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24:利権を奪え

思わぬところで征服皇の弱みを知ることができた。これを生かさない理由がない。

とはいえ、向こうの国の技術力を正確に把握しようとすると時間がかかってしまうから下手に結ちゃんの手を借りるのは得策ではない。

となると、


「私がこっそり魔法を使うのが手っ取り早いよねぇ」


この世界の魔法を使うことに不安があるのなら、別の世界の魔法を使えばいいじゃない。ということで、私がこっそり働くことにした。

子供の数が増えることが分かってるからあまり時間もかけてられないんだけど、それでもできることはある。

やること自体は簡単で、行ってしまうと人の命を奪うことになるかな。その相手は、もちろん征服皇の配下。その中でも特に諜報活動とかをするいわゆる暗部の人たちが対象。

もちろん簡単には見つけられないんだけど、私は魔法のおかげでたいていの場所も書類も透視までできるようになってるから、意外と見つけられることもある。

特に、征服皇に歯向かいそうな貴族を対象とした暗殺をしている人間は徹底排除。

あえて生き残らせてとらえさせて、逆に吐かせた情報から貴族側の暗部が征服皇の手ごまを減らしてくれたこともあったよ。

おかげで暗部の理解がさらに深まったから発見もより簡単になって好循環と言ったところ。


「征服皇も焦っているようだし、しばらくはこっちも放置してもらえるかなぁ」


私も最優先は子供たちのお世話だからやれることには限界があるけど、それでも十分すぎるほどには貢献できていると思う。特に暗部のもろもろが起きたおかげで征服皇が貴族たちを排除しているかもしれないってことが分かって、貴族が手を取り合ってくれてるんだよねぇ。

もちろん全面的に信用はしていないしいざとなれば即座に他を切り捨てられるようにはしているみたいだけど、それでも必要以上に権力争いは起きないし征服皇対策を進めている。

内乱を起こして勝てるとは到底言えないけど、それでもここまでの力を持った貴族たちを無視はできないだろうね。それこそ、今までのように遠征するなんてもってのほかという状況になるかもしれない。


それを理解しているのか、最近は征服皇に余裕がないように見える。

今までより小国を攻めていくペースが上がったし、手段が荒くなっている。統治できる環境を整えずに次に行ってしまうから、反乱を起こされて責任者として配置された部下が排除されるなんてこともしばしば。当然周辺に配置されているほかの部下が鎮圧はするけど、それでも盤石な体制を築けていないというのはよくわかるよ。


「このままいつ反乱がおきてもおかしくない状態で変えるつもりなのかな?それにどれだけの意味があることやら」


何か狙いがあるのではにかと警戒もしてはいるけど、それ以上に征服皇が今までの行動を無駄にするのではないかと疑う気持ちがある。

今までは鎮圧に成功しているけど、それでも征服皇が遠く離れてしまえばどうなるかはわからないね。土地を治める人も全員が全員優秀ではないだろうし、戦力を残せば残すだけ本国に戻った後がつらいでしょ。

いっそのことここでもう支配は終わらせて放り投げてしまえばいいんじゃないかとすら思ってしまうけど、なぜかそれをしないのは引っかかるね。

でいるだけ1番戦った時に苦戦するだろう国に小国の土地も人も渡したくはないということなのかな?


何にしても征服皇の動きは変わったし、本国まで帰ろうとしているのは間違いないと思う。

こうなったらさらに私は嫌がらせを別の部分に移せて、


「モンスターを誘導する技術が意外と活躍するねぇ。モンスター事態に魔法もかけてないし、意外と便利」


本国の貴族たちがいる本部、とでもいうべき場所と征服皇との連絡役となっている存在。そこに向けて私はモンスターを差し向ける。

命まで奪うかどうかはその時の状況や運によるけど、私としてはケガさえしてくれればそれでいい。ついでに、ケガで数日動けなくなってくれればそれでいい。

私が向こうにわかる魔法の痕跡を残さない以上、向こうが私に気づくことはない。そして、もしモンスターに襲われていることに作為的なものを考えたとしても、征服皇は間違いなくその理由を貴族たちの工作だと考えるはず。

貴族たちも当然一枚岩ではないから誰かしらが何かしているのだろうと考えて、あえて知らないふり。


知っているともしばれて自分たちが不利になった時に連座されかねないからね。できるだけ自分の手は汚さず済ませたいという考えの人は多いみたい。

それでも動いているのは、暗部の人間が身近に迫ったからなんだよねぇ……私のことを探られないのはいいけど、征服皇が戻るまでにもっと積極的に動くようにしてもらわないと困るかも。

分かりやすい利権とか探しておこうかな。貴族が利益をもっと奪えるようにしておきたい。


「ついでに、私の動きをもっと貴族に寄せた方がいいよね。今はあまりにも露骨すぎる気がする」


こうして観察してわかる貴族の臆病さや欲深さを考えると、私のいくつかの行動は少し短絡的だったり欲がすくなくなってしまっているように感じる。

特にわかりやすいのは、連絡役だけを狙って排除している点は問題かな。ここまで露骨だと征服皇も文句をつけやすくなってしまうから、貴族がこれを主導するならもっとモンスターによる行動だと印象付ける保身のためのごまかしをする。

例えば、あえてほかの部隊を襲わせてワザと失敗させるとか。

そうすれば、伝令約以外の二元を襲うだけではない、自然発生的な事故であると貴族たちが胡麻化しチエルように見えるはず。


ただ、私もそれをすぐに行動に移せるわけではない。

ばれるかどうかという点ではなく、狙う物資によってはいたずらに不幸をまき散らしてしまうだけなような気がするんだよね。

例えば、食料などを狙ってしまいそれに被害を多少でも出せば、代わりの物資の調達が現地で行われてしまう。それはつまり、小国に住む人たちが食べるものを奪われるということにつながる。さすがに私も、そんなことをさせるつもりはないから狙う物資には慎重になる。

ということでしばらく観察させてもらって、


「よし。決めた。武器を持っている部隊を襲わせよう」


武器を運んでいる部隊なら被害が多少出たところで現地調達にとまでは直接つながらないだろうし、そうなったとしても生活が苦しくはならないはず。

加えて、モンスターが多少強くなってしまったとしても武器を運んでいるんだから対抗手段はいろいろとれるはず。とりあえず、矢が尽きるなんてことはありえないだろうね。

それじゃあ頑張って貴族っぽさをアピールするぞぉ~!




気合を入れて狙うものと場所、そして時間を決めた私。

それから数日の間に私の計画は決行され、


「……あ、あれ?立っている人が1人もいないんだけど?全滅した?」

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