
「…とんでもございません」
★読んでくださり、ありがとうございます!
ときに、人の言葉は一人の人生を救う。




